リダさんの追憶【8】
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又も、夢を見た。
「今度は、ちゃんと私が私だって言う意識があるんだな」
半眼になって、軽く手のひらをヒラヒラして見せる。
当たり前だが、ちゃんと手も自分の意思で動く。
ついでに、自分の格好を見た。
なんだ、これ?
私と言う性格を加味した上で言うと、私らしさの片鱗もない格好だ。
一言で言うと、凄まじく可愛い格好。
何だこれ? 絶対に私が着ない服を来てるぞ。
こう言うのは、ルミ辺りが好んで着そうだ。
つか、制服以外でスカートとか......いつ振りだ?
しかも、やったら短いし! ピンクの二段フリルとか、敷居高すぎるだろっ!
上のブラウスやボーダーのシャツとかは、まぁ着こなし方次第だから良しとするが......って、いやいや! 違うっ!
「ここは、何処だ?」
今度は周囲を見渡す。
......うむ。
見る限り、そこは異世界だった。
紺色の固そうな地面と、カラフルな看板。
やたらゴミゴミした空気と、蟻の様に見える人の群れ。
建物も無駄に大きく......天井が視界に入らない物まである。
比較的広い、紺色の道を走る鉄の塊は、あたかも魔法で動いているんじゃないかと言うばかりの勢いで進んで行く。
......なんだありゃ?
見る限り、鉄で出来た馬車みたいなのにも見える。
ああ、あれか? 乗り物なのか?
「ごめん、沙紀! 待った?」
......はぇ?
いや、待ったも何も......あんた誰?
いきなりやって来た少女を前に、私は困惑する事しか出来なかった。
そんな私がいた時......何故か、私の頭の中に彼女の名前が出て来る。
「ううん、全然待ってないよ、瑠美」
私はにっこりと笑って言った。
そうだ。
うん、彼女の名前は高橋瑠美。
私の親友だった女の子だ。
......。
......そう。
私の親友『だった』女の子だ。
彼女は、私と違っていつも爽やかで淑やかで......でも、ぽけぽけしてて。
持ち前の天然ボケがあって、私もついつい世話を焼いてしまう、そんな妹みたいな親友だ。
けれど、そんな彼女と私との絆は、ある日を境に大きな亀裂が入ってしまう。
いや、違うか。
ある日を境にではない。
実はずっと前から、少しづつ、歯車が合わなくなっていて......そして、限界を迎えてしまった。
そして、仲違いをしてしまうのだが......そこから間もなく、彼女は帰らぬ人になってしまう。
仲違いをしたまま長期連休に入ってしまい、瑠美とのわだかまりを残したまま、彼女は外国へと家族旅行に向かう。
そのチケットが、常世の片道切符になってしまう事など、知るよしもないままに......。
「......おーい? 沙紀? どうしたの? ぼーっとして?」
「うん? ああ、ごめんごめん! ちょっとね!」
ちょっと考え込んでしまった私に、瑠美は何回も声を掛けていたらしく、私は思わず誤魔化し笑いなどをして見せた。
「今日は少しおかしいね? もしかして、佐々木が来るから?」
「......は?」
私はポカンとなったね。
同時に、私の頭に記憶が入って来た。
佐々木昌。
中々のショタチックな少年だ。
同い年なんだが、どうにも......こうぅ、年下に見えてしまう。
備考として、頼りないけど美少年。
そして、私にとって腐れ縁があるヤツの友達でもある。
「沙紀って、佐々木みたいなのに、昔から目がないんだよねぇ......本当、男の見る目がないって言うか」
「ふ......分かってないなぁ、瑠美さんよ。ショタ道ってのはイバラの道であればあるだけ燃えるんだよっ!」
「そうだね......そう言う事にしておきましょうか」
残念な人を見る様な目で見る瑠美......そんな目で私を見るんじゃないっ!
てか、そんな事よりもだ!
「ごめん、瑠美。いきなり変な事を言って悪いんだけど......」
「......?」
そこで真剣な顔になって言う私に、瑠美はキョトンとした顔になった。
まぁ、唐突だしね。
次に言う台詞だって、更に輪を掛けて唐突だ。
「お前は絶対に、飛行機に乗っては行けない!」
.........
......
...
.........はっ!
「......朝だな」
覚醒と同時に、私はベットの中にいた事を知る。
うん、知ってた。
今回は、夢の中だって言うのに、最初から『これは夢だ』って、普通に実感してた。
......くそ。
「アインは、どうして私にこんな夢を見せるんだ?」
こんなおかしな夢を見せている犯人が誰なのかは、もう既に分かっている。
伝承の道化師に連れ去られてしまった為、今は完全な行方不明になっているけどな。




