激戦! リダさん、どうしてかイリさんと戦う【12】
「これは、絶対にチズさん達を助けないとっ!」
ルミは気迫を込めて私に叫んで見せた。
私も即座に頷きを返して見せる。
......そうだ。
過去はどうあれ、今はちゃんと自分の幸せを手に入れている。
イリの情報で間違いないのなら、チズさんはステンノで静かに暮らしていた所を奴隷にされた挙げ句、暗殺者までやる羽目になってしまった可哀想な経歴を持つ。
そんな彼女でも、今ではしっかりと人間らしい生活を営んでいる。
これを阻む者がいてはいけない!
何としてでも、チズさん達の明日を勝ち取ってやろうじゃないかっ!
思った私は、フラウやユニクスと楽しく談話していたチズの所にやって来た。
それにしても......あんたら、もう普通に仲良く出来るのな?
私的には、そっちの方が楽で良いんだけどさ。
「チズさん。スーツの男の特徴を......もう少し詳しく教えてくれないか?」
こうして、私はチズさんから道化師の側近とやらの情報を詳しく聞き出そうとした。
直後、ユニクスが口を動かす。
「......少し、言うべきかどうかで悩んでいたのですが、リダ様なら死ぬ様な事もないでしょうから、言いましょう」
やや思い詰めた表情で......それでいて、何か覚悟を決めたかの様な顔になってから、ユニクスは私に答えていた。
きっと、ユニクスの事だから、本当は私の事が心配で心配でたまらないが故に、知っていたけど言わなかった事があるのだろう。
一見すると、図太い神経の持ち主に見えるし、存外したたかな性格をしている様にみえてしまいガチだが、その内面は......極度の心配症でもある。
特に、相手を好きであればある程......ん?
いや、あれだぞ?
別に変な意味じゃないからな!
そうではなく......そうだな? 例えばこれが私ではなく、ルミやフラウだったとしても、きっとユニクスは同じ様に必要以上の心配をしてしまうだろう。
杞憂に終わる事が予測出来ても......反面、万が一の不幸が起きたらどうしよう?
これが、ユニクスの精神には常にこびりついていて、危険を回避する為に敢えて秘密にしてしまう事がある。
彼女なりの優しさ故であったが、出来ればもっと早く話して欲しかった。
何故か?
それは、次に出て来た彼女の言葉が全てを語っていた。
「その、スーツの男と言うのは......私が以前に申し上げていた『彼』と、同一の人物です」
神妙な顔のまま、ユニクスは驚きの新事実を私達の前に激白して行くのだった。
......と、言う所で、次回に続く!




