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激戦! リダさん、どうしてかイリさんと戦う【3】

「それに、イリ。気付いたか?」


「......何をだ?」


 私の言葉に、イリはイライラした顔の状態で聞いて来る。

 ヤツからしたら、私がこんな事を言うのは、甚だ不本意なんだろうな。


「完全な一対一の勝負になっていた事だ」


「それがどうしたってんだ?」


「分からないか? この手の戦いに実際はルールなんかない。要はどんな方法を使っても良いから相手を殺せば良いんだ」


 善悪なんて関係なく、目的の為なら常にベストな方法を元に相手を殺すのが普通なんだ。

 所が、どうだ?


「こいつらは、暗殺者だと言うのに騙し討ちを一切しなかった所か、お前が一人で戦うと言う事がわかったら、今度はゴルゴンの女が、敢えて戦闘に参加しなかった」


 ......そうなんだ。

 本当なら、イリが勝手に一人で戦おうとしていただけに過ぎないと言うのに、相手もイリに合わせて来たんだ。

 こんなお人好しな暗殺者はまずいない。

 

 私は、これら一連の動きを見て......予測は確信に変わった。


「この二人は、まだ真人間に戻る事が出来る」


「アホかよ。例え改心して、モラルのある真人間になっていたとしても......何百、何千と殺した罪はどう足掻いても消えん。そんな事はサルでも分かる道理だ? 分かるか? お前の言ってる事はだたの偽善だ。最終的に更正したら、過去の罪はなんでも水に流されるとか......本当、笑わせてくれる」


「......それを許せる許容があれば、酌量の余地を見出だす事が出来るのなら、私はそれで良いと思うんだが、それじゃダメか?」


「ああ、だめだね」


 話にならないとばかりに、イリは即座に私の話を切り捨てた。


 更に、イリは私に向かって構えを取って見せた。

 ......ああ、もう完全に私をぶん殴る気だ。


 仕方ないなぁ......もう。

 私は魔導式を頭の中に紡いで見せた。

 そこから、魔法を発動させる。


 上位復活魔法ハイリザクレション


 倒れていたジャンに復活魔法を発動させ、どうにか命を繋ぎ止める事を確認した。


「おいおい、いい加減オイタはよせよ......こんな事ばかり続けていたら、その内お尋ね者になって俺に狙われるぜ?」


 もう、狙ってるだろう......私を。


「大丈夫だ。私は私の信念を元に生きてる。それだけだ」


「やれやれ......もう少し、話しの分かるヤツだと思ってたのに。残念だ」


 瞬間、イリは性別を変えた。

 半分魔属の血を持つイリは、性別を意図的に変化させる特殊能力が存在している。

 更に、それぞれの性別には特色があって、例えば男なら物理的な戦闘力が極めて高く、女性なら魔力が桁違いに高くなる......と、こんな風にそれぞれの性別によって違いがあった。


 イリは女性になると、


 スーパー攻撃力上昇魔法オフェンスアップレベル99!


 スーパー防御力上昇魔法ディフェンスアップレベル99!


 スーパー身体能力上昇魔法スピードアップレベル99!


 自分に補助魔法を一気に掛けた。

 同時に性別を男に戻す。


「口で言ってもわかんねぇヤツには、もう直接ぶん殴るしか、他に方法はねぇなっ!」

 

 一気に本気状態になったイリ。

 気合いを入れると、更に能力が上昇すると言う、反則的なオートスキルの様なものまで持っていた。


 面白いっ!


「イリ......流石に、喧嘩を売る相手を間違えてるだろう?」


 私は、不敵に笑う。


 直後に、私も自分へと補助魔法を掛けた。

 条件はイリと全く同じ。

 超補助魔法のレベルカンスト。


 そこにプラス・アルファーとして、


 ドラゴン呼吸法ブレイズ【極】


 私の固有スキルでもある龍の呼吸法を発動させる。

 

「ヤベェな......それ」


 瞬時に私の能力が解放され、吹き出たエネルギーが軽く衝撃波として周囲に拡散された所で、イリが独りごちる様にして呟いた。


 他方、これを見てキイロとユニクスの二人が私とイリの二人を止めようとしたのだが......途中で歩み寄る足が止まる。


 多分、止めたくて止めた訳ではない。

 そこから先に、進む事が出来なくなっているんだ。


 イリと私の二人が取り巻く特殊なオーラの様な物が拮抗してぶつかり合い、ちょっとした壁の様な物を作り上げていたのだ。


「覚悟はいいか?」


 イリはニヒルに笑って言う。


「それはコッチの台詞だ」


 私はちゃんちゃら可笑しいとばかりに、イリの言葉を一蹴した。


 直後、私とイリが同時に動いた。


 刹那、


 ドンッッッッッ!


 周囲に激しい衝撃波が撒き散らされる。


 強いエネルギー同士がぶつかり合い、その余波が周囲にも広がっていたのだ。

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