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嘘つきは、エリアボスの始まり【18】

「ダウト二回ですか……これはいけませんねぇ~? もう、普通の罰ゲームではちょっと相殺出来ませんねぇ~? ほじゃ、みかんさんが新しいルールを作ってあげましょ~」


 累積したダウトに、みかんが新ルールを作り出して来た。

 もはや、何でもありだ。


 しかしながら、周囲に居る面々がみかんの言葉に異を唱えるのかと言うのなら……至極当然の様にそんな者はいない。


 むしろ、傍若無人な真似を先にやっていたホーンドがいたので、むしろ妥当だと言わんばかりの態度を取っていた状態だ。

 かく言う、私もみかんのやっている事は底意地が悪いとは思っていても、特段否定するつもりはない。

 その位の事をされても文句は言えない事を先にしている……そうと思っていたからだ。


 因果応報とは良く言った物だな?

 そう考えると、やっぱり悪い事は出来ない。


 ただ、みかんの唯我独尊っぷりには少しばかり顔を引き釣らせる者がいたりするし、特にいよかんさん辺りがビミョーな雰囲気を漂わせていたりもするけど……余談だ。


 きっと、実の祖母がやっている行為が、あまりにもしたたか過ぎたので、ちょっと羞恥心を抱いている感じではあったんだけど……しかし、それでも止めに入るつもりはなかった。

 結局の所、若干やり過ぎかなぁ……とは思っても、それだけの事をしていると言う認識が強い為、敢えて傍観を選択していた様に見えた。


「ではでは~? お待ちかねの新ルールです! 二回もダウトをしてしまった大嘘つきのホーンドさんには、豪華三千世界旅行の『片道切符』をプレゼントしちゃいます!」


 ……いや、それ……つまり、死ねって事なんじゃ……?


 この世界は、あまたの世界が存在し……世の中に存在する生きとし生ける者の全ては、死ねば魂の状態であまたの世界を突き抜けて行くと言われている。


 そして、再び肉体のある世界へと向かい、新しい生活を始める。


 この『数多の世界』を、この世界では一般的に三千世界と呼び、この世界に旅立つ事イコール死を意味する。


 要は『冥界への片道切符』と言っている様な物だな?

 意味的に言うのなら、完全なる同義語に値する。


 遠回し……否、この世界的に言うのなら、実直過ぎるまでにストレートに死ねと発言していたみかんは、右手の指をパチンッ! と鳴らした。


 次の瞬間、


「……っ! な、なに? 何が?……なっ、お、俺の……俺の身体が……ぁぁぁぁっっ!?」


 ホーンドの身体は少しずつ消滅して行き、最後は断末魔の叫びと同時に、その姿を完全に消失して行った。


 完全消滅魔法オールロストか……。


 この魔法は、いつぞや巨人の島でみかんが私達に協力した時に使った魔法でもある。


 基本的にみかん以外の者が使える魔法ではなく……ハッキリ言うのであれば、私もみかんから魔導式を聞いていたとしても発動させる事が出来るか分からない、超特殊なみかんオリジナルの魔法。


 発動すると、宇宙空間に存在する反物質が召喚され、対象となる物体へとぶつかる。


 これだけだと、単純に反物質なる物が、対象物にぶつかるだけに聞こえるかも知れないが……ここが大きなポイントなのだ。


 反物質とは、マイナスの物質。

 通常の物質をプラスとすると……ここにマイナスを加える事で、プラスマイナス・ゼロになる。


 つまり、消滅するのだ。


 生き物に限らず、この世界に存在する形ある物は全て物質だ。

 そして、物質である以上、反物質とぶつかれば必ずゼロとなり、一切の例外を出す事なく消滅してしまう。


 この消滅する科学反応を意図的に作り出す、驚異の召喚魔法でもある。


 詳しい事は私にも分からないのだが……なんでも宇宙魔法の一種で、五千年程度前に作られた古代魔法エンシェント・マジックの仲間らしい。


 そう考えると、古代の魔導師と呼ばれる者は、こんなとんでもない魔法を簡単に使いこなす事が出来たのかも知れない。

 そう考えると恐ろしくある。

 なんと言っても、相手を意図的に消滅させてしまう魔法を簡単に使う事が出来てしまえるのだから。


 そんな時代に生まれて来なくて良かったよ……本当。


 ……さて、そろそろ話を本題に戻そうか。


 ホーンドが消滅した瞬間、周囲が一瞬にして変化した。

 

 これまであった呼吸が出来る不思議な水のエリアが視界からフッ……と消え、次の瞬間には単なる鍾乳洞の様な所に立っていたのだ。


 感覚的に言うのなら、瞬間移動でもしたかの様な感じだな?

 

 ……まぁ、もしかしたら本当に違う場所へと瞬間移動している可能性もあったりするんだが、


「……ほむ、どうやら今までの水中世界は、ホーンドが作り出していた幻想世界だった模様ですねぇ」


 軽く周囲を見回しながらこたえたみかんの言葉に間違いないのであれば、さっきの世界とここは全く同じ場所と言う事になるのだろう。


 少し信じられない気もするけど……ダンジョンなんてのは、大体は不思議な独自世界が構築されていたりもする。


 例えば、昨日入ったダンジョンが、次に入った時は全く違うダンジョンになっていた……なんて事だって、決して珍しい事ではない。


 そこらを考えるのなら、海底の様な所が一瞬にして単なる鍾乳洞へと変化しても、指して驚く物でもないのだろう。

 外の世界に長く居る人間からするのなら、余りにも非現実な現象の連続で、気が狂いそうな気持ちになってしまうかも知れないな?

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