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誠実さを試す試練だが、真の虚言者は……【17】

 何を根拠に、自分の時代がやって来たと思っているのかは知らないし、何となくではあるけどユニクスの勘違いなんじゃないかと疑う私なんぞもいたりするんだけど、


「……まぁ、やれるんであれば、やってみても良いんじゃないのか?」


 私は、大して期待していない口調でユニクスへと答えてみせる。

 

 だが、それでもユニクスは私の許しを得た!……と言うばかりの態度を取っていた。

 別に、私の許可なんか必要ないと思うんだけど……。


「はい! 頑張って倒すので、見ていて下さい! そして、私の愛も受け取って下さい!」


「お前の愛は、胃もたれするから要らない」


「重すぎたっ!?」


 やっぱり、ガーンッッ! って顔になるユニクスがいた。

 本当に高低差のある気性を私に見せてくれるな。

 いや……まぁ、別に良いんだけどさ? どうでも。


 白目状態になっていたユニクスであったが、案の定と言うか……やっぱり即座にテンションを復活させていたユニクスは、素早く巨大烏賊へと目線を向ける。


 そして、


 巨大投石魔法ストーンヘッヂ


 素早く魔導式を頭の中で紡いでは、魔法を発動させてみせた。


 ……ほう。


 私はちょっとだけ感心する感じの顔を作る。

 巨大投石魔法自体は、作戦として使っていたんだろうなぁ……程度の感覚ではあったんだが、魔導式の発動と、発動までに掛かった時間が恐ろしくスピーディーになっていた事に、少しばかり驚いた。


 一応、本人の口からは聞いていたけど、やっぱり色々とトレーニングを積んで来たんだなぁ……うむぅ……これは、少し期待しても良いのかも知れない。


 果たして。


 ユニクスなりに努力したんだろう成果が、


 ズズゥゥゥゥンッッッ!


 出なかった!


 発動の瞬間、巨大な岩が出現し、まっ逆さまに落ちては来たのだが……落ちて来た場所がユニクスの頭上だった。


 …………。


 いや、狙いは良かったと思うよ? うん。


「は? え? なぜだぁぁぁっっっ!?」


 頭上に出現した岩に押し潰されてしまったユニクスは、愕然とした顔のまま、大声で叫んでいた。


「……まぁ、頑張ったんじゃないのか?」


 私なりにユニクスをねぎらう感じの台詞を口にする。

  

 一応の努力と言うか、ユニクスなりに頑張っているんだなぁ……と思われる、努力の痕跡みたいな物は感じられたし、その熱意を認めても良いんじゃないかなぁ……程度の事は思った。


 ただ、結果に繋がらなかっただけで。


 反面、自爆としか言えないユニクスの行動により、私にとっても良い参考になったりもする。


 要は、あの烏賊……発動させた魔法をねじ曲げるスキルの様な物を持っているみたいだ。


 それがどんな構造なのかまでは分からないし……詳細を詳しく調べようとも思ってはいないのだが、一つだけ確実に分かった事がある。


 この烏賊に魔法を発動させると発動対象が無条件で発動させた本人ないし、それに類似する状態へと強制変換されてしまう模様だ。


 よって、烏賊イカに対して攻撃魔法を発動させてしまうと、発動した攻撃魔法が自分ないしその近くへと跳ね返って来るかの様な勢いでやって来る。

 

「どうやら、ジャミング的なスキルを持っている様だな……あの烏賊」


 ……ふぅむ。

 そう言えば、あの烏賊……ユニクスが魔法を発動させる為に魔導式を頭の中で紡いでいた時、触手みたいな足の一つをユニクスの前に向けていたな?


 てっきり、あの行動はユニクスへと物理的な攻撃を仕掛ける事が目的だと思っていたのだが、


「魔法を発動させる為に、頭の中で魔導式を紡ごうとすると、脳波になんらかの影響を与える特殊な周波みたいな物を発生させる効果があったのか……」


 私は独りごちる様に呟き、両腕を組みながらも頭を捻らせた。


 なるほど、なるほど。


 つまり、私の取る方法は二つに一つと言う事か。


 一つ……前者は烏賊が引き起こしている魔導式の妨害スキルを自力で攻略する。


 今の所は妙案が全く浮かんで来ないが……しっかりと冷静に色々と考えれば、何かしらの対抗策が見えて来るのかも知れない。


 そして、対抗策……と言うか、魔法を発動させる事が出来る様になれば、後は簡単な話だ。


 あの烏賊目掛けて超炎熱爆破魔法でもぶちかましてやれば、それだけで全てが終わってしまうんじゃないだろうか?


 ただ、どうやって脳内で紡いでいる魔導式をジャミングする方法を無効化させるか? そこが大きな問題であり、悩み所だった。


 そして、二番目。


 後者となる考えは、もっとシンプルかつ明快。


 なんて事はないな?

 魔法なんて使う事なく、直接ぶん殴る!


 果たして、私は思った。


「元々さ? 私は魔法なんて小難しい物なんか嫌いなんだよ……本当はさ?」


 答え、私はニッ! っと、快活な笑みを色濃く作った。

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