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誠実さを試す試練だが、真の虚言者は……【6】

「なんだ? ユニクス? お前も私達と同じ組か? バカの組か?」


 眉を捻って困った顔になっていたユニクスを見て、ういういさんがニヤニヤした顔になって言って来る。


 パッと聞く限りで、ユニクスをバカ扱いしている様なニュアンスがあるけど、ちゃんと聞くとういういさん自身もバカだと公言している様な物なんだが?

 それで良いんだろうか……?


「そうだね? なんか、見た感じと口振りからすると、いかにもインテリを気取っている様に見えるけど……実は?……的な?」


 ニヤニヤしているういういさんに合わせる形で、いよかんさんもやっぱりニヤニヤする感じの笑みを作って口を開いて来る。


 だから……それ、私達はバカコンビです! って、自分から言ってるだけじゃないのか?


「ち、違います! いや、本当に、私はこれでも三学年で成績トップを保持していたりもするんですよ!」


 ユニクスはアセアセとふためきながらも、言い訳混じりに反論していた。


 実際問題、確かにユニクスの成績は優秀だ。

 もちろん、バカと言う訳でもない。

 学園の名誉の為にも述べて起きたいのだが、ユニクスの学力は他の学園に在籍する生徒よりも優秀と述べて相違ないレベルだ。


 しかしながら、この報告書は……なんてか、専門的な学者向けの内容になっていた為、成績優秀とは言え単なる学生でしかないユニクスには理解に苦しむ内容でもあったのだ。

 多分、これは私なりの予測に過ぎないのだが、多少の読むコツを教えてやれば、物の数分で理解して来るだろう。


 つまり、バカじゃないんだ。


 だけど、ういういさんやいよかんさんからすれば、そんな事は自分の知る所じゃない。

 当たり前の当然の様に、自分達サイド……バカ組へと強引に引き込みたい意図が見え見えの態度を露骨に作っていた。


「へぇ……何処の学校での話なのか知らないけど、かなりレベルの低い学校の首位なんだねぇ」


 失笑混じりに言ういよかんさん。

 ……改めて学園の名誉の為に言うのだが、我が校は決して学力レベルの低い学園などではないぞ?


「確か、冒険者アカデミーだったかな? そうか。あそこのレベルは私でもトップになれるだけの学力しかない学園だったんだなぁ……?」


 すかさず、話を畳み掛ける感じで答えたういういさん。

 ……いや、だから……そんなにレベルが低い訳ではないんだぞ?

 ういういさんであれば、技能的な面でトップを取る事は出来るかも知れないけど……学力的な物だと、割かし底辺付近に落ち着くんじゃないかなぁ……多分。


 何にせよ、ういういさんといよかんさんの二人はバカ仲間が欲しいんだろう。

 そんな事をして、自分にどんなメリットがあるって言うんだろうなぁ……?


「……言って置くが、冒険者アカデミーの問題はそこまで簡単な物ではないぞ? 失礼だが……ういういさんやいよかんさんが受けても、五十点取れるか怪しいレベルだ」


 仕方ないから、私の方からもユニクスのフォローを入れていた。

 厳密に言うと、学園に対してのフォローと言うのが正解かな?


 しかし、ユニクスは瞳をキラキラさせた状態になり、


「リ、リダ様がこの私をフォローして下さってる……こ、これは、もしや? 私の事を想ってくれていると解釈しても良いのではっ!?」


 これでもかと言うばかりに感動しまくっていた。


 うん、そうな?

 何となく、お前の性質を考慮するのであれば、そう言って来る事は直ぐに予測する事が出来たよな?


「まぁ、確かにバカと言うか、頭がおかしい事は認めるよ」


「一瞬で手の平を返して来たっ!?」


 そして、ユニクスは白い目になってガーンッ! ってショックを受けていた。


「う~」

 

 他方、その頃……シズ1000がういういへと一枚の封筒を手渡して来た。


 なんだろう?……そう思いながら手渡された封筒をみると……。


 バカにでも分かる水質検査報告書。


 ……と、封筒に書かれているのが分かった。


「…………」


 ういういさん、思わず絶句。

 どうやら、前回のは専門用語が多すぎたとシズ1000なりに反省しての事なんだろうけど……このタイトルは、少しばかり頂けない。

 私だって、こんな物を貰った日には、思わず眉を捩ってしまうだろう。


 そして、ういういさん的にも不本意だと言う気持ちが顔から溢れ出ているのが、私の目からも見て取れた。

 きっと、シズ1000だけは、自分の味方だと思ったのかも知れないなぁ……多分。


 どちらにせよ、シズ1000が簡素に纏めた内容を、私も近くに行ってツラツラと読んで見る。


 ……ああ、なるほど、これは分かりやすいわ。

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