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誠実さを試す試練だが、真の虚言者は……【2】

「ちょっと、リダ! あんまり無責任な事を言わないでくだしゃ~! このバカは、額面通りに受け取ってしまう、社交辞令を知らない激烈バカなのですから? ちゃんと、ストレートに物を言わないといけないのです!」


「誰が激烈バカだっっ!」


 すかさず反論に転じたみかんの言葉に、いよかんさんがこれ以上ないまでに眉を釣り上げて怒鳴り声を上げて来た。


 以後は、みかんといよかんさんの二人による、見苦しい罵り合いが始まっていた。


 この二人、冒険者としての能力は超高レベルではあるんだけど、精神年齢と言うか、オツムのレベルは最下層クラスだったりするんだよな。


 少なからず、みかんの見せる態度は私からすればお馴染みでだった。

 そして、その孫でもあるいよかんさんも、やっぱりみかんと似た様な性質を持っているんだろう。

 良くは知らないけど、今の二人の態度を見ている限り、笑ってしまうぐらいに似てるよ。


「本当、この二人って仲が良いのか悪いのか……?」


 雑言の応酬を互いに繰り返すみかんといよかんの二人を見て、ういういさんが嘆息混じりに苦笑していた。

 一攫千金の瀬戸際とも言える現状を加味するのであれば、誰よりも真剣に取り組もうと考えるのがういういさんだろうし、高難度ダンジョン攻略と言うよりピクニックにでもやって来ているかの様な悠長さを見せるみかんといよかんの態度には苛立たしい気持ちになっているんじゃないのかなぁ……と少し勘繰りたくもなる情景ではあったんだが、不思議とういういさんには苛立たしさを感じる様な空気は一切みられない。


 なんてか、この二人の態度には馴れている……そんなニュアンスすら感じる態度だった。

 そして、それだけみかんやいよかんを信用しているんだろう。

 なんともおちゃらけた態度を、呼吸をするが如くやってのける二人ではあるけど、ここ一番の所ではしっかりと自分の仕事を着実にこなしてくれる……そんな強い信頼感があるからこその態度なんじゃないかな? 私にはそう言う風に見えたよ。


 そう考えると、なんだかんだでみかん達のパーティーは色々と良いバランスを保っているのかも知れないな?


 ……まぁ、なんとなくそう思うだけ……程度の話ではあるんだけどさ?


「お、およ?」


 和やかな空気がパーティーを包んだ状態で階段を降りて行くと……その先にあったのは水没した通路だった。


 むぅ……?


 見る限り、通路はなだらかな階段があるのみで、他に迂回路がある様には見えない。

 もしかしたら、隠し通路の様な物が、この道中……つまり、無駄に長い回廊みたいな階段の途中にあったのかも知れないが、それを全部調べるとなったら骨だ。


 恐らくキロメートル単位の距離があった階段を地道に調べないと行けなくなる。

 そこらを考えると、まずは水没した先にあるエリアを調べた方が良いだろう。


 ……と、こんな事を考える私がいた時だ、


「ほむぅ……これは、あれです? 水中を進めと言う事です? 実は他に進む道があって、こっちは罠的な意味があるとか?」


「うーむぅ……どうだろうな?」


 どちらにせよ、罠であるかどうかも含め、水没したエリアを最初に調べてみた方が良いとは思う。


 但し、この水没したエリアを強引に進むのではなく、やっぱり何処かに迂回路があると言う可能性も否めない。


 反面、ここまでやって来るまでに長い階段を降りて来た事を考慮するのであれば、結局やっぱり水没地帯を進む選択肢も念頭に置くべきだろうな。


 少し悩ましい選択を強いられそうだと、思案に暮れる私がいた頃、いよかんがドヤ顔になって口を開く。


「私は、これでも泳ぎは得意だで! 海女さん張りに水の中に潜っていられんぞ?」


 鼻高々に語るいよかんさんだが……私はちょっと苦笑してしまう。

 もしかしたら、これもいよかんさんなりのボケなのかも知れないけど……つか、やっぱりこの子はみかんの孫なんだなぁ……とかって、つくづく思えてしまったよ。

 これが素なのかボケなのかは知らないが、ボケであるのなら、みかんも同じ様なボケを平然とかまして来そうだったし。


「見る限りだと、ここから先はずっと水中が続いているみたいだから……海女さんレベルであったとしても、息が続かないと思うぞ?」


「えっ! そ、そうなのっ!?」


 そして、ういういさんにツッコミ半分の正論を貰って、ガーンッ! ってなる姿なんかも、やっぱりみかんを見ているかの様だ。


 うむ……。

 どうやら、みかん達の一族は、みんなこの手のボケを自然の成り行きからかましてくれているのかも知れない。

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