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誠実さを試す試練だが、真の虚言者は……【1】

 ういういさんに加え、みかんやその孫のいよかんさんの二人までパーティーに加わり、気付けば結構な人数になって来た。


 当初は、アリンと二人だけで行う筈だったダンジョン攻略ではあったんだが、成り行きが重なって、そこらの冒険者パーティーと同じかそれ以上の大所帯になった気がする。

 別段、それが悪いと言う訳ではないんだけど、人数が多くなれば、それだけ一人辺りの配当可能利益が減ってしまうのが少しばかり気がかりではある。


 今の所は、順調に借金を減らせてはいるけど、ここから先も同じ様になるとは限らないからなぁ……。

 実は、六人になった事でギリギリ借金を返済する事が出来ませんでした……なんてオチがあったら嫌だなぁ……なんて事を、そこかしこに考えつつも、私達は三番目の層へと向かって行った。


 三時間の迷路徘徊があった為、暫しの休憩を取ってから進んだ先は、なだらかで長い階段だった。

 

「なんだべ、この階段? 誰が作ったが知んにげんちょも(けれども)、随分となげー階段だない?」


 みかんと一緒に階段を降りていたいよかんさんが、思わずこんな台詞を吐き出してしまう。

 言いたい事は分かるな。

 かれこれ数十分は階段を降りるだけの状態が続いていたんだからさ?


 取り敢えず、変化と言う変化があるとするのなら、火山地帯でもあった二層目の熱さが、下に降りる度に引いて行ってる事ぐらいだろうか?

 最初の内は、微妙に熱量が減って来たかな? と感じる程度ではあったが、そこから数十分ばかり階段を降りて来た現在では、既に快適な温度まで下がっていた。

   

 ここを加味するのであれば、少しずつではあるが三番目の層へと近付いているんだな……と言う感覚も、なんとなく感じてはいる。

 三番目に近付いていると言うより、二番目の層から遠ざかっているんだなと言う感覚の方が高いかも知れないが。


 何にせよ、無駄に長い階段に辟易しているのかと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。


「こぉ~んな長い階段なら、観光名所とかになっても良かんべな~? いや~、この島は色々な所に見所があって飽きねない~?」


 笑いながら悠長に語るいよかんさん。

 ……流石はみかんの孫だよ。

 百年周期の高難度ダンジョンにいると言うのに、まるで観光気分だ。

 いや、完全にそんな気持ちでいるんじゃないだろうか?

 こんな態度を素で取れるのは、何も考えていないバカか、難易度の高いダンジョンであっても余裕のある実力者かのどちらかだ。


 前者であったのなら、私としても少し考え方を改めなければならないかも知れないが、みかんの孫となれば百戦錬磨のつわものである可能性が極めて高いし……その実力から、今の様な余裕をみせていられるとするのなら、むしろ頼もしさすら感じる。


 何より、場の空気が和むので、私的に言うのなら好印象でもあるな?


「おい、いよかん……にしゃ(お前)、ここがどう言う所なのか知ってんのが? 一つ間違えたら命が幾つあっても足りない危険な百年迷宮なんだぞ? いつ何処で危険があっか分がんねトコだぞ? もっと緊張感を持て」


 他方、みかんは少し恥ずかしい気持ちになって、いよかんを注意してみせる。

 みかんとしては、能天気過ぎる孫の姿が周囲の緊張を削ぐ結果になってしまうと考えたのかも知れないな?


 何より、今は常に気を張っているぐらいで丁度良い場所に立っている。

 一つの油断もままならない場所にいるのに、能天気スペシャルな態度を明け透けなく見せている姿は、みかんの目からすると単なるバカに見えたのだろう。

 

 実際に、何も考えていないのなら、私もそれに同感だ。


 しかし、現況を考慮するのであれば、嫌でも周囲に緊張が張り詰める空気が沈殿してしまう傾向にある。

 確かに能天気過ぎるのは問題ではあるけど、ピリピリし過ぎるのも問題だ。

 そう考えるのなら、少しでも緊張を緩和する態度を見せる、いよかんさんの様な存在も、今のパーティーには必要な気もするんだが、どうだろう?


「いよかんさんは、明るい人なんだな? なんて言うか、パーティーのムードメーカーと言うかさ?」


 私はいよかんさんを擁護する感じの台詞を口にする。

 少し気遣いと言うか、社交辞令にも近い感じではあったんだけどさ?


「そうですよね? そうですよねっ! いや~! リダさんって、スゴく人を見る目があると言うか、ウチのばっぱとは大きく違うと言うか! とにかく、分かる人なんですねぇ~」


 直後、嬉々として私に言って来るいよかんさんがいた。

 別に、そこまで誉められる様な事は言ってない気がするんだけどなぁ……?

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