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黄金島の二層目は、火山地帯【26】

「……さて、ほじゃ~無事に合流も出来た所で先に進みましょうか~? ちなみに、リダは大丈夫です? えぇと、アリンちゃんだったかな? 抱っこしているみたいですけど、重い様なら……」


 そこまで答えると、みかんは魔法の絨毯じゅうたんを召喚した。


「……これに乗せると良いです。安全・安心、信頼の絨毯なのです!」


 少し居丈高なまでに威張って言う。

 きっと、それだけの自信があったんだろうなぁ……と言う事だけは、みかんの態度と言葉の語気から感じ取る事が出来た。


 しかし、私としては、


「嬉しい申し出だけど、遠慮しとくよ。アリンは自分の可愛い娘だからな? 母親らしく自分で抱きかかえて置きたいんだ」


 アリンを自分で抱っこしていた方が、気持ち的には楽だった。


 安心・安全、信頼の絨毯だと言う言葉に偽りはないかも知れないけどさ? けど、やっぱりここは凶悪なモンスターが無駄にうようよしているダンジョンだし……親としては、多少の疲れを差し引いても尚、自分の胸元にいてくれた方が安心出来たりもするんだよ。


「そ~ですか。ほむ、良いですねぇ~。母性愛を感じますねぇ。あのリダが、まさかこんな子煩悩になるなんて……昔を知るみかんさんから考えると、全く予測出来なかったかもです」


「そりゃ……なぁ? あの当時の私と今の私とじゃ、全然考え方も違ったし……なんて言うか、人間は変わる物なんだと思うぞ?」


「そ~ですねぇ。でも、みかん的には良い意味での変化だと思うのですよ~」


 みかんは朗らかな笑みを作ってから、私に答えた。


 うむ、確かにその通りかも知れないな?

 何となくではあるが、私もみかんの言葉には同感だ。


「ほじゃ~、このままで大丈夫です? 問題ないのであれば、このまま行きます~」


 一拍置いて答えたみかんの言葉に、周囲の面々は一同に頷いていた。


 一人、アリンだけ私の胸元で穏やかな寝息を立てていた為、頷く事は無かったんだが。


 うむ、アリンも色々あって疲れたんだろうな。

 特に、ここに来る少し前の迷路ではかなり歩いてたし……歩き疲れもあるんだろう。

 今は素直に寝かせて置こうか。


 思い、私は穏やかな寝顔をみせるアリンを見て、ちょっとばかりほっこりした気持ちになりつつも、次のエリアを目指そうと前を向き…………ん?


 そこらで気付いた。


 やたら見張らしの良い所に、ドが付くまでの巨大なドラゴンと思われる存在が倒れている事に。


 ……えぇと? これは、あれか? この階層のボスか何かだったのかな?


「なぁ、みかん? あれ……お前が倒したのか?」


 私は山の様な巨体が倒れている方向に向かって指を差しながら尋ねると、


「ああ、偽物のアスドラノスです? ほですね? こんなのが地上に這い上がったら大変な事になりそうだったんで、みかんが始末して置いたです。本物だったら世界の危機だと思いましたからねぇ~」


 みかんはコロコロと笑いながら、私へと返答して来た。


 そうな? こんなのが地上に出て来たら、確かにエライ事になるのは間違いないよ。


 てか、アスドラノスか……ん? なに? アスドラノスっ!?


 しれっと軽い口調で言ってたみかんの言葉に、ついつい私も軽く感じで声を返してしまったが……ハッキリ言うと、洒落になってない最悪の地竜の名でもある。


 この世界では伝記として語り継がれているまでに有名な地竜で、世界が滅びそうになった……なんて話を、本の中で読んだ記憶がある。

 抽象的に他のモノで例えるのなら、ゲームのラスボスのモンスターだ。


 但し、みかんの言葉にあった『偽物』と言う台詞に間違いがないのであれば、恐らく複製か何かの類いなんだろう。

 思えば、このダンジョンにはミノタウロスの複製染みたのまで居たし、コイツも本体と比較すれば大した強くもない木偶の坊みたいなドラゴンだったのかも知れないんだが。


 だけど、そこを加味したとしても……アスドラノスを倒し、普通にケロッとした顔で、そこらの店屋で菓子でも買って来たかの様な口振りをみせているんだから……まぁ、相変わらずアホみたいな強さと言うか、底知らずの実力を無駄に誇示しているよなぁ……とか、思ってしまう。


 実際問題、みかんの実力はまだまだブラックボックスに隠れている部分が多い。

 むしろ、大多数と述べても良いんじゃないだろうか?


 そう考えると……本当にみかんって存在は恐ろしいな。


「全く……マジな話、お前ってハチャメチャな事を普通にやっちゃう所があるよな……?」


「およ? ほです?(そうですか?)みかん的に言うのなら、リダだって人の事が言えないと思うんですがねぇ?」


 いや、お前から比較したら、私なんてまだまだな気がするんだけどなぁ……?


 小首を傾げるみかんに、私は思わず苦笑いを作ってしまった。

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