黄金島の二層目は、火山地帯【11】
「やべっっ! マジッ!? このドラゴン、全部持って行きたいんですけどっっ!?」
他方、鱗一枚で高級馬車が買えてしまうだけの価値がある事を知ったういういさんが、瞳をドルマークにしてシズ1000へと叫んでみせた。
たった一枚の鱗で520万もするんだから、10枚も持って行けば、それだけで家が買えるだけの金が手に入ってしまう。
私的に言うのなら、これでも十分な収穫と言える。
一頭丸々持って行けば、上の層で手に入れたレア水晶を売り払った時に発生するお金と合わせて、借金がほぼ皆無になるのではないだろうか?
場合によっては多少オツリが来る可能性すらある。
挙げ句、ここで言う『多少のオツリ』と言うのは、日常生活を行うだけであるのなら余りある金額を意味する。
そう考えるのなら、このドラゴンを買取り業者の所にでも持って行き、冒険を終わらせても良い気がするなぁ……割りと本気で。
こんな事を考える私がいたのだが、
「う~!」
即座にシズ1000が両手でバッテンを作って来た。
簡素に言うのなら、ドラゴン一頭を丸々持って行くと言う行動に関して、全力で拒否する態度を見せていたのだ。
同時に、シズ1000のお団子からニョキッ! っと、アンテナみたいなのが生えて来る。
……うむ。
やっぱり、この魔導人形は色々とエキセントリックな魔導器だな。
そもそも、魔導器と表現して良いのかどうかで迷う様な存在ではあるんだけど、一定の魔法を使って産み出された人形の一種だろうし、生き物と言う訳でもないから……やっぱり、表現的には魔導器と言うのが正しいのかな……と、予測する。
私の中では、既に謎の魔導生物と化しているんだが。
何にせよ、アンテナを生やしては、そのアンテナをクルクル回していたシズ1000。
そして、アンテナの下にあるお団子から文字が出現した。
この先に、もっとスゴいお宝があるので、倉庫が容量オーバーするんだ! う~!
……と言う感じの文字が、右から左に流れる形で出現していた。
どうやら、長文の場合は、流れ文字に変わる模様だ。
これはこれで新しい発見だった気がするけど、わりかしどうでも良い発見だった。
ポイントとしては、この先にあるんだろうお宝を探知しているのは、あのアンテナだったと言う事の方が地味に驚きだった。
もはや魔導人形と言うよりも、小さなアンドロイドである。
こんな特殊な技術を持つ人形が、どうして今の文化レベルで作り出す事が出来るんだろう……?
ここらに付いては、私も予測の域を越える事が出来ないが、もしかしたらシズ1000は太古に失われた喪失の魔法……ロスト・マジックによって作られた、大昔の魔導人形なのかも知れない。
ここに関しては、実際にそうなのかどうかまでは定かじゃないんだけどさ?
ただ、何千年も前にあったろう太古の技術は、今の時代とは比べ物にならないまでに進歩した技術が当たり前の様にあったと言う話を聞いた事があったし……ニイガの街を襲ったエンシェントゴーレムは、推定で五千年以上は前に作られた、太古の魔導人形だったらしい。
あんな特殊な魔導人形が、こんなにポンポンいるとは思えない私ではあるが……しかし、実際にそうでなければ納得出来ないまでに、謎めいた技術力を当然の様に見せて来るシズ1000。
うぅむ……。
や、やっぱり……私も魔導人形の卵を孵化させようかな……?
何となくだが、ナナ池の守護神であるナナちゃんが怪しいんだよな……シズ1000の制作者ってさ?
ここはまだ確信を得てはいない……と言うか、何となくそれっぽい事をういういさんが言っていた気もするけど……確証をしっかり得る為、シズに聞いてから行動に移しても問題はないと思えた。
これで、シズ1000と私が持っている魔導人形の卵が違うのであれば、孵化させないで置くし、シズ1000の異母兄弟に値するのであれば……その時は、私かアリンにボタンを押させる事にでもしようか!
そして、ユニクスには絶対に卵のボタンを押させないし、私の魔導人形が生まれても、ユニクスには触らせない様にせねば!
ああ……後は、私の人形を無駄に作る……じゃない、私に少しだけ似ている謎人形をこよなく愛する変態ドールコレクターにも注意が必要になるな?
ヤツは無駄にハエ軍団を駆使しては、やたら上手に情報をキャッチするから、人一倍気を付けないと!
こんな事を一頻り考えていた所で、私はハッ……となる。
今はそんな事を考えている場合ではなかったと言う、物凄く素朴な現実があった事に!
そ、そろそろ、思考をダンジョンに戻そうか。




