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黄金島の二層目は、火山地帯【7】

 快活な笑みはキラキラしていた。

 そこから見える歯もキラキラしていた。

 その周囲からやって来るオーラもキラキラしていた。


 てか、もう、なんでもかんでもキラキラしてた。


 なんでこんなポーズを取る事が出来るんだろう?

 ユニクスが勇者だからだろうか?

 老若男女問わず、全ての者を惹き付けるだけの魅力を持つ勇者。

 そう言われると、確かに当たっていると言わざる得ない魅力を、レッドドラゴンに見せていた。


 同時に私は思う。


 どうして、これだけの魅力を持つ希代の勇者様はレズなんだろう?……と。


 私の中で、今更感のある疑念が生まれていた頃、


 ボゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!


 希代の勇者様は燃えた。

 もう、見事なばかりに燃えていた。


 そりゃそうだよなぁ……?

 私も、そうなるんじゃないかと思ってはいたんだよ。

 序でに言うのなら、止める気でもいたんだけど……なんでか妙にやる気だったし、やたらキラキラしてたから、もしかしたらユニクスの魅力でどうにか出来てしまうんじゃないのかなぁ?……そうだと良いなぁ、ドラゴンと戦うなんて面倒だし。

 なんて思ってはいたけど、やっぱり無理だった。


「けほ……な、なんで……?」

 

 結局、自分の魅力は全ての生物に通用すると勘違いしてしまった残念勇者が、真っ黒焦げになって口から煙を吐き出していた。


 ……仕方ないヤツだな。


「……ったく! 早合点するなよっ!」


 直後、バッタリ倒れてしまったユニクスに、トドメの一撃として尻尾攻撃をして来たドラゴンから、私は素早く助け出す形を取った。

 結局は、ユニクスの尻拭いをする羽目になってしまったか。


 やれやれ……コイツが無駄にやる気を出すと、ロクな事にならないな。


「す、すいません……まさか、こんな事になってしまうとは……」


 申し訳ない感じの声音で言って来るユニクス。

 ……でも、良く見ると地味に幸せそうな顔になっていた。

 そこから然り気無く私の胸元に自分の頬をスリスリと……って、コラッ!


 次の瞬間、私の背筋に芋虫が這いつくばったかの様な悪寒が走った!

 ふざけんな! 私は同性愛者じゃないと、何回言えば気が済むんだっ!?


「いい加減離れないか? もう、ドラゴンはアリンとういういさんが止めてるから、ここは安全だぞ?」


 直後、私は口早にユニクスへと声を掛けた。

 これでも、お前なりに頑張ったと思っているから、優しく警告してやってるんだからな?

 そうじゃなかったら、お前……もう、既に爆発してるんだからな?


 私の中に存在していた負のオーラを感じ取ったのか? 間もなくユニクスは顔をさぁぁっ! っと蒼白にさせ、私から離れて行く。

 最初からそうして置けよ!


「この失態は、しっかりとリダ様の役に立つと言う形で返上させて頂きます!」


 そこから、いつになく神妙な顔付きになって言うユニクスがいた。

 きっと、私の胸元に自分の頬をスリスリしていた事への誤魔化しを予ての事だろう。

 つか、それ以外に考えられない態度なんだが?


 しかし、私は叫んだ。


「それはならんっ!」


「何故です!」


 いつになくシリアスな顔になっていたユニクスは、眉をよじりながらも私の言葉に反論していた。


 ……この言葉を私の口から言わせたいのか?


 本当は言いたくないのだが、仕方ない。

 今回の私はマジなんだ。

 六億の借金を真剣に完済したいのだ!


 よって、

  

「今のお前は戦力外だからだ!」


「ズバッと言って来たぁぁぁっっ!」


 本当は言うつもりではなかったのだが……今のユニクスは、やたら空回りする傾向にあるので、余計な事をするなと言う意味合いも兼ねて、文字通りの戦力外通知を宣告してやった。


 ただ、やっぱりユニクスとしても不本意極まると言うか……残念な気持ちになったらしく、


「私だって……私だって、ちゃんとしっかりトレーニングしてたのに……あれですか? 今の私の立ち位置ってヤム○ャですか? サイバ○マンに自爆されて死ぬ立ち位置ですか? 今後も真面目にトレーニングを積んでも、強敵が出ると真っ先に倒される立ち位置ですか? もう、それなら修行とかバカらしいんですけど?」


 四つん這いになった後、ばやきにぼやき……最終的には体育座りになって、頭上にどんより雲を発生させていた。


 ぐむ……少し言い過ぎたか。


 私としても、やや言葉の暴力になりかねないと考え、ちょっと色々と言葉を選んだつもりであったんだが……うぅ~むぅ。


「と、とりあえずはすまん……言い過ぎた。言い過ぎたが……今は邪魔だから素直に黄昏ていてくれ!」


「更に塩を塗って来たっ!?」


 その後、ユニクスは泣きながらどっかに走ってしまい、しばらく帰って来なかった。

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