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黄金島の二層目は、火山地帯【5】

「はは……面白いお誘いだけど、遠慮して置くよ。今の私は単なるミジンコに過ぎないからね」


 誰がアンタをミジンコなんて言うんだ?

 思わずツッコミを入れたくなる様な理由から軽く断りを入れて来たういういさん。

 

「ミジンコなんかじゃないとは思うけど……そうだな? まぁ、その内で良いから、軽く頭の片隅の中にでも置いといてくれれば良いさ?」


 やんわりと断って来たういういさんに、私は苦笑半分の状態で声を返した。


 どの道、今すぐと言う話ではない。

 今の私がやらならければならない事は、ういういさんとお手合わせをする事ではないからな。


「さて、続きだ。溶岩人形とか珍しいのが出て来るって事は、ここも一筋縄では……ん? どうした、シズ1000?」


 先を急ごうとしたういういさんがいた時、右手に石を手にしたシズ1000に呼び止められる。


「う~」


 そして、声を出した後にお団子から文字が浮かんだ。


 文字を読むと『この石は、グラム1万マール近くする高級魔導素材』と書かれている。


 ういういの目がドルマークに変わった。


「マジかっ!? なんで単なる溶岩人形が、そんなにアホみたいな価値のある素材で出来てんのっ!? これは、集めておかないとっ!?


 言うが早く、真っ二つにした溶岩人形達の残骸を集め始めるういういさん。

 本当に、この人の強欲っぷりにはいつも驚かされる。

 きっと、1マールでも値が付くのなら、死ぬ気で集めそうな気がしてならない。


 そうこうしている内に、新しい溶岩人形達が出現して行く。


 ……もしかして、ここって……無限に溶岩人形がわいて来るエリアだったりするのか?


 迷宮によっては、モンスターが底無しに出現して来るエリアも珍しくはない。


 大抵の冒険者は、そこが無限にモンスターが出現する場所である事が分かると、早々に立ち去ろうとするのだが、


「うっひゃ~っ! また出て来たぞ? 金の石がっ!?」


 ういういさんの場合だと、その限りではない。

 きっと、地面から金塊がわいて来た……ぐらいの感覚なんだろう。

 本当に良い根性してるなぁ……もう。


 喜び勇んで溶岩人形を斬り倒し、再び残骸を集め始める。

 そして、またもや溶岩人形が……ってオイッ!


「ういういさん、そろそろ次に行こうか? これじゃキリがない!」


「待とう、リダ会長! ここ、どう考えても金になるぞ! もう少し……あともう少しだけ、ここで金稼ぎをしないかっっ!?」


 目先の欲に捕らわれていたういういさんのせいで、地味に進むのが遅れたが……余談程度にして置こう。




        ○▲◎▲○




 際限なく出現する溶岩人形のエリアを抜けてから以降は、特に大きな足止めを受ける事なくダンジョン攻略が進んだ。


 つか、ういういさんが前衛に立つと、無駄にモンスターの残骸から金になりそうなのを手当たり次第に剥ぎ取ろうとするから、返って面倒な事に。

 そこで、強敵に値するだろうモンスターが出現するまでは、後方に下がって貰う事にした。


 ……まぁ、後方で倒されたモンスターを物色しては、金目の物を剥ぎ取ると言う行為自体には、なんら変わりはなかったのだが。


「うはぁ……これ、私も知らない素材だよ……幾らになるか知らないけど、たまらないなぁ……」


「う~!」


「え? 何? 単価三百万? おほ~っ! マジかっっ! マジですかっ! これだけでそんなにすんのっ!? もう、ウハウハだなぁ~っ!」


 もう完全に、ダンジョン攻略をしに来たと言うよりも、金になりそうな物を根刮ねこそぎ集めると言う行為に夢中だったういういさん。

  

 どうでも良いが、それ倒したのは私とアリンだからな?


 前衛が私とアリンの二人に変わり、遭遇するモンスターを片っ端から倒して行くと言うスタンスに変えてから以降、ずっとこの調子だ。


 その後、ユニクスの提案により、ういういの手に入れた素材による報酬の半額はウチらが頂くと言う形に変わっていたりもする。

 普段であるのなら、ういういさんの好きにすれば良いと思うんだが……今回は私も入り用があってな?

 申し訳ないが、半額貰うと言う形を取らせて貰う事にした。

 悪く思うなよ?


 そんなこんなで、やたらとモンスターに遭遇すると言う事を抜かせば、そこまで特別な事がなかった私達パーティーは、順調に炎エリアを進んで行く。

 

 モンスターのレベルは、上位の冒険者がパーティーを編成すれば、どうにか倒せるレベルの強さと言う所か? 百年迷宮の難易度からするのなら、まぁ普通レベルの強さなんじゃないだろうか?


 どの道、私とアリンからするのなら敵ではない。

 補助魔法こそ発動させていたが、補助スキルは温存する形で戦闘を行っても、然したる支障も発生せずに、先へと進む事が可能だった。


 うむ! 順調、順調っ!

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