借金完済目指し、黄金島【26】
「まぁ、そんな感じだ。それじゃ、頼むぞアリン! これはかなり重大な任務だ? 成功したら、ハーピー人形が手に入るクラスの手柄になるぞ? 気合いを入れてけ!」
「おぉぉぉぉっ! 分かった! 全力でやるおぉぉっ!」
激励する私の声を聞いたアリンは、途端に顔を真剣な物に変え、
超龍の呼吸法レベル3!
その場で補助スキルを発動させていた。
ドンッッッ!
刹那、アリンを中心にして強烈な烈風が吹き荒れる。
周囲に居たのが、私だけで良かった。
……ま、これでアリンは大丈夫だな?
確実に、私が言った事を実践してくれる。
なら、私も確実に仕留めてやらないとな?
思った私は、
超龍の呼吸法レベル4!
本気モードで、アリンの行動を待つ事にした。
レベル4は少しやり過ぎな気がするけど……確実に一発で終わらせたいからな。
こう言うのは、むしろ少しやり過ぎぐらいが丁度良い!
「いくお~! か~たま! センタリング上げるんだお~っ!」
私の準備が万端になった所で、アリンの声がやって来た。
ナイスタイミングだ、アリン!
ドカァァッッッッッッ!
次の瞬間、冒険者の中央にいた巨大モンスターが宙を舞った。
文字通りセンタリングを上げているつもりなんだろうアリンの蹴り上げにより、ボスモンスターは私目掛けて飛んで来る。
本当にパスしなくても良かったんだけどなぁ……いや、まぁ……これはこれで都合が良いんだけどさ?
既に右手を構えていた私は、素早く魔導式を完成させると、
超炎熱爆破魔法!
ドォォォォォォンッッッッ!
ボスモンスターを、そのまま空中で大爆発させた。
……うむ!
見事に決まったな!
正直、かなり距離を開けてはいたが、それでも周囲の冒険者を何人か巻き込んでしまうんじゃないかと心配していたが……どうやら、誰も巻き込む事なくボスだけを爆破する事が出来たみたいだ。
これぞ、作戦勝ちってヤツ?
補助スキルを入れた状態で、全力の超炎熱爆破魔法を直撃させた私は、完全に官軍状態で勝ち誇っていた。
……が、しかし。
「……へ?」
少しの間を置いた後……ムクッ! っと立ち上がって来たボスモンスターがいた事で、私は思わず唖然となってしまった。
レベル4の超炎熱爆破魔法の一撃をモロに喰らったのに……まだ、立ち上がる事が出来るのかっ!?
いや、それ所か、怒りモードになってしまったらしく……更に狂暴かつ凶悪化したオーラの様な物まで身体から捻出して見せる。
その狂暴なオーラを見た瞬間、周囲にいた冒険者達は恐れを成し、あたかも蜘蛛の子を散らす形で一斉に逃げ出した。
……中々の化物っぷりじゃないか!
何とも表現し難い、負の憎悪染みた闇色の感情をグォグォ言わせ、無言のプレッシャーを無秩序にばら蒔くボスモンスターを見て、私は思わず口元を緩めてしまった。
……そう。
口元が緩んだ。
面白い!
やはり、高難度ダンジョンと言うだけあるじゃないか!
こうなったら、トコトンやってやろうじゃないか!
ザンッッッ!
…………え?
手負いの獣状態となり、一層の狂暴さを露骨に見せていたボスモンスターへと本腰を入れて戦おうと考えた……刹那、目にも止まらぬ斬撃がボスモンスターに入った。
…………。
思わず絶句した。
比喩じゃない、真面目な所……本当に『目にも止まらぬ斬撃』だったんだ。
あんな攻撃……知っていなかったら避けれないぞ……。
もし、私がこの斬撃をかわすとするのなら……一定の予測を立て、予め先に回避行動を取る以外に方法はない。
……やられたよ。
下手したら、現世代の剣聖よりも強くなっているんじゃないのか?
なぁ?……ういういさんよ?
私は心の中でのみ、嘯いた。
鋭く素早く……そして、力強い!
まさに三拍子揃った、切れのある斬撃を見て、ういういさんの実力が更に上がっている事を悟る。
そして、この一撃がボスの最期となった。
鮮やかに切り捨てたういういの一撃により、ボスは斜めにスライスされ……切られた胴体部分を中心に、上部の肉体がスライドする形で地面へと倒れ……下半身もまた、上半身が崩れ落ちた直後に倒れていた。
かくして、尋常ではない一撃を放ったういういさんの斬撃により、第一層目のボスモンスターを撃破して行くのだった。
……と言う所で、今回はここまで!
次回に続く!




