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借金完済目指し、黄金島【25】

 全てに置いて、まずはボスを倒す事に専念した私だったが、ここに来て思わぬ出来事に遭遇する。


「……ぐむ」


 突進状態で進んでいた足も、ここでストップだ。


「……お?」


 同時にアリンも私の前で急ブレーキを掛ける形で止まった。


「どうしたんだお? か~たま?」


「うん……それなんだがな、アリンちゃん? この状態……デッカイ化物の周囲にわらわらといる冒険者達をどう思う?」


「お? 冒険してる人?」


 そのまんま過ぎるよ、アリンちゃん!

 まぁ、私としても少し遠回りな質問をしてしまった傾向にある。

 そう考えれば、そのまんまな回答がやって来ても仕方がないのかも知れない。


 そこで、私は極論に出た。


「なぁ、アリン? この冒険者達が一杯いる状態でアリンが攻撃魔法なり、なんなりをしたとしよう? 回りの冒険者達はどうなるかな?」


「吹き飛ぶお」


 だーよーねー!


 これでも私は、結構パーティーでの戦闘を経験している関係もあって、それなりの人数での戦いであっても、器用に立ち回れる自信がある。

 しかし、そんな私ですら、何人かの冒険者達を巻き添えにしてしまい兼ねない。


 それだけ、ボスを倒そうと考えている冒険者の数が結構いるのだ。


 私の目で見る限り……う~ん、二十人程度はいるか?

 恐らく、複数のパーティーが共通の敵となるボスモンスターを協力する形で倒そうとしているんだと思う。


 そこらの関係もあって、結果的に大所帯パーティー的な戦闘へと発展している模様だ。


 全員が一丸となって戦うと言うのは、私にとって素晴らしい光景だとは思う。

 ……いつもなら『やっぱりみんなが協力し合って戦う姿は美しいな!』と言う感じの感想を抱くに違いないのだ。


 だが、今回ばかりは勝手が違う!

 まだまだ序盤の階層など、さっさとボスを倒して次に行きたい!


 よって、出来る事なら強力な魔法をド派手にぶちかまして、短時間でボスを倒したい。


 ……が、そんな事をした日には、周囲にいる冒険者の大多数が吹き飛ぶ大惨事になり兼ねない。

 

 百歩譲って、私だけであるのならまだ我慢してグレードの低い魔法や技を使うと言う手もある。

 多少の時間は掛かるかも知れないが、これなら確実に巻き添えを出す事なくボスを倒す事が可能であったからだ。


 だが、ここでも一つ問題が発生する。

 

 アリンの攻撃だ。


 アリンはまだ三歳児と言う事もあってか、そこまで戦闘の経験と言う物がない。

 パーティー戦に至っては、全くの皆無と見ても良いレベルだった。


 そうなれば……周囲の冒険者なんぞお構い無しに暴れまくる可能性は極めて高いだろう。


 同時に私は、入り口付近で勝手に迷子となり、周囲の冒険者を巻き添えにしてモンスターを倒しまくっていたアリンを思い出す。


 そして、このままアリンと一緒に戦闘をした日には……あたかもデジャヴを見たかの様な状態になってしまう事は、想像に難くない。


 うむ、笑えない!

 この調子だと、またもや周囲の冒険者達へと頭を下げながらも治療魔法を掛けて行く謝罪巡りをする羽目になるだろう。

 もちろん、そんな事はしたくなかった!


 そこで私は一計を案じる。


 要は邪魔な冒険者……もとい、頑張ってボスと戦っている冒険者から、ボスモンスターだけを引き離せば良い。


 引き離せる時間は少しで良い……そう、ほんの一瞬で良いから、ボスと冒険者達をそれぞれ別の地点に変更させたい。


 じゃあ、どうすれば良いのか?


 答えは至ってシンプルな物だ。


 ボスだけを、別の位置に持って行く。


 冒険者の数は無駄に多いし……一々、説得をしている暇もない。

 そんな悠長な事をしている時間があるのなら、ボスが私達を狙って来るに決まっているからだ。


 他方のボスモンスターは一体のみ。

 数の上で言うのなら、こっちを移動させた方が、全てに置いて早いのだ。


 そこで、アリンにも簡単に理解して貰える話し方で、アリンに協力を頼んだ。


「なぁ、アリン? ちょっとだけ頼みたいんだが? あのデッカイのを上の方に蹴り飛ばしてくれないか? サッカーのセンタリングみたいな感じでさ?」


「お? センタリングだお?」


「そう、センタリングだ。学園の授業でやってるから、やり方は分かるだろう?」


 余談だが、学園の授業にある体育で、アリンは良くフラウとサッカーをしていたりもする。

 高飛車で、何かに事掛けては自慢げに物を言うフラウだが、大口を叩くだけあり、運動神経も達者だ。

 だからだろうか? アリンはフラウにサッカーだけは勝てない傾向にある。


 まぁ、技術的な面と言う意味で……なんだが。


 基礎体力と身体能力はアリンの方が圧倒的に高いので、最終的には補助スキルを使ったアリンの方が分があったりもするんだけど、そこは余談だ。


 ともかく、こう言った関係もあったので、私は敢えてサッカーに例える感じでアリンに頼んでみたのだ。


「分かったお! あのデッカイのをセンタリングすれば良いんだおね? か~たまにパスする感じで良いお?」


 別にパスはしなくても良いけど……まぁ、意味は通じたみたいだから良しとして置こうか。

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