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借金完済目指し、黄金島【17】

 最初は、何の役に立っているのかもサッパリ分からん……と言うか、そもそも意味なんてあるのか? とか思ってしまったポールが、どう言う訳か? 一定の間隔を開けて立っている。


 取り敢えず、迷宮内にあるオブジェの様な物か? こんな事を最初は考えていたんだが……アリンの爆破に巻き込まれた冒険者達の手当てをしている時に、ある不自然な点に気付いた。


 それが、アリンも言っていた影だった。


 元来、影ってのは光の方向に沿って発生する。

 だから、日時計ってのがある訳だが……この影が、どう考えても不自然極まる方角を向いていたんだ。


 この不自然な影を見て、私はすぐにピンと来た。

 ああ……なるほど。

 月の闇と言うのは、月光の影を意味する言葉だったのか……と。


 我先に進んでいるマラソン冒険者達は気付いたろうか?

 いや……中には立ち止まって見ているヤツもいたし……その中には精霊文字を読む事が出きる冒険者がいたかも知れない。


 冒険者の世界では、比較的ポピュラーな言語でもあるからな?

 ご存じの方もいるかも知れないが、冒険者アカデミーでも教科の一つとして精霊語があるぐらいだ。

 簡素に言うのなら、冒険者をしているとそれなりに必要になる機会がある言語でもあるんだ。


 よって、あの立て札に気付き……かつ、精霊文字を読解した冒険者も少しはいたと思う。

 けれど……なんてか、大半は立て札にすら気付く様子もなく先に進んで行った模様ではあるし、よしんば気付いても、精霊文字を読む事が出来ないパーティーであったのなら、やはりあの内容を知る事は出来なかったろう。


 だからと言うのも変な話ではあるが、スタートの時点では千人はいたろう冒険者達の数も、かなりばらけた状態になっていたりもする。


 これはこれで、互いに色々な目的もあるだろうし……今回のダンジョン攻略で完全攻略を目指している冒険者達もかなり少ないだろうから、この流れは結果として起こってもおかしい状態ではなかった。


 本当、復活したてのダンジョン攻略ってのは、その冒険者によって目的が大きく変わって来るからな。

 

 単なる冷やかしで入る冒険者もいれば、高い難易度のダンジョンをどの程度攻略する事が出来るか?……言うなれば、腕試しの様な冒険者パーティーもある。

 いずれにせよ、彼ら共通の目的は一攫千金だ。


 冷やかしで入ったダンジョンであっても、運良く大金になるレアアイテムを手に入れる事だってある。

 つまる所が、まずはなんでも良いから行動に出ている連中もいる……と、まぁ、そんな感じだ。


 私の場合は、腕試しではないけど、ダンジョン攻略派に入るのかな?

 

 そう言った類いの冒険者が、一体どの程度の人数いるのか?

 ここに関しては結局の所分からないと言うのが正直な話ではあるが、極力少ないと助かるなぁ……。

 なんと言っても、私にとってのライバルは、攻略目的でこのダンジョンに入っているダンジョン攻略ガチ勢になるんだから。


 なるべくなら少ない方が良いし……そして、可能であれば自分達だけでクリアを果たしたい所だ。

 

 パーティーを組んだら、その人数に応じて報酬が分配されてしまうからな。

 六億なんて金をどうにかしたいのであれば、やっぱりパーティーになんぞ入れないよな……例え数億の金になっても、それを何人かで分配しないと行けなくなるし……。


 借金は、人の心を変えてしまうよ……とほほ。


「……まぁ、良い」


 私は誰に言う訳でもなく呟く。

 ここらで深く考える事をやめにした。

 考えた所で何も解決はしないし、余計に頭と胃が痛くなるだけだ。


 それなら、今は何も考えず……ダンジョン攻略にだけ集中して行けば良い。

 きっと、そっちの方が色々と上手く行くだろうし、何より私らしい。

 深く悩むのは、やっぱり私らしくないな……なんて、つい思ってしまう私がいた。

 本当の私なんて自分でも良く分かっていないし……もしかしたら、常にうじうじしている自分の姿も、自分らしさなのかも知れないんだけどさ……。


 けれど、やっぱり自己暗示は大切だ。


 そんな弱い自分がいたとしても……


『こんなのは自分じゃない! もっと気を強くもとう!』


 ……そう考えれば、自ずと気持ちも変わって来る……そんな気がした。


 ともかく、悩むのはやめたっ!

 何事も、前進あるのみだっ!


 思考をダンジョン攻略に切り替える形で前を向いた私は、月の闇が示す方角へと歩き出す。

 しばらく進むと、洞穴の様な所にぶつかった。


 同時に、結構な数の冒険者達が足止めを喰らっている様に見受けられる。


 何があったと言うのだろう?

 ふと、こんな事を考える私がいたが、近くまでやって来た事で、冒険者達が足止めを受けている要因を知る事が出来た。


 もう、完全に見れば分かるレベルだったな?


 何やら、強そうなモンスターが道を塞いでいたんだよ。

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