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借金完済目指し、黄金島【6】

 最初は幻聴かと思ったが、やっぱり違った様だ。


「あれ? か~たま? ユニクスがいるお? ここってサァドの島だったおね? ユニクスっぽい人?」


 幻聴だけにとどまらず、ちゃんとユニクスの姿まで見る事が出来たからだ。

 しかも、ハテナ顔のまま小首を傾げているアリンの態度を見ても分かる通り、それはアリンの目にも映っている事になる。


 つまり、ちゃんとそこに居るのだ。


「……ったく、お前は何処にでも沸いて来るな……?」


「人をボーフラみたいに言わないで下さいよ! 私は純粋にリダ様が行く所にしか出没しませんから!」


 呆れ半分に答えた私へと、ユニクスは心外極まると言うばかりのだみ声を返して来た。


 私からするのなら、下手なボーフラよりも酷いと思うんだが?

 少なからず、私からすればボーフラと同じかそれ以上に迷惑な話だ。


「話はアシュアから聞いております……なんでも、この島の百年迷宮に挑むとか?」


「なんで、こんなヤツに話すかな……」


「こんなヤツとは何ですかっ!? 私は、リダ様のしもべにして側近中の側近に当たるユニクス・ハロウですよ! リダ様がいる所には必ず私がいる……それは天地神明の時より決まっていた運命さだめでもあるのですから!」


 そんな運命いらんわっ!


 相変わらず頭が痛くなる様な台詞をしれっと口から放つユニクスがいた。

 本当、コイツのおかしな性格はどうにかならない物だろうか?


「やっぱりユニクスなんだお? か~たま、どうしてユニクスがいるんだお?」


 こっちが知りたいよ!


「はは……か~たまにも良く分かってないけど、観光かな? 一人旅の途中でバッタリ会った『だけ』だろ?」


「いや、待って下さいリダ様! 女の一人旅で、サァドの島に来る人だっているかも知れませんけど、私はそんな旅をしたいとは思ってませんからね? 最近は一人旅も流行っていて、結構な人気を誇っているみたいですけど、私はリダ様がサァドの島にやって来たから、必死になって追い掛けて来ただけですからねっ!?」


 だから、なんで追い掛けて来るんだよっ!?


 いつにも増して馬鹿な事を平然と叫ぶユニクスに、私は途方もない脱力感を抱いてしまう。

 大方おおかた、大した考えもなくついて来たのだろう。


 そして、私とアリンのペースについて行く事が出来ず、少し遅れてようやく私達に追い付いた……と言う感じだろうか?


 実際、サァドの街に到着し、近くにある砂浜を歩いていた所で、ようやく追い付いたと言う感じだった。


 時間にして約一時間差と言う所か?

 ……ふぅ~むぅ。


「良く考えたら、ユニクスもかなり能力を上げているんだな? 私とアリンの二人がほぼ全力で滑空魔法を発動させて飛んでいたと言うのに、もう追い付いた訳だから」


 私は少し感心してみせる。


 トウキの街からサァド島まで、直線距離で約2000キロ。

 中央大陸の内陸部から海を越えて飛んで来た訳なのだが……私達から一時間遅れでやって来ると言う事は、この二千キロを一時間二十分程度で飛んで来たと言う計算になる。


 早さ的に言うのなら戦闘機張りの早さで飛んで来た計算だ。

 

「とうとう、お前も人間離れして来たんだな……」


「それ以上の速さでこの島にやって来たリダ様に言われたくない台詞ですね」


 少し化け物を見る様な目で言う私に、ユニクスは見事なブーメランを返す形で私へと言って来た。

 ここに関して言うのなら、私は何も反論する事が出来なかった。


 よって、敢えて話のベクトルを変える事にする。


「それよりユニクス? 学園は良いのか? もうすぐ卒業だろ? こんな所で油を売っていたら、いくら優等生であったとしても先生に余り良い目では見られないんじゃないのか?」


「それはお互い様ですよリダ様?……それに、です? 私はこのまま休学し続け、来年はリダ様と同じ教室で勉強をすると言う大いなる野望を胸に秘めているのです。むしろ渡りに船と表現出来ましょう!」


 お前、本気で言ってるのか?


 自分から進級しない事を望む学生も珍しい。

 前にも似た様な事を言ってた様な気がするし、私もその時が呆れた気がするけど……そんな事を本当にやったら、マジで親御さんが悲しむと思うんだが……?


 どちらにせよ、ここでユニクスを引き返す様に言っても、ユニクスは絶対について来るに違いない。


 説得しても、納得した振りをして……コソコソとストーカーするだけで終わってしまうだろうし、ユニクスを爆破した後、素早くこの場から逃げても……ユニクスなら地の果てまで追い掛けて来そうだ。


 …………。


 どうしよう?

 なんか、こんな事を考えたら、ユニクスが物凄く危険な人物に感じて来たmんだが?

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