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百貨店、爆発する【18】

「リ、リダ様ぁぁっ! 何をモタモタしているんですかっ!? も、もうぅ……私も限界です!」


 他方、未だなんちゃってシリアス路線をばく進していたアシュアが、苦悶の表情になって私へと叫んで来た。


 表情を見る限りだと、シチュエーション的には一番盛り上がる様な? そう言う切迫したシーンを彷彿させる感じではあったんだが、やっている事は見苦しい小競り合いの様な物だったので、最初から盛り上がる様な事はなかった。


 てか、別に私はバアルが近くにいても困りはしないぞ?

 ふざけた事を抜かす様であれば、普通に爆破するだけの話だし。


 だからと言うのも変な話ではあるが、ルミの説得をするルゥを待っている間に、


「ふんぐぁぁぁっっっ!」


 バアルが自力でアシュアの束縛を解いていた。

 大悪魔アスタロトが全力で引き留めていたと言うのに、それでもどうにか自力で脱出出来てしまえる所あたりは、流石は地獄のナンバー2と言われる天下の悪魔帝王と称賛すべきか?


 ベルゼブブには悪魔帝王なる称号は存在していないが、コイツは地獄の世界で二番目の権力を持った大悪魔であり、悪魔王でもあるアスタロトや同じ悪魔王でもあるエウリノートも従えている為、従属する国王を束ねている所を加味し、敢えて私はそうと表現した。


 そう言えば、ベルゼブブにはもう一人悪魔王クラスの大悪魔がいたな?


 ふと、私は思い出す。

 しかし、そいつの名前は確か……バアルだった様な?


「ふははははっ! 残念だったなアシュア! 我が敬愛するリダ様は、しっかりと自分を待っていて下さったのだ! 貴様とは慈悲深さの格が違うのだっ!」


 程なくして、完全に束縛から逃れたバアルが、勝ち誇った顔で高笑いしていた。

  

「くぐぅ……しくじったか……いや、しかし! 私は私なりの愛を貫く! 一度がダメなら二度やるまで!」


 勝ち誇るバアルを前に、アシュアが再び取り押さえようとバアルに近付くが、バアルは全てをヒョイヒョイとかわすだけにとどまっていた。

 本当にコイツら……何がやりたいんだろう?


 まぁ、良いや。

 せっかくだから聞いて置こう。


「おい、バアルとアシュア。仲良くじゃれあっている所悪いんだが、ちょっと聞いても良いか?」


「なっ!? リ、リダ様っ!? この私が畏れ多くもバアル様とじゃれ合うなどと言う分不相応な態度を行う筈がございません! でも、表現は当たっております!」


 どっちなんだよっ!?


 アシュアはしどろもどろになりがらも私へと反論しつつ……しかし、最終的にはグッジョブする形で私を称えていた。


「じゃれ合う? ふふ……リダ様、面白い冗談はやめて頂きたい。私は真剣にアシュアの束縛から逃れようとしていただけに過ぎません」


 だから、それがじゃれ合いだろう? って言いたいんだ、私は。

 どちらにせよ、その話をしていたら話が無駄に長くなって陽が暮れてしまうだろう。

 私は自分の知りたい事を単純に聞く事が出来たのなら、それで良いのだ。


「バアルとアシュア、どっちでも構わないんだが……お前らの組織にバアルって名前の悪魔がいなかったか?」


「バアルですか?……ああ、はいはい。いますね? ウチの常務です」


 ……常務なのか。

 いや、アシュアが専務なんだから、ほぼ同格の悪魔が常務をしていてもおかしくはないんだけどさ。

 けれど、なんとも微妙な気持ちにさせられるのは私だけだろうか?

 

「今も、名前はバアルなのか?」


「いえ、それだとバアル様と被ってしまい、何かと紛らわしいので今は『名状し難いバアルの様な者』と言う名前になっております。長いので私はバールと略して呼んでますね」


 いや、それ略してないだろ!

 単に元ネタをバラしてるだけだろっ!?


 と……とりあえず、言いたい事は分かった。

 

「ヤツはバアル様を崇拝している悪魔の中の悪魔でして……実は結構気が合うのです。今日も一緒に近所のファーストフード店でバアル様の事柄をアレコレと話しながら、会話に華を咲かせておりました。さながらちょっとした女子会ですね」


 バール、女だったっ!?


 余談だが、悪魔ってのは基本的に性別はない。

 ただ、アスタロトの場合は元々慈母神である為、女の姿で描かれる事が多く、根本的に女性でいる事が多い。

 しかしながら、混沌の世界にいる存在なので男になる事も出来る……と言うか、性別の概念は秩序のある世界だけなので、根本的にない代物だと考えて欲しい。


 話が反れたな。

 つまり極論からするのなら、バールと言う存在はその気になればどっちの性別にもなれると言う事だ。

 厳密に言うのなら、そのどちらにもなれるけど、実際にはそのどちらでもない存在なんだが……話がややこしいから、性別は自由に変えられる物と解釈して貰えたら幸いだ。

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