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百貨店、爆発する【14】

 余りに非現実な価格過ぎて、思わず意味不明な戯言を叫んでしまった。


「リダ! お願いだから、現実に戻って来て? 持病の母なんて、リダに居たの? 居ないよね? もし居たとしても、腹痛なのはリダの母でしょう? あなたがトイレに行ってどうするのっ!?」


 直後、口から出た大嘘をしっかりと正論で返して来るフラウがいた。

 私だって分かっているんだよ! だけど、三万だぞ、三万! 気が動転してもおかしくない金額じゃないかっっっ!?


「あのぅ……購入は断念されると言う事で大丈夫ですか?」


「はい! 誠にお日柄も良い今日に至っては、残念ながら断腸の想いで購入を諦めると言う形を取りたいと考えましたでしたのです!」


「そ、そうですか……はは」


 遮二無二テンパった私に、店員さんは口元をヒクヒクさせながらも笑みで声を返していた。


「えぇぇっ! 買わないおーっ!? やっぱり、か~たまケチんぼ! ケチケチ魔神なんだおぉぉぉぉっ!」


 直後……案の定と言うか、なんと言うか……アリンの機嫌が斜め四十五度に傾いていた。

 毎度毎度、本気で無理な事ばかり言うからじゃないかっ!

 何処の世界に、単なるボンボンを三万も出して買うヤツがいるって言うんだ? 何処の金持ちだ? 庄屋の娘か? ス○夫の親戚かっ!?


「あ、マム? このボンボンは可愛いです。買い物リストに入れましょう。きっとリダさんが喜んでくれます」


 王族様だったかぁぁぁっっっ!?


 こんなの買うヤツなんて居ないと思った矢先、まるでタイミングを狙ったかの様に購入検討をしているルゥ姫様がいた。


 しかも、台詞を耳にする限りだと、私へのプレゼント染みた発言をしている様な……?


「ルゥちゃん! か~たまじゃなくて、アリンも可愛いと思ったお! これ、欲しいおぉぉっっ!」


「あら、そうだったの? ふふ、じゃあ記念に買って上げるね?……でも、今は手持ちが少ないから、ニイガ王室に書状を出して、後で使用人に買って貰う感じになるから、もう少しだけ待ってね?」


 マジか! マジで言ってるのかっ!?

 すげぇ……やっぱり王族! マジで半端ねぇッス!


 三万もするボンボンを……あたかもそこらの雑貨屋で売ってるヤツでも買うかの様な軽やかさで言うルゥの態度に、王たる威厳染みた物を抱かずには居られなかった!


 本来であるのなら、こんな物乞い染みた真似をするのは気が引けるのだが……相手が王族なら、多少は大丈夫なんじゃないかな……と思う。


 それに、だ?


「えぇ……と、そのぅ……わ、私も一つだけおねだりしても良いかなぁ……?」


 上位ワイバーンを討伐し『今の私は金持ちだから!』って感じで無い胸を張っていた筈の上位魔導師アークウィザード様まで、こんな事を言って来る始末だ!


 上位魔導師の威厳は何処に行ったのかな?


「はい! もちろんです。リダさんやアリンさんにだけ買うなんて、そんな不公平な事はニイガ王室の王族として許せない恥辱でもあります。最初からフラウさんにも友愛の印になる様なプレゼントを……と、考えておりました」


 朗らかな笑みを柔和に作りながら答えるルゥ姫様。

 その笑みは、正真正銘のロイヤルスマイルだった。

 こう言うのを見ると、やっぱり王族ってのは別格なんだな。

 そして、ルゥがルミの娘だと言う事が良く分かる姿だよ。

 

 プレゼントとして貰える物が、普通に考えたら雑貨屋とかでも買えるボンボンだと言う所は地味に微妙な気持ちにさせられるけれど……逆に言うと、普段から使える物をくれると言うのは有り難いな。


 でも、三万もするボンボンなんて……普段では使えないよ……割りと本気で!


 どちらにせよ、私としてはルゥの好意を素直に受けようかな……なんて考えていた時だった。


「そうでしたか……リダ様は、わが社の小物を自前で買う事が出来ないまでに貧窮しておられたのですか……水くさいですね、そうであるのなら自分に相談して頂ければ、如何様にも所望される物を取り揃えて差し上げれると言うのに」


 いきなり会話の中に入って来る少年一人。

 元来の外見は違うのだろうが、現状の姿は完全に高校生程度のショタ系美少年していた人物が、いきなり何の脈絡もなく私達の会話に混ざって来た。


 ……てか、なんでお前がいるんだよ? バアルッッ!?


 余りに前触れもなく現れたバアルに、私は思わず数歩ばかり後退りをしてしまう。

 こんな登場の仕方ばかりするのなら、次は挨拶代わりに爆破してやるからなっ!?


「誰かと思ったら学園長じゃないですか? 今日はどうされたのですか?」

  

 脅かされる感じで声を掛けられ、ドキドキしていた私とは裏腹に、少し前から気付いていたのだろうフラウは、そこまでビックリする様子もなく口を開いていた。

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