表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
639/1397

百貨店、爆発する【5】

 ここは、危険予知も予て、色々とイメージトレーニングして置こう。


 まずは地下一階だ。


 デパ地下と言えば、定番となるだろう食品エリア。

 どうやら、ここの百貨店も御多分に漏れる事なく、地下に食品売り場がある模様だ。


 ポイントは、ここにどんな物が売られており……かつまた、うちの食いしん坊がどれだけ無駄なお菓子を欲しがるかが大きなターニングポイントとなる。


 恐らく……いや、ほぼ間違いなく、アリンは好きなお菓子を好きなだけ買おうをしてくるに違いない!

 普通のスーパーですら、私の財布が『すいません……もう勘弁してくれませんか!』と、泣いていると言うのに、こんな豪華な所で同じ事をやられてしまったのなら、一瞬で財布がノックアウトされてしまう事は必死だ!


 可能であるのなら、ここはなるべく近付かないで置きたい。

 場所も地下一階だしさ? 素知らぬ顔して最初から最後までオールスルーする事が出来たのなら、私の精神衛生上、最も好ましい状態になるんじゃないかな?……と予測する事が出来る。


 うむ! 地下一階で良かった!


 しかしながら、私にとっての受難はまだ終わらない!

 それが、次の階層となる四階だった。


 ここは鬼門中の鬼門になるだろう……きっと、アリンが今の今まで見た事もない、綺麗でいかにも欲しがりそうな、超高価なオモチャが一杯あるに違いないからだっ!


 もうね……目に見える様だよ?『これ欲しいおっっ! か~たま、買って買ってぇぇぇっ!』と、私にしがみついて泣き叫ぶアリンの姿が……。


 私としても買ってやりたい気持ちはあるのだが……残念ながら無い袖は振れないのだ。

 こっちは、学生になってからと言うもの、大きな収入源と言う物がほぼなく……一応、会長としての給料も元来の十分の一程度しか貰ってないから……本当に本当に大変な懐具合を、どうにかこうにか頑張ってやりくりしているんだからさぁ……?


 余談になるのだが……会長としての給料は、実質上の減俸を自分自身に課している。

 元来であるのなら、会長としての給料を満額貰う事が出来るし、その権利も発生してはいるのだが……現状の私は会長としての職務を全うしていないからな? 十分の一でも給料が出ているだけでもまだマシとして置かなければならない。


 こう言った関係もある為、私の預金残高は笑ってしまうまでに少ない。

 こんな所でアリンに高い買い物をせがまれてしまった日には、私の精神的なHPと預金残高がゼロになってしまう事は間違いない!


 当然ながら、私としても絶対に阻止しなければならない重要課題でもあったのだ。


「それでどうするリダ? ここはやっぱり下から順に見て行く?」


 ともかく地下一階からはまずい……まず過ぎる……って待て!


 私の心情なんぞ、これっっっぽっちも汲み取る事が出来なかったフラウが、いきなり地雷の階層をほざいて来た!

 

「待ってくれフラウ! 一番下って言うと地下一階だろっ!? そこはダメだ! 確実に荷物が増える! まずは、荷物の出ない所から回ろう!」


 私は即座にフラウの言葉を却下して行く。

 

 果たしてフラウは答えた。


「え? このデパートって地下があるのっ!? す、すごぉぉぉいっ!」


 地下の存在に気付いていなかった事実を……。


 はぐわぁぁぁっっ!


 なんでお前は地下一階を失念してるんだよっ!? つか、何? このまま私が余計な事を言わなかったのなら、最初からみんな地下一階は知らないままで終わってたりするのかっ!?


「地下にお店があるなんて初めてかも?……やっぱりこのお店はちょっと他とは違うね!」


「いやいやいやっ! 地下に店があるのなんて、そこまで珍しくないだろっ!? 何なら、地下バーとかあったりするし? 普通に何処にでもあるだろうがっ!」


 うきうき顔で答えたフラウの言葉に、私は必死で反論してみせる。


 すると、そこでルミが思い出したかの様に言う。


「ああ、そう言えば……こないだ行ったリダの行き着けとか言うバーは地下にあったね? そう考えるとトウキの街には地下のお店があるのかも?」


 ナイスフォローだ、ルミ!

 私は心の中でガッツポーズを取ってみせる。

 思えば、ルミはあの酒場に行った事があったな!

 ……いや、まてよ? フラウやユニクスもいたなぁ? 確か!


「その店は知ってるけど……やっぱりお店って言うより、酒場じゃない? それにさ? 地下なのに凄く大きな広場みたいなショッピングエリアが広がってるんでしょう? そんな凄いの、私は見た事ないし? 見たいと思う好奇心が生まれても仕方ないと思うんだけどな?」


「うん、なるほど。私もそう思う」


 待ってルミッ! そこは簡単に納得しないでっっ!


 私の言葉に賛同していたルミであったが、間もなくフラウの言葉にもアッサリ頷いてしまうルミがいた。

 くそぅ……ルミだけは……ルミだけは親友だと思ってたのにぃっっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ