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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・編末オマケ短編
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リダ会長、冒険者見習いになる【28】

 それに、この二人を見ていると、中々にお似合いのカップルの様にも見える。


 ……いや、まさかな?


 ここに関しては、飽くまでも個人的な見解だ。

 実際の所は互いに別の彼なり彼女がいて、単なる職場上の間柄である可能性も十二分に考えられるが……しかし、それにしては随分と打ち解けあっている様な……?


 どちらにせよ、人の色恋にチャチを入れるのは忍びない。

 実際の所は分からないし、今は違っていても近未来的にそうなる可能性だってあるかも知れないが、今の所は仲良くやっている職場の二人……と言う事にして置こうか。


「よし、報酬も貰ったし、そろそろ帰ろうか?」


 何にせよ、ここは明るい職場だと言う事だけは確認出来た。

 それさえ分かれば良い気がした私は、隣に立っていたアリンに微笑みながらも声を掛ける。


 余談だが、研修生はクエストが終了し、組合から報酬を貰った時点で自主解散となる。


 研修生の受注したクエストの内容によって、早く終わったり遅く終わったりしてしまう為、時間を合わせる事が極めて困難であったからだ。


 そこで、開始時こそ組合支部の偉い人が研修生を集めて話をしたのだが、解散時には閉会式の様な物は一切設けず、その場で自主解散と言う形になっていた。

 私としても、こっちの方が楽だから良いとは思う。

 別段、研修が全て終わったあとに組合支部の偉い人から労いの言葉なんぞ貰っても大して嬉しくもないし、感慨深くなる事もない。

 私からすれば、かつてあった日常をほんの少しの間だけ体験したと言うだけの話だからな。

 何もかもが初めての経験と言える本物の研修生であるのなら、まだ話は別かも知れないけど、今でも現役の冒険者でもある私からすれば、果てしなく無駄な時間だ。

 ここらを考えるのであれば、その場で即解散の方がかなり楽で結構な話でもあった。


 そんな訳で、私は無事にクエストを終了させ、研修生のリダさんも滞りなく終わりを迎えたと言う事にもなる。


 さて、今日はこれからどうしようかな?

 時計をみれば、夕方の五時程度だった。

 思ったよりも時間が経っていたなぁ……真っ直ぐ帰るもの良いかも知れない。


 こんな事を考えていた時、


「お? 帰るお? アリンもう、お腹ペコペコだおぉ~! 途中でご飯食べてかえりゅお~!」


 陽気な笑顔で言って来るアリンの姿があった。

 いや……アリンちゃんよ? あなたは研究所のミィコ課長からたんまりとお茶菓子を貰って食べてたよね?


 全く……こんな小さな身体の何処に、それだけの食べ物が入って行くと言うのだろう?

 この調子で食欲が旺盛になって行けば、将来はフードファイターだって夢じゃないのではないか? と、思わず嘯きたくなった私がいる中、


「仕方ないなぁ……それじゃあ、軽く何か食べてから帰ろうか?」


 私は少し妥協混じりに頷いてみせた。


 思わぬ形で臨時収入も貰えたしな?

 今日ぐらいは少し贅沢しても良いんじゃなかろうか?


「やったぁぁっ! じゃ、じゃあね? アリンはね? アリン、美味しい豚肉食べたいっ!」


 ……ああ、オークの事をまだ引き摺ってたのね。

 正直、三歳にしてクエストの討伐相手だったオークを倒して美味しく頂こうと本気で思っていた考え方を根本的に変えさせないと行けない様な気がしたけど、アリンなりに楽しみにしていた所もあるし……それを爆破魔法で木っ端微塵にしたのも私だからなぁ……。


「よし、じゃあ今日は豚料理が食べれる店にでも行こうか?」


「おぉぉぉっ! 今日のか~たま、太っ腹だお! 凄いんだよ! どっかに頭をぶつけたのかも知れないんだおぉぉぉっ!」


 これこれアリンちゃんや……私はいつでも気前の良い人間をしているよ? 無駄にバクバクとなんでも食べてしまう娘の体調管理をしたいから、か~たまなりに制限を掛けているだけなんだからね? そこ、勘違いしては行けないぞ!


 ……とは言え、今日は少しだけ特別な日でもある。

 非公式とは言え、アリンが冒険者組合のクエストを受注してクエストを達成させた、記念すべき日だ。

 親である私からすれば、おめでたい日と表現しても構わないだろう。


 そんな日ぐらい、最後まで頑張った愛娘への御褒美を予て大盤振る舞いをしてもバチは当たらないだろう。


「よし、それじゃあ帰ろうか? シャムジ先生、御指導ありがとうございました! それでは、お疲れ様でした!」


「お疲れしゃまでしたーっ!」


 私とアリンの二人は、受付のお姉さんと世間話を初めていたシャムジ先生へと深々とお辞儀をして、その場を立ち去って行くのだった。


 シャムジ先生は、最後までぎこちない礼儀正しさを無駄に醸し出して私に一礼していた。

 ……いや、だから……普通で良いんだってばっ!

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