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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・編末オマケ短編
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リダ会長、冒険者見習いになる【18】

 思わず唖然となる私がいた。


 クエストの内容は……オーク一頭の討伐じゃなかったのかっ!?


「あるぅえぇっ!」


 直後、再びシャムジ先生が驚きの声を上げた!


「あるぅえぇっ!」


 そして、アリンも驚きの声を上げた!


 こっちは真似してるだけだった!


 てか、さっき人の真似をするのは相手に悪い事だって言うのを学習したんじゃなかったのかっ!?

 ……もしかしたら、頭で理解しても身体が反応してしまうのかも知れない。


 どちらにせよ、今はアリンに構っている場合じゃなかった!


「シャムジ先生? これはどう言う事です? あれはどう考えてもオークではなく……アンデッドの類いですよ? つか、スケルトンじゃないですか? なんでオークのねぐらにスケルトンが湧いて来るんですかっっ!?」


 私は非難がましく叫んで見せた。


 こうと叫んだ私の台詞が全てを語っていたと述べても過言ではないだろう。

 洞穴の入り口にいた私達の前には、複数の骸骨達が地面から這い上がる形で地上にのし上がって来る。


 そして、敵意みなぎる眼光を見せては、一斉に私達へと攻撃を仕掛けて来た。


「くっ! まさかの緊急事態だ! どうしてこうなっているのかは知らないが……今回のクエストは中止! 俺が退路を確保するから、二人はすぐに……にげ……逃げろ……逃げれば、逃げる時!」


 然り気無く五段活用風味にまとめているけど、実際には五段活用になってない台詞を叫んでいたシャムジ先生。

 きっと混乱して、自分でも何を言っているのかわからなくなっていたのだろう。

 だって、仮に五段活用をちゃんと使っていたとしても、全くの意味不明だし。


 そして、シャムジ先生が思わず意味不明な台詞を口にしてしまった理由が眼前で展開されていた。


「……これは食べれないお? 豚はお肉があるからオークなんだお? 肉がない骨だけのオークなんて、オークじゃないおぉぉぉぉっっ!」


 惜しい! 最終的な意味は当たっているけど、これはそもそもオークじゃないよ、アリンちゃん!


 ドガッ! バキィッ! グシャァァァッッ!


 なんか、凄まじく剣呑な音が周囲に響く。

 美味しい豚肉に期待していた食べ盛りの三歳児が……来てみたら骨しかないオークと遭遇し、期待に胸を膨らませた気持ちを完膚無きまで叩きのめされた悔しさと憎悪が純粋に拳と蹴りによって表現されていた。


 そして、スケルトン達は次々と粉々に粉砕され……塵と化して行く。

 これはこれで、アホみたいな展開だった。


 ……なんでか?


 元来、スケルトンと言うアンデッドは……まぁ、アンデッドだからなのだが物理攻撃にはすこぶる強い。

 通常の斬撃を受けてもバラバラになるだけですぐに元の形に戻り、再びなに食わぬ顔をして攻撃を再開して来る。


 元来のスケルトン攻略は、プリースト等の不死者返還魔法ターン・アンデッドや炎魔法、光魔法等などで焼き払うと言うのが一般的だ。


 よって、力任せにぶん殴ると言う行為は、本来であるのなら実に非効率な攻撃方法と言えた。


 ……普通ならば、だ?


 しかし、物理攻撃も一定の打撃を与える事が出来れば、一応倒す事は出来る。

 また、アリンの攻撃には魔力が乗っていた。


 ここは、アリンが無意識に展開している行為なんだろう。

 補助魔法とか補助スキルとか云々の前に、アリンは攻撃の際、魔力を込める癖の様な物がある。


 きっと、これは本能的な物で、誰彼に教えられてそうしている物ではないのだろう。

 アリンの場合は、人よりも並々ならぬ魔力を所持しているから、きっと魔法の発動云々の前に、魔力を消費する攻撃をしてしまうのかも知れない。

 

 そして、それがとても有効だと言う事を、自分でも無意識の内に学習した結果が、今の攻撃方法に繋がっているんじゃないかと思う。


 アリンが繰り出す拳には、無属性魔法の様な魔力が込められていたのだから。


 この無属性魔法も素晴らしいなぁ……つか、アリンちゃんは何でも出来るのか? か~たま、少しアンタの才能に恐怖を覚えてしまうよ。

 

 無属性魔法とは、文字通り属性の存在しない魔法だ。

 厳密に言うと魔法でもなんでもない。

 魔法を発動する時に、魔導式を頭の中で紡ぎ……魔導式に基づく魔法が生成されて発動される訳だが、この時に魔導式へと注入して行く魔力が、この無属性魔法となる。


 この時点では、属性や目的を持っていない、ただの魔力だ。

 ここに魔導式を加える事で、属性魔法ないし何らかの目的を持った魔法へと化ける訳だな?


 攻撃魔法も補助魔法も回復魔法も、最初は無属性のニュートラルな魔法が基本的な下地になっており、全ての魔法は無属性魔法から出来ているのだ。


 ここがポイント。


 極論からして、何が言いたいのかと言うと? アリンの拳が、相手にヒットした瞬間に、この無属性魔法が化けているんだよ。


 そして、恐ろしい事に相手へとヒットした瞬間……相手にとって特効の属性へと瞬間的に変化しているのだ。

 もはやこれは、反則レベルの特殊スキルと述べて良いのではないか?

 しかも、オート・スキルの類いと表現出来る。

 簡素に言うのなら、アリンは無属性状態のまま『何も考えずに』相手を殴り飛ばせば良いだけなのだ。


 それだけで、ニュートラルだった無属性の魔力が相手に有効打撃を与える属性へと瞬間的に変化を起こし、超有効的なダメージを加える。


 ……と、まぁ。

 言うか易しだが、やってる事はメチャクチャだ!


 相変わらず、呼吸をする様な勢いで反則技をかます愛娘には、私もどんな台詞を述べて良いのか分からなくなっていた。

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