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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・編末オマケ短編
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リダ会長、冒険者見習いになる【16】

 同時に私は思った。


 ボチボチ、クエストを始めた方が良いのではないか?……と。


 今回のクエストには、特に時間制限と言う物は存在していない。

 よって、元来であるのなら特段急ぐ事はしなくても問題ないレベルではあった。


 しかし、今の私達は本職の冒険者として、このクエストを受注している訳ではない。

 飽くまでも研修生として、このクエストを受けているのだ。

 そうなれば、特に制限された時間が存在していなかったとしても、相応の時間的な制約が自然と出現してしまう。


 簡素に言うのなら、明日からはちゃんと学園の授業を受けないと行けないからだ。

 公欠が貰えるのは今日だけなんだよな……思えば、学園側ももう少し時間に余裕を持った環境を研修生に作ってくれても良い様な気がするのだが?


 ここに関しては、後で学園長と相談する必要があるかも知れないな。

 どちらにせよ、今すぐどうにか出来るレベルの話ではない。


 序でに言うのなら、今回のクエストは時間制限など関係なく日帰りで十分にクリア可能な内容でもある。


 最近……どう言う訳か? 今の私達から見える洞穴に住んでいたオーク達が、近隣住民の田畑を荒し……更に死傷者まで発生させると言う蛮行が確認されている。


 そこで、冒険者組合側ではこのオークを討伐するクエストを地域住民から引き受ける事となった。


 ……と、まぁ。

 元来のクエストでは、こんな感じだった。


 しかし、研修生でもある私達が行うクエストは、このクエストを達成する為の調査クエストだったりもする。


 調査クエストと言うのは、本番となる討伐クエストのお膳立てをする事前調査を意味する物で、そのクエストをより的確にかつ安全にクリアする事が出来る方法を探るクエスト。


 どんな事でも下準備は必要だ。

 この手の仕事では良く言われる事だが『段取り八分・仕事二分』なんて言われている。

 つまり、本番となる討伐クエストは、仕事全体の二割程度の意味しか持たないと言う事だな?


 もちろん、本番で失敗してしまったら、全ての努力が水の泡になってしまうので、結局は最後の締めを飾る討伐クエストの冒険者こそが一番の花形であり功労者でもあるのだが……そんな彼らがクエストを受注するに当たって、様々なお膳立てをする縁の下の力持ち達の功績があるからこそ成し遂げる事が出来るのだ。


 そんな訳で、今回の私達は裏方とも言える調査を担当する形で、現在の洞穴にやって来ていた。


 簡素に言うのなら、次に組合が冒険者へと斡旋するクエストこそが本番で、このクエストでは周囲にどんな物があるのかをくまなくチェックしてくれよ? ああ、折角行くんだから一匹ぐらいは仕留めてくれ? それじゃあ頑張ってね?……って感じのクエストなのである。


 まぁ、色々と重要な仕事っぽく綺麗事を並べはしたが、つまりは新人脇役の仕事でもある。

 私としては……なんて言うか、こうぅ……今一つ張り合いに欠けるなぁ……と。


 …………。


 い、いや、ダメとは言ってないぞ? 私は見習いでこのクエストを受けてる訳だしな?


 と、ともかくサッサと片付けてしまおうか?


 思った私は、


「では、シャムジ先生。早速クエスト開始を行きましょうか?」


 愛想笑い程度の微笑みを浮かべて、近くにいたシャムジ先生へと促しの文句を言うと、


「そうだな! まずは、私が先頭に立ってお手本を見せよう? 二人は、私の後ろから離れない程度について来る様に!」


 シャムジ先生は、キリッ! っとした顔になって私達へと言って来た。


 なんて言うか……妙に教官らしい態度をみせていた。

 ……って、実際に教官だった。

 うむ、普通に考えたらそうなるな? それじゃあ、お手並み拝見と行こうか?


 こんな事を胸中で考えつつ、


「はい、わかりました!」


 私も即座に頷きを返す。


「はいだお! シャムジ先生の真似をしっかりと全部するんだお!」


 一拍置いて、無駄にキリッ! っとした顔になったアリンが、歯切れの良い頷きをみせて来た。

 まぁ、舌足らずなんだけどさ?


「よし! その意気だ! 早速行くぞ!」


 シャムジ先生は、二人の良い返事を聞き、ご機嫌状態のまま意気揚々と洞穴へと向かう。


 果たして、

 

「あるぅえぇっ!」


 シャムジ先生は驚いた。


 ……そして。


「あるぅえぇっ!」


 アリンも驚いていた。


 きっと、真似をしていたのだろう。

 確かにアリンは言っていたよ……シャムジ先生の真似を全部すると。


 私的には、そこまでしなくても良いと思うんだよ。

 だけど、純朴と言うか純粋と言うか、ある意味で単純でもあった三歳児は、シャムジ先生の一挙一動の全てを丸々コピーしていた。

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