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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・編末オマケ短編
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リダ会長、冒険者見習いになる【6】

 その後、代わりの測定器がやって来るも……やっぱり爆発するのは目に見えていたので、事情を説明して次の測定へと移った。


 ちなみに、測定器の修理費は協会に請求するそうだ……。

 どうしよ……あれ、結構な金額するよねぇ……?


「か~たま? さっきのは何だお? か~たまの魔法が入っているお?」


 違うからねっっ!?


「あの測定器は、本当ならアリンの魔力を測定する機械なんだ……アリンの身体からほんの少しの魔力を取り出して、そこから能力を測定する機械だったんだけど……アリンの魔力が規格外に大きいから、ほんの少しだけ取り出すつもりが、異常な量を取り出してしまったんだよ……」


 私はげんなりする感じで言う。

 冷静に考えれば、私だってあの測定器で爆発を経験していたのだ。

 アリンだって以下同文になる事など、分かり切ってた事なのに……。


 大きく肩を落とし、心の中で『とんでもない額の弁償金が来ません様に!』と、強く切実に祈る私がいた頃、


「なんて事なの……上位魔導師たる私ですら、ちゃんと測定値が出たと言うのに……」


 大した意味もない所で、不毛な対抗心を燃やすフラウがいた。

 いや、要らないから……そんなライバル心なんて……。


「相変わらず、ドーンテン一族はやる事が違いますね……あの魔力の測定器は、上位魔導師が十人で一斉に測定しても壊れない代物だと言うのに……」


 他方、ルミに隠れて存在感が薄まっていたルゥが、青ざめた顔をしながらワナワナと身体を震わせ、脅威におののいていた。


 すると、何かの悟りを開いた様な面持ちのルミが、優しくポンポンとルゥの肩を叩いてから、うっすらと微笑みを作り、 


「リダやアリンちゃんは、人間と思った時点で負けなんだよ……これは、もう、天地神明の時から決まっている自然の理なの」


 爽やかな空気を作って、いかにももっともらしい口調でルゥを諭していた。

 どうでも良いけど、私はれっきとした人間だし、アリンもやっぱり人間なんだからなっ!?


「……ったく、コイツらは……」


 どうしても人間扱いをしたくないのだろうルミとルゥを前に、私は深いため息を口から重々しく吐き出した。


 本当なら、何か言ってやりたい所ではあるのだが、絶対にひねくれた反論を、途方もなくふざけた所から理不尽に言って来る事が目に見えていたので、口を動かす事なく次の測定へと向かう。

 

 次は……物理測定かな?


 いやぁ……これ、もう……嫌な予感しか、しないなぁ……っ!?


 と、取り敢えず、次はか~たまからやろうかっ!?


 思った私は、一足先に次の測定場所へと並んでいたアリンの手をグイッ! っと引っ張る。


「どうかしたお~? 順番だから、ちゃんと並ばないと行けないんだお~?」


 そして、私が手を引っ張れば、列からはみ出てしまうから迷惑だよ?……と言いたそうなアリンがいた。

 うん、アリンはやっぱり良い子だと思うし、そこに関しては私も鼻が高いよ。


 だけど、私は思ったのだ。


「この測定器はな? ちょぉぉぉっと……うん、本当にちょっとだけなんだけど、脆い測定器でさぁ? アリンが本気で測定したら、絶対に壊れるんだよねぇ……」


 私はアリンへと語る。

 表情こそ笑みを作っていたが、内心ではかなり必死だ。


「脆いお?……でも、なんか武器使って、みんなガンガンッ! って叩いてるお?」


 私の言葉に、アリンは小首を傾げながら答える。

 うん……分かる! 私にもそう見えるぞ! みんな、全力で叩いているよねっ!?


 実際問題、測定者の物理攻撃力を測る機械なのだから、みんな真面目に全力で測定器へとガンガン攻撃を加えるだろう。


 これも、特待生の試験で使われていた物とほぼ同じ測定器なのだが……正直、アリンの攻撃力なら……もう、ねぇ……?


 予測からして、新しい請求書が追加で作成される事、請け合いである。


 か~たまは、学生してるから!

 実は、割りとお金とか持ってないからっ!

 頼むから、これ以上の余計な出費はしないでぇぇっ!?


「まぁ、と、とにかく……だな? アリン? ここはか~たまがお手本を見せてあげるから、取り敢えずその列は抜けて、一緒に並ぼう? な?」


「えぇぇ……せっかく並んだのに、また後ろに行くお~? 面倒だお~? それに、壊れやすいなら優しくすれば良いんだお~? コツンッ! ってやれば良いお?」


 口を尖らせて言うアリン。

 

 ……うぅむ。


 確かに並び直すのは、三歳児ならずともストレスだろう。

 それに、優しくコツンと叩いてくれるのであれば、測定器を壊す事もない。


 正直『本当にコツンと叩いてくれるだろうか?』と言う様な疑念を持ったが、アリンは良い子だ。


 ……そう。


 アリンはとっても良い子なのだ!


 母親が信じないで、誰が信じると言うのか!?

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