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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・最終章
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助け合える明日へ【24】

「ともかく、これでアリンが空間転移テレポートを使う事が出来るんだな?」


 驚きと動揺を隠せないまま、私はアリンに問い掛けた。


 後で、空間転移の魔導式だけ教えて貰おう。


「使う事は出来うお! ちょっと、時間を縛る魔導式が怪しいから、失敗すると次元の狭間に飲み込まれてしまうかも知れないけど、使う事は出来うお!」


 でも、ちょっと危ないから、やっぱり良いや!


「そ、そうか……なら、やっぱりバアルに頼もうかな?」


「大丈夫だお? まだアリンは失敗した事がないお~」


 いや、それ『まだ』失敗してないだけでしょっ!?


「成功した事もないけど、失敗もまだなんだお!」


 そして、余計不安になる様な事を言わないでぇぇぇぇっ!


 冷静に考えれば、今作り出したばかりの魔導式なのだから、魔法を発動した事などないのだろう。

 よって、失敗している訳がない。

 ただ、成功もしてはいないのだが。


「じゃあ、帰るお~? ちゃんと、アリンの家の空間軸は覚えてるから、ちゃんと戻れるお~?」


 失敗して、次元の狭間に飲み込まれなければ……だろ?

 

 そこから、アリンは魔導式を頭の中で紡ぎ始め……って、待って! ねぇ、待って!?


「ちょ~っと待とうかアリンちゃん! せめて、一回……そう! 一回だけ、練習して見ようかっ!?」


「お? 練習するお?」


 あわてふためく私に、アリンはキョトンとした顔になる。


「じゃ、練習でか~たまに空間転移を掛けるお!」


「いやいやいやっ! か~たまはモルモットじゃないからねっ!? 生物実験に使って良い身体じゃないからねっ!?」


「お~? か~たま、面倒だお~?」


 アリンは眉をよじってぼやいた。

 ふー、やれやれ……的なボディランゲージまでされる始末だが、こっちだって成功率ゼロパーセントの危険な魔法を、ぶっつけ本番で掛けられたくないからなっ!?


「と、ともかく! 練習するなら私以外にしよう……えぇと、そうだな……」


 私は周囲を軽くキョロキョロしながら物色する。

 このまま行けば、次元の狭間に引き込まれてしまうかも知れない危険性があった物だから、かなり必死だ!


 つか、もう……最後の大団円! って感じの場面で、どうして生命の危機に瀕しないと行けないんだよっっ!


「よし、ユニクス! 君に決めたっ!」


 割りと本気で周囲を見回したのだが、私と目を合わせてくれず……まぁ、モルモットになりたくはないだけなんだろうけど……薄情なヤツめ! と胸中で舌打ちした時、ようやくモルモット……もとい、練習になれそうな存在がいた事に気付いた。


 爆破されていたユニクスは、目を渦巻きにしていて、頭上にお星さまをクルクルさせていた状態だった。

 もう、見事に意識が朦朧としていた状態のユニクスを見た瞬間、私の瞳がキュピ~ン☆ と光る。


 早速、私は行動に移していた。

 

 目を渦巻きにして倒れているユニクスの前にやって来ては、


「アリン? 練習として、ユニクスに空間転移魔法を発動してくれ? なぁ~に、大丈夫だ! コイツなら次元の狭間であっても元気で暮らしてくれるさ!」


 快活な笑みを満面に作りながら私は言った。


 その近くで引いた顔をしたフラウが『うぁ……最低だ』とか、ぼやきに近い声音を漏らしていた様な気がしたけど、聞こえない事にしておいた。


「分かったお~? あ、でも、か~たま? 意識がないと、次元の狭間に引き込まれそうになった時……本当にヤバイお?」


 ……何でそんな危険な魔法を、か~たまに掛けようとしてたのかな? アリンちゃんは?


「そ、そうか! よし分かった!」


 治療魔法リカバリィ


 言うなり、私はユニクスに治療魔法を発動させる。

 これによって、ユニクスの意識が瞬時に回復して行った。


「……う、うぅ……ん……? はっ! ここは?」


「良し! アリン! 今なら良いよなっ!? じゃあ、よろしくだっ!」


 ユニクスの意識が回復したのを確認した私は、すかさずアリンへと声を向け、それと同時にユニクスから素早く離れた。


 ……と、その瞬間。


 空間転移魔法テレポート


 アリンの空間転移魔法が発動した。


「……え? へ? はわっ!?」


 その瞬間、ユニクスの身体がフワリと浮き、背後にグニャリと歪む空間が生まれた。


 ……うむ。


 どうやら、まだ試作段階の空間転移魔法だけに、その場ですぐに空間転移する訳ではない模様だ。


 良かった……私じゃなくて!


「ちょっ……こ、これは何です? リダ様? え? 本当、これ何? ちょっと? ちょっとぉぉぉぉぉっっ!?」


 いきなり身体がフワリと浮き、背後にグニャリと現れた空間へと吸い込まれて行ったユニクスは、バタバタと手を振り、おもむろに焦りながらも悲鳴染みた叫び声を周囲に轟かせる。


 許せ、ユニクス。

 私は次元に狭間になんか、引き込まれたくなかったのだ!


 心の中で謝る私を前に、ユニクスはグニャリと歪んだ空間の中へと引き込まれて行った。

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