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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・最終章
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助け合える明日へ【16】

 魔力の自然回復に関しては……まぁ、別にこんなのが無くても自然と魔力は回復して行くので、自然回復による魔力の復活速度が多少早くなる程度なのかな?

 

 もしそうであるのなら、そこまで魅力は感じない。

 だけど、数パーセント程度の魔力向上と言うのは魅力を感じるな!


 私の場合、基本的な魔力の数値が無駄に高い為、数パーセントの向上となればかなりの上方修正が期待出来る。


 分かりやすくする為、一例を挙げよう。


 例えば、魔力が1000の人がいたとして。


 この人が魔力プラス500の魔導器と数パーセントの向上が見込まれる魔導器のどちらかを選ぶ事が出来る……となれば、ほぼ間違いなくプラス500の魔導器を選ぶだろう。


 魔力1000の人からすれば、プラス500は全体の50パーセントアップになる訳だからな?


 中には、自分の可能性と未来を考えて、数パーセントの方を選ぶ人がいるかも知れないが……大体の人間はそこまで自信家ではないし、無難に500の方を選ぶだろう。


 じゃあ、魔力10万の人ならどうなるだろう?


 仮に数パーセントと言う部分を5パーセントと仮定すると、増える魔力は5000になる。


 当然500を選ぶ事はなくなる訳だ。


 この様に、魔力の値が高くなれば高くなるだけ『○パーセントの上昇』と言う装備ないし装飾品の方が、より高い価値を持つ事になる。

 

 実際、固定値で上昇する魔導器よりも、パーセンテージで増える魔導器の方が高価な場合が多く、より上位の魔導師が好んで愛用している。

 ここから考えても、数パーセントの上昇を意味する魔導器が、如何に高い価値を持つアイテムなのか伺える。


 思わぬ所で、意外な代物を貰ってしまった私は、少しだけ得した気持ちで一杯になっていたのだが、


「うぉぉぉぉっ! やったぞ胸無しぃぃぃぃっっ!」


 外野からやって来る、耳障りな声援によって、私の喜びは見事に半減していたのだった。


 その後、ユニクスとバアルは当たり前の当然の様に爆破し、メイちゃんは土下座で勘弁してやったりもするが……余談程度にして置こう。


「遂に……遂に、私はやったんだ……」


 背後からやって来る胸無しコールは別として……周囲からやって来る、惜しみ無い拍手の中、フラウが感無量の涙を瞳一杯に溜め込みつつも、上位魔導師の証……真っ赤な金枠のブローチを握りしめていた。


 すると、ブローチは仄かな光を放ち……フラウの胸元にピトッ……と、自分からくっついた。


 見れば、私の貰ったブローチも、勝手にくっついている。

 ……しかも、剥がれない!

 え? なにこれ? 呪いのアイテムか何かなのかっ!?


 余談だが、服を脱ぐときはちゃんと離れるらしいのだが、それ以外は持ち主から絶対に離れない、特殊な魔法が掛けられているらしい。

 ……いや、だから……もう、それって呪いなんじゃ……?


 …………。


 わ、私は……何か、とてつもなく面倒な代物を貰ってしまったのかも知れない。


 正直、即行で返還したい気持ちで一杯だった……が。


「夢みたいだよ……この赤いブローチが私の胸に付けられる日が、本当に来るなんて……ぐすっ!」


 感涙しきりのフラウの姿を見ていると、顔を青ざめて『これ呪われてるよねっ!?』って感じの台詞を口にする事がどうしても出来なかった。


 言ったら、絶対に空気をぶち壊しまくってるよねっ!?

 言ったら、フラウに親の仇みたいな目をされるよねっ!?


 だけど、これ、絶対に呪われてるよっっっ!?


 既に装着してたと言うか……半ば強制的に装着する羽目になってしまった以上、下手をすると後戻り出来ない所まで来ているのかも知れないが……やっぱりお返ししたい気持ちで一杯だった。


 そんな、私の中で渦を巻いている葛藤を背に、フラウは大歓喜のまま自分の席へと戻って行った。


 ……取り敢えず、私も戻るか。


 今回の授与式は、私達だけではなくルインとメイスの二人にも行われる。

 よって、次はルインとメイスの番となるのだ。


 魔導師組合の偉い人から、それぞれ赤い金枠のブローチと水色の銀枠ブローチを貰ったルインとメイス。


 こちらは、相棒のメイスも大喜びだった。

 顔色を青くして『これ呪われてね?』と、地味にテンションを低くしている私とは対照的だった。


 他方、赤い金枠のブローチを手にしたルインも又、感極まって涙を流していた。


 これはフラウから聞いた話なのだが、ルインの場合はこれで三回目の試験だったのだと言う。


 つまり、過去二回ばかりの不合格を経ての合格だった。

 

 ……色々と苦労を乗り越えての上位魔導師だったらしい。


 こんな話を耳にすると、私もなんだか胸が熱くなる。

 よかったな……ルイン。


 歓声と拍手の中、ルインは泣き笑いのまま壇上に立っていた。

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