助け合える明日へ【15】
……?
なんでフラウはこんな態度を取るんだろう?
……っ!
そ、そうか!
「フラウ……もしかして、今日は少しアレな気分か? お月様が来ていて、気が立っているとか?」
「アホかぁぁぁっ! つか、私の月経はまだ一週間先だし! そもそも、リダなら分かるでしょっっ!?」
ああ、そう言えば、先月に生理が厳しいってぼやいてたな。
……うぅむ。
すると、他に何かフラウが短気になってしまう要因があったのだろうか?
「リダ……あんたは、私の何?」
「は? 何って……友達?」
「友達ではあるけど、そうじゃないでしょっ!? 一緒に試験を受験した相棒でしょっっ!? そしたら、授与式も一緒に来るのは当然じゃないのっ!?」
えぇぇ……。
わりと本気で言って来たフラウの言葉に、私はげんなりした顔になっていた。
何と言っても、だ?
「アレだろ? そしたら、あのコンビ名でおめでとう! とかって言われるんだろ?」
「……う」
つまらない顔してぼやく私の言葉に、フラウは思わず言葉を詰まらせた。
「そこは……ね? 私も不本意極まりないと言うか……心底嫌ではあるんだけどさ……で、でも! これで最後だし? ようやく私も晴れて上位魔導師になれる訳だし!」
いや、お前は良いかも知れないけどさぁ……?
「お前にとってはメリットがあったとしても、私にとってのメリットなんてあるのか?」
「親友の私が上位魔導師になるっ!」
「なんて身勝手なメリットなんだよ……」
しかも、本気で言ってるみたいだから始末に置けない。
「ともかく、授与式にはコンビで参加しないと行けないみたいなんだよ……だから、リダを探してた訳で」
「私は体調不良で、残念ながら参加出来ませんでした……ってのはダメか?」
「そんだけピンピンしてて、体調不良もないでしょ! むしろ、体調優良って感じでしょ!」
体調優良って何だよ……?
地味におかしな事を言ってるフラウに、私が少しばかり呆れ顔を作っていると、
「ともかく! もう、ルインやメイスは授与式の会場に居るみたいだし……このままだと遅刻しちゃうから、リダも早く来なさいっ!?」
声高にがなり立て、私の右手を両手で引っ張り始めた。
……ああ、これはマジの顔だな。
マジで、私は胸無しコンビおめでとうの式に行く羽目になるのか。
もう、軽い罰ゲームなんじゃないのか? これっ!?
せめて、コンビ名だけでも改名が許されたのなら、その式典に参加しても問題はないんだがなぁ……?
こんな事を心の中でぼやきながら、私は近くにいた山神様と魔狼のボスへと別れを告げて、フラウに引っ張られる形で授与式へと参加する事になって行くのだった。
○◎●◎○
そんなこんなで。
「胸無しコンビ、おめでとう!」
「胸無しコンビ、最強!」
「やったぜ、胸無し! 今日は祝杯だ!」
周囲に居る、心ない声援を背に、私は魔導師組合の偉い人からブローチの様な物をもらった。
案の定、ふざけた声援を受ける羽目になった。
良く見ると、授与式の一角に胸無しと書かれたアーチが設置されており……そこから、ふざけた声援がやって来ているのが分かった。
……なるほど。
やっているのは、ユニクスにバアル……あと、メイちゃんの三人か。
ただ、ユニクスやバアルの二人は満面の笑顔で叫んでいるのに対し、メイちゃんだけは困った顔をしながらやっていた。
きっと、先輩でもあるユニクスにやらされているのだろう。
そこに関しては酌量の余地がある。
メイちゃんには優しくしてやろう。
軽く、優しく、ふんわりした爆破と言う意味で。
他、二人は強烈なのをお見舞いしてやるから、覚悟しとけよっ!?
そこはさて置き。
魔導師組合の偉い人から、私もブローチを貰った事で、私がこの授与式に参加した理由が分かった。
この授与式で、相棒にも合格の証が渡される。
だから、授与式には参加しないと行けない……と、こうなる訳で。
ただ、受験生でもあったフラウとは別の色のブローチを貰っていた。
フラウのブローチは、金枠に真っ赤なブローチ。
私のは銀枠に水色のブローチだった。
これは、後から聞いた話なのだが、私が貰ったブローチを所持していると、魔導師組合の係員から一目置かれる存在になるらしい。
簡素に言うのなら、相棒としてではあっても、しっかりと厳しい試験をクリアした存在として一目置かれる存在になるのだと言う。
……でも、私の場合はもう会長してるし、こんなブローチの威光なんか必要ない様な気がするんだけどなぁ……?
そんな事を考えていた私ではあったが、このブローチは魔導師組合が色々と研究して作った、独自の魔導器でもあるらしく、装備するだけで魔力を引き寄せる効果があるらしい。
魔力と言うのは、密かに極微量ながらも空気中に存在している。
この、空気中に漂う魔力を吸い込み、多少ではあるが装備者の魔力を回復させて行くのだと言う。
また、魔力も数パーセント程度上昇する為、装備していて損はないらしい。




