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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・最終章
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助け合える明日へ【8】

 子供が殺されそうになって激怒しない親がいたら、もはやソイツは親失格だ。


 生憎、私は親失格の烙印を押されたくはない。

 当たり前の当然の様に、私は自分の子供を殺そうとしたヤツを許さないね!


 何より、人工邪神である事を考慮するのなら、早々生かして置く訳には行かない。

 コイツをのさばらせて置く事で、世界中に居る、何万……何十万と言う尊い命が奪われるかも知れないのだ。


 そう言った、ふざけたモンスターから人々を守る冒険者の代表として、コイツに引導を渡してやる事は然るべき処断とも言えるだろう。


 反面、幾分かの妥協と共和を考える私もいた。


 ここは少し甘い考えであるのかも知れない。


 しかし、人工とは言え邪神の力を誇示するその能力を友好的に活用する事が出来れば、世界はより良い方向へと加速して行く事になるだろう。


 一例として……核兵器なんかがそうだ。


 これを兵器として運用……そして使う事になってしまったら、世界は崩壊の道を歩んで行く事になるだろう。


 しかし、この核兵器があるからこそ、互いに戦争をせずに済んでいる。


 何故か?


 核弾頭が発射されれば、世界が終わる事を誰もが理解しているからだ。


 つまり、核兵器があるからこそ、軽率な行動を控える結果を産み、世界戦争への大きな抑止力に繋がっているのである。


 グローバルスタンダードとなった二十世紀では、二回もの世界大戦が勃発したにも関わらず……そこから以後は、近隣諸国同士の紛争や地域レベルの内乱程度で実質済んでいるのは、使ったら終末を迎えてしまう核兵器の登場によって、世界大戦を発生させない為の超強力な抑制効果を生んでいたからに他ならない。


 世界を終わらせる最悪の兵器が、現在では世界戦争を抑制するツールとして使われているんだから……なんとも皮肉な話だ。


 これと同じ様に、人工邪神もまた視点を変えれば平和活用する事が可能なんじゃないのか?……と思えた。


 敵対者は悪で、悪は必ず滅ぶべき存在だ!……とか言う、勧善懲悪で物事の全てを終わらせる、シンプルな英雄列伝であるのなら、なんの躊躇も遠慮もなく私は人工邪神を倒しただろう。


 ……こんな一抹の葛藤など、片鱗すら抱く事なく……だ。


 しかし、この葛藤を産み出すに至ったのは、私なりに掲げる目標に反する行為でもあったからだ。


 全ての生命と協力・共存する世界。

 ……所詮は理想論と言われればそこまでだ。


 この理想を完全に再現すれば、家畜とだってお友達になる必要があるのだから。

 この理想を完全に再現すれば、植物とだってお友達になる必要があるのだから。


 しかし、人間である以上……何かを食べないと生きては行けない。

 当然、これが罷り通れば『じゃあ、私は何を食べれば良いのですか?』って話になってしまう。


 もちろん、そこまで酷な事は言わない。

 自然の社会にある弱肉強食の世界を壊す事は、生態系に大きな影響が出てしまう事になるし、それはもはや行きすぎた平和主義も良い所になってしまう。


 よって、ご都合主義かも知れないが……協力する事を念頭に置いた世界を構築する事が出来たら嬉しい……と、最近は考えている。


 この世界は、まだまだ共存・協力する事が一杯ある。

 せめて……そこだけでも達成して行く事が出来たのなら……私は満足だ。


 ……っと、話が反れてしまったな。


 つまり、相手が邪神であったとしても、仲良くなる切っ掛けを掴む事が出来たのであれば、そこから融和の道を歩む事が出来たのではないのか?……そうと、私は考え……そして、一抹の葛藤へと繋がったのだ。


 他方、それとは別に、邪神には色々と聞きたかった事がある。


 西側諸国で行われている邪神の研究……そして、この研究に使われているコードネーム。


 ササキ。


 アインのヤツも言っていた。

 佐々木のヤツには気を付けろ!……と。


 詳しくは知らない……そう、知らないけど……仮にアインが言っていた『佐々木』と邪神研究に使われているコードネーム『ササキ』が一致しているとすれば、そこには少なからず私にも関係する話が出て来る筈だ。


 厳密に言うのなら、私の前世に関係する内容なのだが。


 しかしながら、私は前世の記憶をほとんど持ち合わせてはいない。

 多少、朧気な記憶を曖昧に持ち合わせている程度だ。

 ……まぁ、社会的な物とか文明的な物とか……向こうでは常識レベルな代物とかは、存外自分でも驚くまでに覚えていたりもするんだけどな?


 けれど、現状で有益な情報になるのかと言えば……残念ながら、その限りではないのだ。


 もちろんそうなれば、邪神から多少の情報を聞く事が出来たかも知れない。


 この一点を取っても、邪神を生かして置く利点として、それなりの価値を見出だす事は出来た。

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