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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第五編・最終章
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助け合える明日へ【5】

『ああ……そう言えば、居たなぁ……雑魚精霊から力を分け与えて貰った、勇者気取りのヤツが?』


 アリンを回復する私を前に、クリーチャーは不敵な笑みを浮かべながら口を開いていた。


 ……つか、この笑みで思い出したんだけど、こいつアレだ。

 この気色悪い笑みは、どこぞの道化師ピエロがやってる笑みだ。


 一応、オリジナルはあの道化師らしいんだけど……こんな所を、オリジナルに忠実に作らなくも良かったんじゃないだろうか?


『別に勇者を気取ってなんかないさ……もちろん、英雄になるつもりもない』 


 不気味な笑みを色濃く浮かべるクリーチャーを前に、私は淡々と口だけを動かして行った。

 それは自分でもビックリするまでに冷淡な態度とも言える。

 だが、同時に内部から燃え盛る怒りの炎が、ごうごうとけたたましい音を立てて燃えていた。


『お前はやっては行けない事をした』 


 私は呟く。


『へぇ? 俺様がお前に何をしたと言うのか? むしろ僅かながらの加護をお前にくれてやったろう? 別に毒を盛った訳でもないし、ウイルスの様な物だってない。純然たる善意で分け与えたと言うのに、それでも尚、俺様を恨むか? 逆恨みも甚だしいなぁ? はははははっ!?』 


 呟く私に、クリーチャーは屁理屈染みた台詞を口にして来る。


 果たして。


『やかましいぃぃぃぃっ!』


 私の怒りが表面に出た。


 刹那、


『……っ!?』


 クリーチャーの顔色が一瞬で変わった。

 それは、私に怒鳴られた事に驚いた……と言うよりも、私の中で烈火の如く燃え盛る怒りのオーラが一瞬だけ放出し……そして、そのオーラからやって来たのだろう膨大なエナジーに驚きを感じていた……そんな顔だった。


 かく言う、今の現象は私にも良く分からない……分からないのだが、一つだけ確かな事がある。


 水の加護を受け……そして、108人居たとされる水の精霊達の誰か。

 その誰かまでは私も分かってはいないのだが……ともかく、その誰かが私に特殊なスキルを発動させるコツを教えてくれた。


 結局の所、師匠は誰なのかも知らないし、コツっぽい代物を『なんとなく感じる』事で、現状のスキルを発動させていると言う事を、かなり曖昧ながらも感じていた。


 ……まぁ、なんてか本当に表現的に曖昧過ぎて理解に苦しむ内容かも知れないが……本当の所は私も完全には理解していないのが現状なので、こんな内容になってしまう事を許して欲しい。


 ともかく、私は教えて貰ったのだ。


 己のエナジーを自分の体内に留めて置くと言う、実に特殊なスキルを……だ。


 そして、早速このスキルの凄さを実感していた。

 同時に、今の自分が如何に非効率であったのかを痛感する。


 急激なパワーアップによって、無意識に外へと放出していたエナジー。

 実はこの部分がとても重要だったのだ。

 勝手に放出されてしまうのだから……こればかりはどうしようもない……と諦めていた訳なのだが、この勝手に放出されるエナジーの量が、驚く程にデカイのだ。


 しかも、放出する量はパワーアップ時に出現する能力が高ければ高いだけ大きくなる。


 つまり、無駄が大きくなる訳だ。


 逆に言うと、体内にしっかりと封入させる事が出来たのなら、この無駄な部分も自分の力として活用する事が可能な訳で……。


 そうなると、全体の数%程度が効率良く私のエネルギーとして使う事が可能になった……と言う理屈になるのだろうが……これが、違うのだ。


 封入させると言うスキルは、私にとって実に都合の良い……それこそ、画期的なレベルの実用性を生み出していた。


 それが、スーパードラゴン呼吸法ブレイズとの相性であり、相対的に併用する事への爆発的な実用性でもある。


 この封入する能力なのだが、超龍の呼吸法を発動する事で吸い込んで来るエナジーすら緩和させてしまう。

 ……驚く事に、吸い込まれる力が弱まっても、能力自体は全く変わらないのだ。


 つまり、より少ないエナジーで上位の超龍の呼吸法を発動する事が可能になったと言う事だ。


 エナジーを封入させる能力だけであるのなら、従来の数%のエナジーを効率良く扱う事が可能になった……程度のパワーアップでしかなかったのだが、ここに超龍の呼吸法を併用させる事で、元来の私と比較すれば何倍にも匹敵する超絶能力を産み出す事が可能になった訳だ。


 ……故に、私は思ったね。


『そろそろ気付いたんじゃないのか? お前は、私に勝てない……と』


『本気で言ってるのか? はははははっ! 馬鹿だろ? 人間っ!? 流石に調子に乗り過ぎだろっ!? 人工とは言え、完全体の邪神に勝つ? はははははっ! 冗談も休み休み……』


 言えよ。


 ……そう言いたかったのだろうが、クリーチャーの言葉は最後まで言う事が出来なかった。


 何故なら、


 ドバキャァァァァァァッッッ!


 強烈な私の右ストレートが、鮮やかに決まったからだ。

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