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精霊魔王・カワ子VS会長・リダ【19】

『うわっっぷっ!?』 


 目を渦巻きにしていたカワ子は、大量の水を掛けられた事で即座に意識を回復させる。


『な、なななっ! 何っ!? 何が起きてるのっ!?』


 直後、ガバッ! っと身体を起き上がらせてから、周囲を素早く見回し……そして、現状を言う物を知る。


『……ふふ、なんだ? 雑魚供が雁首揃えて私の前にいるとは?』


 そこからカワ子は、不敵な含み笑いを悪役チックに作り出してから私達へと口を開いた。

 本当……地味に性根の腐ったイタズラ精霊だよな、コイツ……?


 私が地味に呆れている中、


『起きたお? それならか~たまにちゃんと謝るおぉぉぉぉっっっ!?』


 目を覚ましたカワ子を見るなり、私の隣にいたアリンが眉を釣り上げて叫ぶ。

 その瞬間、カワ子がコキーンッッッ! っと、身体全体をフリーズさせた。


 もう、誰から見ても分かるリアクションだ。

 一体……アリンはカワ子にどんな事をしたと言うのだろう?


『わ、私は精霊魔王・カワ子! 人間ごときに下げる頭など……あります! もう、凄く下げます! スーパー土下座しますんで! その手を降ろして下さいぃぃぃぃっっ!』


 言うなり、カワ子は私の前に超速で私の前にやって来ては四つん這いになって、ペコペコ頭を下げて来た。

 ……本当、アリンはカワ子に何をしたんだろ……?


 完全に手のひらをクルリとひるがえして来たのは……まぁ、ある意味でカワ子らしいと言うか、元々はそこまで力がある精霊ではないので、強い存在を前にへりくだる態度と言うか、根性が染み付いてしまっているのかも知れないけど……それにしても露骨過ぎて草しか生えない。


 他方、カワ子が全力で私に土下座しまくっている光景を見て、満足気な顔をするアリンがいた。


「か~たま? これで許してあげよ~? カワ子がまた悪い事したら、アリンがまたメッするお~」


 答えたアリンは、邪気のない笑みを私に浮かべて答えた。


 きっと、アリンの考え方と言うのは実にシンプルなんだろう。


 悪い事をしたら、お仕置きされる。

 だから、悪い事をしなくなる。


 これはアリン自身にも同じ事が言える為、自分で思う悪い事はしない。

 それをやれば、親である私に怒られるからだ。


 今のアリンの感覚的に言うのなら、母親の私がアリンへとやっている様な事を真似ているだけ。


 ……うむ。


 特に真似をして欲しいと思った訳ではないのだが、こんな所にも愛娘の学習能力と言うか……成長みたいな物を感じた。


 少なからず、悪い事をすれば罰せられるから、悪い事はしたらダメだぞ……と言う、社会の基本的な物は、三歳児なりにしっかりと学んでいる模様だ。


 こう言った基本的な部分を一つ一つ学んで行く事で、いずれ人間としての道徳心とかモラルと言う様な物を、応用で学んで行くのだろうな。


「そうだな。アリンがそう言うのなら、私はカワ子を許してやろう」


 うんうんと頷きながら言う私。

 この言葉を耳にして、カワ子の表情が一瞬だけ悪党めいた笑みをニヤリと浮かべた様な気がしたけど……まぁ、そこに関しては見なかった事にしておいてやろう。


 どの道、許したのは『私だけ』だからな?

 それ以外は、私の知る限りじゃない。


『本当ですか!? ありがとうございますぅっっっ!』

 

 私の言葉を耳にしたカワ子は、大仰に叫んでは頭を地面に擦り付けていた。


 そこから間もなく『じゃ、そう言う事で』的な感じで右手をスチャッ! っと上げたカワ子が、そそくさとその場から離れようとするが、


 ガッッッ!


 私は即行で、カワ子の右肩を掴んだ。


『……あの? 離して貰えませんかねぇ?』


 地味に困った顔しつつ……反面で、イライラしているのが地味顔から垣間見得る雰囲気を醸し出していたカワ子が、私へと声を吐き出して来た。


『謝ったのは私だけか? 違うだろ? お前が謝らないといけない相手は、ここにいる全員……あ、いや、バアルとか言う右手に少し愛らしい人形を持った変人を抜かす全員に謝らないとダメだろ?』 


『……はぁ?』


 私の台詞に、カワ子は露骨に『ふざけんなっ!?』って感じの表情を作ってみせる。


『なんで私が、そこの雑魚連中に謝らないといけないの? コイツら上級の精霊が、私の様な下っ端の精霊に散々やって来た理不尽な事を考えたら、この程度で謝るとかないでしょ? だったら、これまで私達にやって来た事を先に謝れよ!』


 答えたカワ子は、かなり感情的になって叫ぶ。


 ……ぐむ。


 何となくだが、これはカワ子にも言い分がありそうな気がして来た。


 思った私は、


『なるほど、それは少し興味深いな……良かったら、お前が言える程度の所だけで良いから、私に話してはくれないだろうか?』


 割りと真剣な顔してカワ子に尋ねてみた。

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