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精霊魔王・カワ子VS会長・リダ【15】

 比喩的に別の物で例えるのなら……満腹の状態だと言うのに、それでも強引に口へと物を詰め込まれているかの様な? そんな不快極まる感覚だ。


 もう、お腹一杯です! これ以上は入らないっ!……って感じなのに、それでも強引に口を開けさせて、そこに大量の食物を詰め込めんで来る状態に、極めて類似している訳なのだが……これが、仮に本当にその状態であったとすれば、純粋に口を閉じるなりすれば済む話だ。


 だが、現状はそれすら出来ない。


 一方的に、次々と流れ込んで来る!


 つか、もうこれだけのエナジーがあったら、カワ子ぐらいアッサリ倒せるって!


 正直、私は確信したよ!


 この球体にやって来る前の私は、気力がほぼ空に近い状態だった。

 だが、この球体に入って間もなく……ほぼ一秒を経過せずに気力が満タン状態に到達した事を悟った。


 そして、そこまでは良かったのだ。


 だが、そこから数秒で気力が飽和状態になり……満腹なのに、強引に食べ物を口に詰め込まれる状態へと発展して行くのだった。


 更に一分。


 まだ、エナジーは私に降り注がれる!


 いや……もう良いって!

 本気で死ぬぞ、これっ!?


 これが食い物だったら、私のお腹は風船みたくなっていたに違いない!

 妊娠何ヵ月? 的な質問を受けても、全く不思議じゃない腹になってたからっ!


 結局、物理的な物だったし……実際に腹が膨れる様な事はなかったが……感覚的にはそれと全く同じ状態が続いていた。


 いっそ……口からもんじゃの一発ギャグでも出来たら、どんなに幸せだった事か……?


 こんな事を考えていた時だった。


 シュウゥゥゥゥゥゥンッッッ!


 光の球体が完全に消失した。


 同時に、超飽和状態なのに、過剰な供給を続けていたエナジー達も霧散する。


 ……はぁはぁ。

 いや、今回はマジで死ぬと思った。


 つか、敵と戦って苦しい思いをするのなら、まだ百歩譲る事が出来るんだけど……味方の善意が元で死ぬ程の苦痛を受けるって、どうなんだよ?


 なんとも言えない理不尽を、心の中で抱いていた頃、


「流石リダ様です! 私は信じておりました! リダ様は死なないと! 最愛の人間である私を残して死ぬわけがないとっっ!」


 ドォォォォォォォォンッッッ!


 近くで調子の良い事を言って来たレズが、どさくさ紛れに熱い包容をかまして来たので爆破してやった。


「はわぎゃっっ!」


 ……おや?


 次の瞬間、私は気付いた。

 何の気なしに軽く撃った爆破魔法が、私の想定を大きく凌駕する威力が存在していた事に。


 私に爆発されたユニクスは、普段通り真っ黒焦げになって地面に墜落していたのだが……間もなく目を渦巻きにして倒れた。


 そして、これまた普段通りであるのなら、数秒程度でアッサリ復活する。

 ここまでが、ユニクスのデフォルトだ。


 だが、どうだろう?

 現状のユニクスを見る限り、完全にノックアウトしてしまい、しばらく立ち上がる気配がない。


 つまり……この一連の流れを見るだけでも、私の能力が大幅に上昇している事が分かったのだ。


 なるほど、これが水の精霊達の加護の力なのかっ!?


「やはりリダ様は格が違いますね……計算では五分五分と言った所ではない……かな? と予測していたのですが、いやはや……数式では計り知れない結果を用意してくれます!」


 そこから間もなくバアルがほがらかな微笑みを穏和に浮かべながら近づいて来た。

 ほぼ100%大丈夫だと言う話は何処に行ってしまったのだろう?


 そして、人を無駄に苦しめた罪はもちろん重い!


 ドォォォォォォォォンッッッ!


「はぐわぁぁっっ!」


 私は問答無用でバアルを爆破した。

 もう、言葉は要らないと思った。

 だって、口を動かすだけ面倒なんだ物。


 再び放った爆発の一撃は、やっぱりコチラも予想を大幅に上回る威力を誇示していた。

 もう、魔法が苦手だと言う意識が吹き飛ぶ勢いだった。


 そこから、私は近くにいるミズホさんへと顔を向ける。


「……え、えぇとぉ……そのぉ? 私も爆破される……なんて事はないですよねぇ? わ、私は良かれと思ってやってますからねぇ?……あは、あはは……」


 何処か言い訳混じりに……と言うか、まんま言い訳を語っているとしか他に表現する事が出来ない状態だったミズホさんを前に、私はニッコリ笑ってから答えた。


「正直に、今の心境を言っても良いかな?」


「え? あ、ちょっ……ちょっと待ちましょうっ!? そこは少しでも建前と言う気持ちを持つ事が大切だと思うんです!……と言いますか? やはり人としても慈愛って大切だと思うんですよ!」


 ミズホさんはあたふたしながら答えていた。

 きっと自分でも何を言っているのか分かってないだろう。


 正直、かなり意味不明な台詞を口から吐き出していた。

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