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精霊魔王・カワ子VS会長・リダ【2】

 しかし、ラッシュを緩めるつもりがなかった私は、そのまま蹴りを二発、三発と超速でカワ子へと叩き込んで行く……が!


 ズバァッッ!


 三発目の蹴りをカワ子に叩き込んだ直後……鮮血が舞ったのは、私の右肩だった。


「……な、にぃっ……!?」


 三発目の蹴りを入れたと同時に、カウンターとしてカワ子の矛が動いていた。

 

『単調な蹴りを何発も打って来たんだ? 私からすれば反撃して下さいと言っている様な物だぞ?……ふふ、あはははっっ!』 


 鮮血が舞い、右肩に火傷でも負ったかの様な焼ける痛みを受け……私は右肩を左手で覆いながらも後退した。


 軽く右手を確認する。

 グッパッ……と、握ったり開いたりしてから気付く。

 うむ、そこまで傷は深くない。


 どの道、スーパードラゴン呼吸法ブレイズには、自然治癒能力が超アップする効果もあるので、治療魔法リカバリィを使用する必要もないだろう。

 

 ……と、言うか? だっ!?


 特大グレートウォーター爆発ボム魔法!


 回復魔法を使うだけの余裕がない!


 私は咄嗟に魔導防壁を発動させた。


 魔導防壁を発動させて間もなく、巨大な水風船の様な物が私を襲った。


 ドォォォォォンッッッ!


 水風船の様な物は私を飲み込む様に、自分の内部へと取り込み……程なくして大爆発を発生させた。

 

 バッシャァァァァァンッッッ!


 更に空中破裂した巨大水風船から大量の水が吹き出し、水の竜巻状態に変化する。


 ゴォォォォォォッッッ!


「ぐくぅぅぅ……」


 全力で魔導防壁を展開し、私は必死の形相で水の巨大竜巻をガードする。

 くそ……やりたい放題だなぁっ!


 ボンッッッ!


 水の巨大竜巻から飛び出した私は、激しい音を立てて範囲外に出ると、


「お返しだ!」


 超炎熱爆破魔法フレインダムド


 ドォォォォォンッッッ!


 右手をカワ子に合わせて、超炎熱爆破魔法を発動させる。


 とてつもない超爆発が、カワ子を中心に発生していた。


 同時に激しい砂煙と黒煙が周囲を支配するのだが、


 シュンッッッ!


 砂煙と黒煙から抜け出す様にしてカワ子が姿を現した……刹那、


『あははははっ! 本当に素晴らしい! 素晴らしいぞぉぉぉっっ!』 


 ドンッッッッ!


 ロケットの様な勢いで私に突っ込んで来ては、残像が見えるんじゃないかって勢いで矛を何回も振って見せる。


 一発、二発、三発……五、六、七……ああ、もうっ!


「お前だって反撃して下さいって言うばかりの連続攻撃をしてるじゃないかよっ!」


 何回攻撃して来たか?

 もう、数えるのも億劫になっていた所で、私は素早く体勢を変えてからカウンターの蹴りを入れようとするが……やめた。


 本能で察知した。

 これは……私にカウンターをさせようと『わざとやってる』……と!

 

 確かにカワ子の右手から繰り出される矛の攻撃は素早く……そして鋭い。


 だが、避けれないレベルではなかった。

 そして、何回も同じ様なパターンで攻撃をしていた。


 さっきのカワ子が、私に言った台詞ではないのだが『カウンターして下さい』と言わんばかりの攻撃だったのだ。


 そこでカウンターに転じようとする私がいたのだが……刹那、背筋にゾクリと冷たい何かが芽生えた。

 直後、本能が私の精神へと警告をする。

 これは罠だ!……と!


 思った私は、逆に遠く離れる形で間合いを取った。


「……はぁはぁ……」


 ……肩で息を吸いながら。


 ……参った。


 正直……あのイタズラ精霊が、ここまで強くなっているとは……。


 前から何度か説明しているから分かるかも知れないが、スーパードラゴン呼吸法ブレイズと言うスキルは、諸刃の剣だ。


 発動すれば、体内へと爆発的なエナジーを発生させ……能力を飛躍的に上昇させる。 

 ……が、その代償として、著しい精神的な消耗を伴う。

  

 精神的な消耗と述べたが、精神と言うよりも生命力その物と述べた方がより的確な表現だ。

   

 簡素に言うのなら、こっちは発動を止めない限り……息を吸ってるだけでイタズラに生命力を削られて行く訳となる。

 何ともリスクの高い、デンジャラスなスキルだと自分でも思うが、その代償を支払っても尚、お釣りが来てしまうまでの能力上昇が発生しているが故に、私はこの補助スキルを主戦力として幾度も活用している。


 ……が、今回に限って言うのなら、このスキルに伴うリスキーな部分が、私にとっての致命的な隙を作り出してしまった。


「くそぉ……意識がちょっとだけ飛びそうで怖いぞ……」


 後方へと離れ、少しだけ気が緩んだ私がいた……その時。


『安心しろ、人間。もう苦しまなくても良いんだからなぁ……?』 


 不気味なまでに狂っていた、狂気の声が背後からやって来た。


「……っ!?」

 

 う、後ろ……だとっ!?


 自分でも気付かない内に、背後へと回り込まれていた事に気付いた。


 しまっ……っ!?


 ズバァッッ!


 ……鮮血が舞った。

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