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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、大人気なく学生相手に無双する・本戦【後編】
54/1397

【9】

「……なら、こうする」


 ポウゥ……


 私は右手に淡い光を作った。


「……? 何ですこれ?」


「そうだな、これは呪いの一種だな」


「……は?」


 フラウはポカンとなった。

 顔では言っている、なんでそんな物を? と。


 まぁ、取り合えず聞け。


「私はまだ完全にユニクスを信じてはいない……が、このままユニクスを外に出せば、遅かれ早かれ死ぬ」


 予見と言うスキルを持つ転生者とやらに、だ。

 どの程度の能力を誇示しているのかは知らないが、確実にユニクスを凌駕している事だけは分かる。

 下級とはいえ、元々は悪魔デーモンだったヤツが、自分よりも力のない弱者を相手に敬意を示す事はない。

 ここから考えても、確実に強いのだろう。


 そうだとすれば、ユニクスの命はもう……風前の灯火だ。


 そこで、この呪いとなる。


「この呪いは少し特殊でな? 呪いを受けると髪と目が黒くなる。そして呪いを放った術者……ここでは私になるのだが、その私を裏切った場合、この呪いにより髪の色が白に変わる。そして最終的には朱に染まり……髪が朱に染まると全身が自分の血で朱に染まる」


 つまり、死ぬ。


「……っ!」


「だが、ちゃんと私に従うのであれば、その恩恵もある。まず私の加護が宿る。私の魂のごく一部を削り、ユニクスに与える。これによって、ユニクスは新しい能力が備わり、強くなる」


 結果、可能性の問題だが、転生者からの脅威から逃れる事が出来るかも知れない。

 この辺は、なんとも言えないんだ。

 相手の実力が分からないからな。

 もしかしたらやられるかも知れないが、今よりは遥かにマシだ。


「どうだユニクス? 私達の仲間になるか? それとも、このまま死ぬか? 選択はお前に任せるよ」


「………」


 ユニクスは押し黙る。

 他方のフラウも無言のままユニクスを見据えていた。

 頷いて欲しいと言うオーラが、ここまで漂っていた。


「……本当、バカな連中よね」

 

 悪態が答えなら、その場で死んでも良いんだぞ?


「こんな、私なんかの為に……本当に」


 自分でも無意識だったかも知れないが、ユニクスの瞳に涙がたまっていた。

 人間として転生して、少しは知っていたかも知れない。

 知れないけれど、だ?

 それでも言おう。


「ユニクス。これが人間の情ってヤツだ」


「……そうね。本当に愚かだと思うけど、素敵だとも思う」


 そして、ユニクスは号泣した。

 最後はフラウに抱きついていた。

 そして、言うのだ。


「ありがとう、ごめんね! 今度はもっと優しくするから! 本当に本当にごめんなさい!」


「ユニクスお姉……」


 ちょっと戸惑うフラウがいた。

 きっと、こんなユニクスを見たのが初めてで、どんな態度を取ればいいか分からなくなってしまったのかも知れない。


 けれど、素直に謝った気持ちと、そこからやって来る言葉が……なんだかくすぐったくて、心地よい。

 そう思ったんじゃないかと、私は思った。


「……うん。これからは仲良くしよう! ユニクスお姉っ!」


 見れば、二人の守護霊オラがシンクロする様に綺麗な光輝く白を作り出していた。


 ……そうか。

 うん、なんて言うか美しいな。


 守護霊オラは嘘をつかない。

 今ある二人の姿は、決して虚実などではない。

 なら、私のやるべき事は一つ。


「受けとれ」


 私は右手の淡い光をユニクスに向けた。

 淡い光はフワフワとゆっくり虚空を泳ぐ様にしてユニクスの胸元に入って行き、そして消えた。


 その瞬間。


 シュゥゥゥン………


 煙の様な物が産まれ、これまで金髪だった髪が黒く染まる。

 同時に碧眼もまた、黒に変わった。


「契約は完了だ。さっきも言ったが、これは私の加護であると同時に呪いでもある。常々……忘れるなよ」


 私は快活に笑った。

 

 そこから数日後。


「リダ様! あなた様は真の女神です!」


 ……と、なんでかユニクスに心から感謝された。

 話によると、案の定、転生者に襲われたらしいのだが、私の加護によってむしろ簡単に追い払う事が出来たらしい。


 ……転生者って、実は大した事ないんじゃ……?


 まぁ、仮にそいつが大した事のないヤツであったとしても、だ?

 私からすれば、そいつはまだ真の黒幕ではない。


 所詮、そいつはユニクスと同じ、伝承の道化師ピエロに転生させられた存在でしかないからだ。

 

 本当の敵はそいつではない。

 予見と言うスキルは脅威だし、それ以上に何をして来るか不明と言う現状だと、色々と不安にもなるのだが、しかし、それでいてただの通過点に過ぎないのだ。

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