表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、大人気なく学生相手に無双する・本戦【後編】
53/1397

【8】

 ………。

 なんでこんな事になってるんだ?


 モンスターは無駄に強くなるし、転生者が何人も出て来るし……この上、伝承の道化師ピエロだと?


 もう、世の中おかしい。


「どの時代でもそうだが、転生者の大多数は良かれ悪かれ戦乱の世を作り出した。恐らく……今回もご多分に漏れないのだろう」


 パラスは苦々しい顔のまま、口だけを動かして行った。


 そこから、暫く周囲は沈黙が支配した。


「う~。とりま、なったらなったで」


 沈黙はシズのグッジョッブで破られた。

 

 ……お前な……。


「そんな呑気な事を言ってる場合じゃないだろうよ」


「う? じゃあ、どんな呑気なら良い?」


 基本、呑気がダメだろ!

 思わず呆れた私がいたのだが、そこからシズは真剣な顔になって言った。


「まだ『起きてもいない』事に絶望するなんて、リダらしくない」


 ………。


 ……なるほど。

 一理ある。

 そして、シズが言うリダこそ、いつもの私。

 それもまた、その通りだった。


 そうだ……そうだよ。

 今まで一切の例外なく戦乱の世になったからと言って、今回もなるとは限らない。

 あたしがさせない!

 ついでに言おう。


「仮になっても、その時はその時かも知れない」


 元々、そうなるわけだったんだしな。

 そして、なったらなったで、その戦乱を私が止めれば良い。


 いや、違うな。


「すまん、そうだなシズ。あんたの言う通りだ。私にはたくさんの仲間もいる。まだ落ち込むのは早い!」


 ……そうなんだ。


 まだ、諦めるのは早い。

 むしろ、これからが本番なんだ!


「そうだな」

 

 パラスはポツリと言った。

 でも、固かった表情がやんわりとなっていた。


「そうだね……その時はリダ。私も協力する!」


 間髪いれずにルミが賛同した。

 迷いのない、良い笑顔だった。


「当然、私も協力しますよリダ? その時まで、努力を惜しまず積みます!」


 他方のフラウもやる気をみなぎらせて言う。

 新しい目的が出来たと喜んでいる風にすら見えた。


 はは……本当、お前ら、たくましいよ。

 私も見習わないと。

 そして、それを教えてくれたシズに感謝だ。


 本当は、ただの防御壁を作る役として呼んだだけだったけど、それとは違う場面でも大きく助けになってくれたな。

 ……ありがたいよ、本当。


「ふふ……良い仲間をお持ちね。羨ましいわ」


 他方で、ユニクスは一人寂しそうに笑っていた。

 ……ふぅむ。


「フラウ。ちょっと良いか?」


「……? どうしたのリダ?」


 フラウはキョトンとした顔になりつつも、私の近くにやって来る。


「ちょっと聞きたいなぁ……ってな」


「なにを?」


「そうだなぁ……例えば、ユニクスをどう思ってたりする?」


「う~ん……」


 フラウは少し頭を捻らせる。

 しばし、悩んでから答えた。   

 

「小さい頃から、ずっとバカにされっぱなしで、苦手な所も勿論あったけど……嫌いにはなれませんでした」


 肩をすくめて言う。


「どうして?」


「確かに……いつもいつも私の事を小馬鹿にして、自分の優秀さを鼻に掛けてたのですが、その結果、今の私がいます。悔しさをバネに一生懸命努力した私が」


「……なるほど」 

 

 実際問題、フラウは一般生徒からすれば超優等生だ。

 こないだの中間だって、私と言う反則的な存在さえ抜かせば一位だったし、今回の剣聖杯も一年生にして三位入賞。


 まさに文武両道の天才だ。

 いや、努力の賜物たまものなのだから、秀才と言うべきか。

 これら一連の努力の源がユニクスであったのなら、フラウの言いたい事も分かった。


 努力をするにしても、やっぱり何らかのモチベーションがないと、長続きしない。

 そのモチベーションを常に悔しさと言う形でフラウに与えていたのなら、ユニクスは最高の指導者だったであろう。


 その手段は誉められた物ではないがな。


「ユニクスお姉がいなかったら、私はこんな努力もしなかったし、もっと色々と出来ない人間になってたと思う……だから、恨む気持ちや悔しい気持ちの先には、感謝の気持ちもあったんです」


 そうか……本当、人間の感情ってヤツは一言では表現出来ない物だよな。


 そして、私もその言葉を聞いて安心した。


「わかった。それなら、フラウ? ユニクスを死なせたくはないよな?」


「……当然でしょ? 憎らしくて頭に来て、途方もなく嫌いだけど、それと同じ位、好きな人なんだから」


 つくづく、人間の感情は複雑だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ