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水の精霊達の逆襲【4】

 これら諸々を総合的に判断すれば……確実に言える事が一つだけある。


 何者かの能力によって、川の族長精霊が超絶パワーアップしている……と言う事だ!


 そして、この超絶パワーアップにより、川の族長精霊による山神様への復讐劇を可能にさせている。


 一体……誰が? 何の目的で?


 ここまで私が考えていた時だった。


『私の力を……思い知り、くたばれっ!』


 超水スーパーウォーター砲撃魔法ファイア


 これまで掲げていた右手を私達の方に向けた所で、族長精霊が超魔法を発動させる。


 その瞬間、族長精霊の右手から、


 ボンッッッッ!


 数メートルはあるだろう巨大な水の大玉が出現し、地面を削りながらも音速近い勢いで飛ばして来た。

 水で出来た巨大な球体は恐ろしいまでに濃密な魔力の塊であり……直撃を受ければ球体の中に存在する超高圧の水圧によって圧殺されてしまう。

 

 更に、対象となる相手に着弾し、超高圧の水圧をしばらく掛け続けた後、最後のトドメとして大爆発まで起こす、実に質の悪い魔法だ。

 

 こんな物を街のど真ん中で発動した日には、一発で百人単位の死傷者が発生する。

 本当に、今回は山の中で良かった!


 ガッッッ!


 正面から超速で突進して来る勢いで飛んで来た巨大な水玉を前に、私はそのまま両手で受け止める。

 なるべく、水の玉に余計な力が掛からない様にして。

 正面から完全に受け止めてしまうと、この水玉は簡単に割れてしまう。 


 ……そう。

 この魔法は……えげつない事にも、ただ受け止めれば良い魔法ではない。

 

 魔法を掛けられた対象者が、この巨大水玉に一定の抵抗を行うと……水玉がアッサリ割れる仕組みになっている。


 抽象的に言うと、巨大な風船の様な物だと思ってくれれば嬉しい。

 パンパンに膨らんだ風船に楊枝ようじみたいな先端の鋭い物を刺せば、パァァァンッ! と破裂する。 

 この水玉も、言うなれば似た様な形で破裂し……巨大爆発が起こる仕組みだ。

 つまり、最初の超水圧で圧殺と言う部分をすっ飛ばして、いきなり大爆発を起こす事になるのだ。


 よって、この水玉を割らない様に注意しつつ、しっかりと受け流す。

 

「みんな、避けろよぉぉっ!」


 地面を削る勢いでやって来た巨大水玉を右側に受け流した私は、ほぼ同時に周囲のみんなへと叫んでいた。


 受け流された水玉は、私からすり抜ける様に飛んで行くと、


 ドパァァァンッッッ!


 破裂とも爆発とも付かない轟音を撒き散らした後、周囲に大量の水をぶちまける形になった。


 ……っ! これはっ!?


「みんな! 上に飛べっ!」


 叫び、私は上空に飛んだ。


 他方の面々は、今一つ状況が分からない状態ではあったが、私の掛け声に従い地を蹴った。


 ……刹那。

 

 ドッパァァァァァンッッッ!


 地面にぶちまける勢いで流れて来た水が、見る間にその水量を増加させ、巨大な津波を発生させていた。


 ……なんだよ、こいつ?


 元来は滑空魔法を禁止させられていたが……その禁止事項に従っていたら、さっきの津波に飲み込まれておしまいだった。

 ……減点、いくつだろ、これ?


 心の中で少しだけ減点の数が気になる私がいる中、


『くはははっ! 素晴らしいぞ、人間? 脆弱で無力な人間風情にしては、中々やりおるではないか? 私の下僕にしてやっても構わん程度には力がある』


 傲慢としか言えない台詞を悠然と語る、族長精霊の姿があった。


 ……このクソ精霊がぁっ!


『マジでキレたぞ……?』 


 私はポツリと言う。

 

「……へ? いや、ちょっと……リダ? リダさん? もう少し冷静になろうよ?」


 すると、私の真後ろ辺りにいたフラウが、ふためき口調になって私へと説得混じりの声を吐き出して来た。

 ……お前がビビってどうするよ?


「フラウ……取り敢えず、みんなを連れて安全な所に避難していてくれ。山神様の結界が張られていたのは不幸中の幸いってヤツだ。結界の外まで避難すれば、大事には至らない筈だ」


「そ、そんなっ!? リダはどうするつもりなのっ!?」


「簡単な事だよ? あのクソ精霊をぶちのめす!」


「そこは分かってたけど! 私達がとばっちり喰らうじゃないのっ!?」


「だから、さっさと結界から外に出ろって言ってるんじゃないかっ!? マジで頭悪いなっ!」


 私とフラウの二人が、地味に口論状態へと突入していた頃、


『無駄口を叩くでないわっ!』 


 特大水グレートウォーター竜巻魔法タイフーン


 族長精霊の攻撃が飛んで来る。


 ……まぁ、そうなるよねぇ……?

 戦闘の最中、普通に会話してる時点でおかしい訳だし。


 族長精霊の右手から、さっきと同じ水で出来た巨大な竜巻が発生する。


 さっきの私達はこの竜巻を回避する形を取ったが……。


『馬鹿にするなぁぁぁぁっっっ!』 


 気合い一閃。

 咆哮するかの様な勢いで叫んだ私は、水で出来た巨大竜巻を勢い良く蹴り飛ばした。


 ドゴォォッッッ!


 竜巻に私の蹴りがヒットした瞬間に撃音が撒き散らされ、同時に竜巻が空高く舞い上がる。


 補助スキルを発動させている今の私にとって、この程度の竜巻なんぞサッカーボールにも等しいんだよっ!

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