上位魔導師になりたくて!・最終試験【19】
ドォォォォォォォォンッッッッッ!
……強烈だった。
全く予期せぬ謎の爆音だっただけに、周囲にいた全員が目を白黒させて、爆発した方向へと身体を向ける。
「な、何?……今のっっ!?」
爆発した直後、フラウが完全に混乱した顔になって私に尋ねて来た。
「知るかっ! 私だってかなり驚いたぞっ!」
「嘘でしょ? だって、爆破はリダの専売特許じゃないの」
「いつ、私がそんな特許を申請したんですかねぇぇぇっっっ!?」
割りと本気で言って来たフラウに、私は即行でがなり声を返してみせた。
他方の面々も、かなり困惑した状態になっていた。
特にスーパー臆病なルインに至っては、その場に座り込んでガタガタと震えていた。
「い、今のは何ですか? リダさんが遠距離の爆破魔法を発動させたんですか?」
だから、何で私の仕業だと考えるんだっ!?
「いや、それにしてはおかしい。リダさんは魔導式を使っていた形跡がないし……はっ! まさか、あらかじめタイマーの様な魔法を仕掛けていたとかっ!?」
だーかーらぁぁぁっ!
ハッとした顔になって、いかにも最もらしい事を言う顔をしつつ、神妙な声音で言って来たメイス。
「そう言う冤罪を私に被せたいのなら、本当にお前らを爆破してやっても良いんだぞ……?」
言うなり、私はメイスとルインの前に右手を、
「はわわわぁっ! ごめんなさい! 今のは嘘です! ちょっとそんな気がしただけです! 本気ではないので爆破だけはしないで下さいぃぃっ!」
向けた所で、土下座の超速運動をかますルインと、
「冗談だって! 早まるなって! はは……俺達は仲間だ! 仲間を疑う様な事をする訳がないじゃないかっ!」
無駄にキラキラしたオーラを放ちながらも爽やかに嘘っぽい台詞を次から次へと口にするメイスがいた。
もしかしたら、こいつは口先の魔術師なのかも知れない。
無駄に演技力もあるから、将来は優秀な詐欺師になる事も可能だな。
どちらにせよ……今はネタであれ、ツッコミであれ、味方を爆破している場合ではなかった。
「まぁ良い……ともかく、さっきの爆発は……ちょっと穏やかではないぞ? 魔力と言うか……桁違いに強力なエナジーが放出されてた」
私はいつになく真剣な面持ちで口を開き……ここまで答えた所でタマコを見た。
直後、私に視線を送られたタマコはビクゥッッ! っと、猫みたいな態度を見せてから、
「わ、私は行きませんよ? ええ! そうですとも! あんなおかしな所に行けば……自宅に残して来た三匹の猫が悲しむ結果になるかも知れないじゃないですかっ!」
まだ何も言ってないのに、全力で否定の台詞を口にして来た。
尤も? 私としては話が早くて結構なのだが。
「お前は魔導師組合の関係者だろ? まして上位魔導師の資格だってある。それなら『上位魔導師らしい行動』とやらを取らなければいけないんじゃないのか?」
「あれは試験者までです! 実際に上位魔導師になれたら、後は知ったこっちゃないです! 世の政治家だってそうじゃないですか? 選挙までは爽やかな演説したり、綺麗事のオンパレードだけど、実際に当選したらふんぞり返ってるじゃないですかっ!」
待て! その台詞は、真面目に国政を担っている政治家さんや、地方行政を必死で頑張っている方に失礼だぞっ!
どの程度の割合で、そう言う人がいるのかは知らないけどっっ!
たまにマスコミに叩かれて、ふんぞり返ってる姿を暴露されちゃう時があるけど! 本当に一部だと思うぞ! 多分っ!
閑話休題。
「その例えはやめて置け……特定の相手を指して述べている訳じゃないし、飽くまでもコメディの一貫として述べているだけなんだけど、偶然似た何かがあったら困る!」
私は声高になってタマコに叫んだ。
すると、タマコは急に真剣な顔になってから口を動かした。
「この物語はフィクションです。登場する人物および団体名は全て現実の物とは一切関係ありません」
もはや免罪符の様な魔法の言葉を。
よっぽどメチャクチャな事や、丸パクリ過ぎて著作権侵害に抵触する様な事さえなければ、この魔法の言葉と表現の自由が大体守ってくれるのだから、ある意味で無限の発想を好きなだけ表現出来る世の中に万歳である。
…………ではなく。
「……いい加減、真面目に話をしてくれませんかねぇ?」
私はジト目でタマコに答えた。
「私は至って真剣です! 真剣に『行きたくない!』と断言してるのです!」
叫んだタマコは胸まで張っていた。
もう、清々しいばかりの居直り方だ。




