表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
512/1397

上位魔導師になりたくて!・最終試験【17】 

 タマコの闇部分を垣間見た事はともかく。


「まずは、頭上にある採点精霊タマちゃんに向かって手を添えて下さい……ああ、そうそう! そんな感じです。上手ですねぇ~!」


 タマコはビックリする程に明るい笑みを浮かべては私達へと口を動かしてみせる。

 もう、完全な卑屈してる状態にしか私には見えないんだが……ここでツッコミを入れると話が先に進まないだろうから、敢えてそのままにして置く。


 採点精霊タマちゃんとか言う、ある意味で名前通りだった玉の様なエレメントに目線を向けた私は、タマコに言われた通り手を添えてみた。


 すると、採点精霊の胴体部分……まぁ、球体だからこれが胴体を意味する部分で当たっているのかどうかは、私にも甲乙付けがたい所もあるんだが……ともかく玉全体に文字の様な物が出現した。


 文字を読むと『どんなご用件でしょうか?』と書かれている事が分かる。

 その下に、教えて貰いたい事の質問欄みたいな物が箇条書きで記されていた。


「そこにある『現在の得点を知りたい』をタップして貰えれば、現時点での得点が表示されます」


 ……なるほど。

 存外、簡単な仕組みになっているんだな。


 思った私は、言われた通りに現時の得点が知りたいと書かれていた文字の部分を触って見せた。


 すると、詳細が出て来る。


 現在の得点……10点。


「……えっ!? こ、こんなに低いのっ!?」


 私の頭上にある採点精霊が弾き出した得点を見て驚いたのはフラウだった。


 フラウからすれば意外だったのだろう。

 何と言っても、これまでの道中で採点に関係する様な行動なんかないと思っていたのだから。


 他方の私は違った。

 試験の加点または減点の対象となる物を箇条書きで記されていた物を見ていた限りで言うのなら……これまでに起こしたアクションで、何らかの減点ないし加点の対象になっている可能性があったのではないのか?……と、こう思った訳だ。


 例えば、目前に罠が設置されていると言うのに、無策で突っ込んでしまったフラウなんぞがいたりもするのだが……これは『上位魔導師らしからぬ、軽率な行動』に抵触する可能性があったし、減点対象になり得るんじゃないかと予測していたんだ。


 案の定、内訳を見るとフラウが罠に引っ掛かりはしなかった物の、危険予知を怠った行為として減点10されている。


 この他にも、罠を自分達で解除する事なく、別のコンビにやらせている行為が大減点の対象となっており、これが減点15。


 ルートを相手のコンビに全て丸投げし、自分達の意思表示を示さないと言う判断能力の欠落と言う部分で減点5。


 他方の加点は、さっきのチェックポイントで得た加点30。

 それと、マンティコレを一撃で倒したと言う事でボーナス加点がされており、これが加点10となっている。


 一撃ボーナスが別に出てくれたのは有り難いが……このままだと合格点に20点足りないと言う事になり、見事な不合格になってしまう。


 他方のルインとメイスのコンビはと言うと……。


「なるほど、既に上限点に到達していたのですね」


 こんな事を口にするルインが、全てを語っていた。


「どうやら、その様だな? はは! 言われて見ると、ルインは全ての罠を解除していたし、危険予知だってしっかりやってた。みんなに危険が及ばない様にリーダーシップを発揮して、ここまで怪我一つする事なく進めてたし……大活躍だなっ! まさに臆病万歳だ!」


 ガンッッッ!


 意外そうな顔になっていたルインの隣で、メイスが彼女を絶賛する様な台詞を口にしていたが、最後の余計な一言が原因で、やっぱり杖で頭を殴られていた。


 最後さえなければ、素直に『ありがとう』と言う感じの台詞をもらえた物を。


 ルインの得点をみると、彼女の台詞にもあった通り、既に上限点でもある50に到達していた。


 これより上の得点は、最終的な成績結果としての加点対象にはならない物の、今後の減点時に相殺する貯金点になる事が出来るので、これか以降の加点も有効性はある。


 例えば、加点が70あったとして、上限は50なので、成績的には50と言う事になるのだが……ここから減点が20されたとすれば上限値をオーバーしている20から差し引かれる事になる為、数値は50のままで済む訳だな?


 どの道、合格ラインは一日のサバイバル生活を完走させる事で生まれる加点50と、その一日で行った行動から採点される結果の二つとなる為、実質30点を取っていれば合格圏内と言う事になる。


 その上で行くのであれば、もう既にルインとメイス達コンビは合格圏内にいると見ても良いだろう。


 他方の私達はと言うと……。


「ヤバイよリダ……このままだと、私ら不合格圏内だよ……が、ががが、頑張らないと!」


 誰から見ても分かる程の慌てっぷりを見せるフラウの台詞通り、比較的危険な位置にいたりもした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ