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上位魔導師になりたくて!・最終試験【14】 

 反論したい事は山の様にあるし、正直に言うとクソ生意気な試験精霊の言いぐさと態度を見て、反射的に爆破してやりたくもなったが……これ以上の減点は避けたい。


 ここまで来たのだ。

 この最終試験に辿り着く為に、私も色々と苦労をして来たのだ。


 何より、ここで不合格を食らえば……フラウだって暫くはショックで立ち直れなくなってしまうだろう。

 そんなフラウの姿なんか見たくもない。


 思った私は、試験精霊の居丈高な態度に耐える事にした。


「……で? お前がこんな所にいるって事は、ここがチェックポイントで間違いはないと言う事か?」


『口の聞き方がなっておりませんね? 私はあなた達の採点を左右している者ですよ? 試験者であるのなら試験者らしく敬語を使ってみてはどうですか?』


 やべぇ……もう、爆破しても良いかな?


 直後、右手を試験精霊に向けた所で、フラウが必死で私を止めた。

 程なくして、近くにいたルインとメイスの二人が試験精霊へと低姿勢で声を吐き出した。


「礼節の態度については、申し訳ありませんと謝罪します……なので、この場はおさえて頂きたいのですが……どうでしょう?」


 答えたルインは、深々と頭を下げていた。

 直後、隣にいたメイスもルインに右習えの状態で頭を下げる。


 そんな二人を見て『ふむ』と、軽く頷きを返した試験精霊は、穏和な声音でルインとメイスの二人へと口を開いて来た。


『なるほど、なるほど。あなた方二人は、現在の立場と言う事を冷静に苦慮し、合理的な対応を取る事が可能な様ですね? お二方のコンビには加点5を差し上げましょう。私も試験として行っているだけなので、これ以上の事を口にする事はありません……元来であれば赤の他人でしかない競争相手であっても、状況に応じてしっかりと協力する事が出来る柔軟性も素晴らしいです』


 答えた試験精霊は、再びサラサラとメモ帳に何かを書いて行く。


 ……いい加減、チェックポイントの内容を告知してくれませんかねぇ?

 自分の中にあるフラストレーションが無駄に高まっているのを実感していた頃、フラウが愛嬌のある笑みを作ってから試験精霊へと尋ねてみせた。


「あの……それで、なのですが? 説明を聞いている限りではチェックポイント内に到達すると何らかの課題が提示され、その課題をクリアすると加点される方式と聞いていたのですが……間違いはないですか?」


『その通りです。もちろん課題はあなた方に提示しますよ?』


 答えた試験精霊は、言うなりニヤリと微笑む。

 それは微笑むと言うより……悪党などが見せるいやらしい笑みだった。

 どうやら、基本的に性根が腐っているらしい。

 他の試験精霊タマコはどれも似たような性質と言うか……見た目も含めてみんな一緒に見えたんだが、こいつだけ別の性質を持っている様な気がしてならない。


 この試験に関係なく、この試験精霊タマコだけは、オリジナルの試験官タマコにクレームを付けてやる事にしよう。

 だってムカつくんだもの。


『今回の課題は極めてシンプルです。これから私が召喚するモンスターを相手に勝利すれば、無条件で加点10されます。戦い方次第では更に上乗せの加点もあるので、上乗せ加点を狙いたい方は魔法攻撃を念頭に置いた戦い方をすると、より高得点を狙えると思います』 


 軽いアドバイスを入れる形で試験精霊が答えた後、スゥ……と右手を虚空にかざす。


 ポゥゥゥゥ…………


 すると、試験精霊が翳した虚空に魔法陣が出現する。

 比較的大きな魔法陣でもあったそれは、紫色の光を仄かに放ちながらも虚空を浮遊し続けた。

 

 魔法陣から、凶悪な合成獣キメラが出現したのは、そこから間もなくの事だった。


「えぇぇ……」


 フラウが苦い顔になる。


 それもその筈。

 

 私達パーティーの前に出現したのは『人間殺し』の異名を持つマンティコレだったからだ。


 マンティコアと呼ぶ者も多いが、元々はマルドホーラと言う名前が元祖らしい。

 マルドホーラを直訳すると、さっきも述べたが『人間殺し』と言う意味になる。


 胴体はライオン。

 頭には、二本の鋭角な角。

 鋭いトゲの様な物を無数に付けている尻尾。

 巨大蝙蝠きょだいこうもりを彷彿させる漆黒の翼。

 何より特徴的で、微妙に不快を感じるのが、大きく裂けた口だ。

 これだけでも不気味なのだが、裂けた口には歯が三列あり……更に不気味さを加速している。


 相対的に見て、人間が恐怖しそうな外見を色々とミックスした結果、こんな化物が生まれたました……って感じの姿が、私達パーティーの前に悠々と立ちはだかった。

 

『ふふふ……準備は良いですか? 言っておきますが? この子は私のお気に入りモンスターの中でも極めて獰猛で残忍です? 真剣にやらないと……命はない物だと思ってくださいね?』


 実に愉快そうな顔をして試験精霊は言って来た。


 ……てか、これは試験なんだから、試験者を死に至らしめる様な試験はやったらダメだろうが!


 心の中にある憤怒の激情が、今にも爆発しそうだ!


『クスクス……では、始めて下さい!』


 試験精霊は、何が楽しいのか? いやらしい笑みを浮かべながらも開始の言葉を口にした。

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