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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、ぼっちが怖くて友達を必死で作ろうとする
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【3】

「ちゃんと努力していれば壊せる筈だが?」


 しれっと言うな、この教師!


「むしろ、この程度壊せないでどうする? 実践は厳しいぞ? お前が思っているよりも、だ」


 わかった風な口を聞くんじゃないよ。

 私が知ってる限り、新米冒険者にこんな難易度の高い技術を要求する仕事なんか、頼ませないね!


 そうは思うが、おしおきのシナリオもあるから、敢えて頷いておく。


「そうですね。私もそう思います」


「なに?」


「あんなちっぽけな魔法を実践で使うとは思えません。天使の加護も弱いですねぇ……なにあれ? ダサ過ぎる」


 軽く失笑してやった。


「なんだと! おい、リダ。お前は教師に向かってなんて口を効く!」


 今度は自分の権利を主張して来たか。

 職権乱用は言い過ぎだとしても、先生様はそこまで偉いのか? 

 確かに教師としての威厳は必要だが、あんたのは明らかに違うな。

 怠慢風味の傲慢仕様だ。 


「え? 先生はわざと『私たちの為』に手を抜いて、あの的を作ってくれたのではないのですか?」


 空とぼけて見た。

 ハッキリ言えば、答えはノーだ。

 あれだけ怒ってると言う事は、この教師なりに本気で作った加護なのだろう。

 実際にそこそこ良く出来てはいる。

 ……そこそこ、な?


「それはだな……」


 教師は口ごもった。

 そりゃそうだろう。

 ここで違うと言えば、生徒相手に本気になってると言う意味になるし、そうだと言えば私が答えたちゃっちい加護と言う言葉を肯定する事にもなる。

 どの道、この教師に都合の良い結果にはならないのだ。


「ま、そうですよね。こんな子供のおもちゃの様な魔法なんて、先生からしたら遊びの様な物ですよね。だって、私。一発で破壊出来ますもの」


「デカい口だけなら誰でも叩けるぞ? リダ」


「大丈夫です。口だけではない事を見せますから」


「じゃあ、やって見せろ。ここで見ていてやる……但し、お前が口だけだったのなら、それなりの覚悟をしておくんだな」


 何をさせる気だろう?

 うわ……オラが真っ黒くなってる。

 地味に色欲の波動も感じて来た……もしかして、コイツ本気で最低なヤツなんじゃ?

 取り合えず、協会に少し調査を依頼しとくか。

 もしこの色欲の波動が他の女子にも向いてたとしたら、この学園には置いておけないからな。


「覚悟ですか?」


「そうだ。後で職員室に来い。そこから先は状況によって違うとだけ言っておく」


 ……調べるまでもないか?


「わかりました。なら先生? 私が一発で壊したら、ここにいる生徒全員に学食のパンをおごって下さいね? 約束ですよ」


 軽くウインクして見せた。

 うげ………愛想良くしてやるつもりでやったけど、やっぱり気持ち悪いなぁ……くそ。


「いいだろう」


 教師は頷くだけ頷いてみせた。

 やけに余裕のある顔だ。

 そして、もう職員室から先の事を考えてるフシがある。いっそ、この場で処分してやろうか?


「じゃ、やります」


 私は軽く印を結ぶ。

 やり方なんか何でも良かったんだが、折角だし、私も紋様を使った魔法で的を破壊してやろうと考える。


「すいませーん! 危ないから少し離れてください!」


 印を結びながら、私は周囲にいた生徒に危険を促した。


 一応、大丈夫だとは思ったんだが、念には念をだ。

 そもそも、自分の魔法が原因で怪我とかされたら、それこそボッチになってしまうではないか。


 ポウゥ………


 幾つかの印を結んだ所で私の手に光が生まれる。

 生まれた赤い光は私の手を離れ、的に向かうとそのまま地面に潜った。

 その瞬間。


 カッッ!


 的を主軸に真っ赤な光が現れ、瞬時に半径二メートル程の魔方陣が出来上がる。


「……な、なんだ、あれは」

   

 教師は愕然となる。

 いや、近くにいた生徒もポカンとなっていた。

 なんだ? 冒アカの生徒ともあろう者が、魔法陣も見た事がないのか?

 てか、教師! 貴様はもっとわかってろ! 曲がりなりにも魔法専属の教師だろうが!


「魔法陣も分からないと言う事はありませんよね?」


 思わず聞いちゃったよ! 

 これで知らないとか抜かしたら、すぐにでも協会本部に連絡して、お前の解雇をなんやかんやで打診してやるからな!


「当然知っているし、自分でも作れるが……こんな強力な魔法陣は見た事も聞いた事もない」


 ああ、そこか。

 すると、他の生徒も教師と同じ理由か。

 少し力加減を間違えてしまったのかも知れない。

 次回はもう少し手加減した魔法を使おう。

 ……次回は。


 今回はもう遅い。

 発動してしまった魔法陣は、既に苛烈な光と共に一つの紋様を描いていた。

 次の瞬間。


『キュィィィィッッ!』


 甲高い鳥の鳴き声と同時に、巨大な火の鳥が魔法陣から出現した。

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