表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
483/1397

上位魔導師になりたくて!・二次試験【12】 

「コイツ……ルインは、女だぞ?」


 そうだろう? ああ、やっぱり言うよね~?

 ガチホモとかは、このタイミングで絶対に言い訳を………………なに、女っ!?


 メイスの言葉を耳にして、私は思わず目をパチクリとさせてしまった。


 言われると……なるほど、確かに何処か中性的だ。

 平均的な男性よりも少し背が低い青年じゃなくて、平均的な女性よりも幾分か背の高い女の子だったかっ!?


 髪の毛も男性染みた短さで切り揃えていたし、背も微妙に高くて……挙げ句、声もハスキーだったので声質の高い男だと思ってしまった。

 実は、声質の低い女の子だった訳で。


 うぁ……なんて紛らわしいっっ!


「そう言う事は始めから言ってくれよ……ちょっと勘違いしちゃったじゃないか」


「ご、ごめんなさいっ!……その、僕……一応、男装のつもりと言うか、僕の所属している組合は本当は女人禁制で……男っぽい格好と言うか、男として生活しないと行けない決まりになってまして……」


 呆れ眼で答えた私に、ルインは頭を抱えてから身体を震わせ、何度も私に謝って見せた。


 なるほど。

 気弱な男子ではなく、気弱な女子だったのか。


 そう言う観点で見ると、結構絵になる二人なのか。

 つまり、気弱な女子ルインを全力で守る男子メイスの構図が生まれる。


 この構図が出来上がると……ああ、そうな? と、腑に落ちてしまうのだから不思議だ。


 周囲に他人が一杯いるのに、いきなり抱き合う等の様なイチャイチャ行為は、単なるバカップルとしか言えないが。


 ともかく、これで合点が行った。


「良かったな、フラウ? どうやらお前の言う『不合理な愛』とやらにはなっていない模様だぞ?」


「…………」


 ニコニコと穏和な声音で、肩をポンッと叩きながら答えた私に、フラウは無言だった。

 完全に絶句状態だったフラウは、今にも口からエクトプラズムを吐き出しそうな勢いになっていた。

 

 その上で言う。


「燃え尽きたぜ……真っ白によぉ……」


 いやいやいやっ!

 待て、フラウ! まだ白くなるな!

 

 私は、12ラウンドを戦い抜いた末に完全燃焼してしまったボクサーの様なフラウを見て、おもむろにふためいて見せた。


「しっかりしろフラウ! 傷はまだ浅い!……と言うか、戦ってない! 大丈夫だ! お前には明日がある! きっと出会いがある! つか、愛しのパラス様は何処に行ったんだっ!」


「……はっ!? そ、そうだよ! そうそう! 私にはパラス様がいたじゃないのっ!」


「そうだ! 思い出せ! 私的には脈があるとは到底思えないが、卒業までなら片想いも許されるんじゃないかな? 的なパラスがいたじゃないか!」


「待って! ねぇ? 待とう? もし、それが事実だったとしても、なに? リダは何がしたいの? 私を慰めてくれるんじゃなかったのっ!? 私の心をえぐって楽しいのっ!?」


寝惚ねぼけた言うんじゃないっ!? お前の胸をこれ以上抉ったら、クレーターが出来てしまうじゃないかっ!」


「うわぁぁぁぁぁんっ! リダがいじめるぅっ!」


 フラウは全力で泣き出していた。

 ……ぐぅむ。

 私は正論を言っただけなのだが……そうだな、確かに言い過ぎた。


「すまないフラウ……私が悪かった。ともかく、今回の件は諦めよう……大体、向こうだって悪いんだよ? 男装してさ? 声も低いし? 背もちょっと低めの男みたいだし? 胸だって女とは思えない感じだし……」


 そうと答えた辺りで私はルインの胸元を軽く横目で見た。

 フラウを上回るまでの平野部が、ルインの胸元に存在していた。


 フラウだって、貧乳と言うけど、一応の山はある。

 高尾山程度だけど、ある事はある。


 しかし、ルインの場合は違う。

 あれは山じゃない……平野だ!


 だから思うのだ。

 ここは、フラウの機嫌を回復させるのに、一役買ってほしいと。


「ほら、見ろフラウ! ルインの胸元を! お前を上回る、常識を逸した地平線が見えそうな姿をっ!? これなら……お前の方がプロポーションで優位に立てる唯一無二の存在になるんじゃないのかっ!?」


「お、落ち着いてリダ! 確かに私が男と見間違えたのは、やっぱり……そう言う部分もあるけど、そう言うデリカシーに欠ける事を、さっき会ったばかりの女子に言うのって、すごぉぉぉぉく失礼だと思うのっ!」

 

 ここに来て、まさかの正論っ!?


 確かにその通り過ぎて、私は思わずズガーンッ! っと、珍妙な衝撃を受けてしまった。


 ……その時だった。


「また、何か大きく勘違いしている見たいだが……ルインの胸は、普通に凄いぞ? 特殊な魔法が掛けられている、強力なサラシを巻いてるだけだからな?」


 な……んだ……と……?


 微妙な顔を作ったまま答えたメイスの言葉に、私は更なる衝撃を受けて行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ