表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
482/1397

上位魔導師になりたくて!・二次試験【11】 

「メイス……もう止めよう? あんな……魔王だって驚く様な魔法を簡単にポンッ! っと出してる様な魔導師なんて……僕、上位魔導師でだって見た事がないし? ここで謝れば許して貰えるかも知れないだろ?」


 お前は私に何か謝る様な事をしたと言うのか?

 いきなり言って来た弱気発言……と言うか、事実上の降伏宣言をするルインに、私は微妙な顔になっていた。


 それとなく隣を見れば、フラウもポカンとなっている。

 

 まぁ、そうな?

 どう考えても弱腰過ぎるだろう。

 フラウだって、流石にヘタレたルインとか言う男の態度には呆れを……


「ねぇ、リダ? 気弱なイケメンって……なんか、こうぅ……そそられるよねっ!?」

 

 ……抱いてはいなかった。


 むしろ私が呆れたよっ!?

 何なの? マジでいつも思うけど、お前は顔が綺麗な男なら誰にでも盛れるのか?


「ああ……どうしよう……これって、新しい恋の始まりなんじゃないかな?」


「新しい色ボケの始まりなのは事実だと思う」


「そうだね……そう! これは運命! 善良かつ真面目に生き続けて来た私に対して、神様がくれたご褒美!」


「……いや、私の言葉はスルーか?」


 恍惚な笑みをポ~っと浮かべ、無駄に上気して火照った頬を右手で触り……何処か悩ましげな視線を見せていたフラウに、私は嘆息混じりのツッコミを入れた。

 全く……コイツの悪い病気がまた始まった。


 お前のアイデンティティーは貧乳だけで十分なインパクトを持っているんだから、その鉄鍋染みた惚れっぽさは、ちょっと何処かのゴミ箱にでも捨ててくれないかな?


「おい……ルイン。なんか、あの子……おかしくないか?」


 周囲にハートをフワフワさせて、不毛に情熱的な視線を向けて来たフラウを見て、メイスが眉をしかめた顔をして口を開く。


「そ、そうだね……なんと言うか、草食獣を狙う肉食獣みたいな目をしているよね……?」


 メイスに言われたルインは、元からちょっとオドオドしていたのだが、更に臆病風に吹かれた様な態度を取って、ブルブルと震え始めていた。


 もはや、その姿は小動物染みている様な気がするのだが、


「安心しろよ、ルイン。お前は俺がちゃんと守ってやるからよ?」


 直後、そうと答えたメイスはニッと快活な笑みを作ってからルインを…………いや、まて?


 お前等、いきなり何を……?


 思わず見てるこっちが唖然となってしまう行為が展開されていた。

 いきなりメイスのヤツが、ルインを優しく抱き締めていたのだ。


 …………えぇと?

 つまり……その……なんだ?


 コイツ等……って、そーゆー関係なの?


「魔導師組合には、まともなヤツがいないのかよ……」


 私は口々にぼやきを入れた。


 試験管は性悪な卵マニアだし。

 ライバルのデブ供は心身共に大概な連中だし。


 やっと、色々な意味でまともそうなヤツと出会ったな……と、思ったら、今度はボーイズ・ラブ的なお二人ですか?

 いらないんだよ! そんな展開わっ!?


「ど、どうしよう……リダ……もしかして、ルインさんって彼女がいるとか言う以前に、彼がいるタイプの人なのかな……?」


 フラウは困惑した顔になって私に聞いて来た。

 知るかよと言いたい!

 

「別に奴等の関係がどうであろうと、私達には関係ないだろう? 友達でも恋人でも、好きにすれば良いじゃないか」


「そ……そんなの……良くないと思うのっ! 確かに、自由恋愛は良いよ? 私が最も人生をエンジョイする上で大切な事の一つに、自由恋愛があると思っているから!」


 その結果、鉄鍋みたいな勢いで、美男子を見るとホイホイ着いてく癖は、絶対に改善しないと行けないと思うがな?


「だけど……違う……違うよね? やっぱり、同性じゃ……愛があっても子供は生まれない……こんな非合理な愛なんて、あっては行けない事だと思うんだよ……」


「そんなのは当人の気持ちだろう? 好きなら相手が同性でも良いじゃないか。子供が埋めないからと言って、建設的な判断が出来ないとも限らないだろう?」


「だめだめ! ダメなの! やっぱり燃える様な恋は! 真の愛は、異性同士だからこそ可能にしている、愛の神秘なんだよ! リダにも分かるでしょう? 私が持つ……この熱い気持ちを!」


 鉄鍋女の心理なんぞ、分かってたまるか。


 やたら情熱的に熱弁するフラウがいた時、メイスが不思議そうな顔になって私達へと声を掛けて来た。


「なぁ、君達……えぇと、リダさんとフラウさんだったか? ともかく、二人は何か勘違いをしている気がするんだが?」


 すこぶる不本意だと言うばかりの声音でメイスは言って来た。

 一体、何を勘違いしていると言うのだろう?

 今でも抱き合っているお前達の光景を見て『これは単なる友情だ』とかしても、ホモの言い訳にしか聞こえないからな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ