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上位魔導師になりたくて!・二次試験【4】 

 加点の上限値が50なのは、二試合の合計点が100を越えない為の処置だな。

 それと、一試合で合格点である80を大幅に越えない為のルールでもあるんだろう。


 ……まぁ、一試合で終わっても、この組合だったら『面倒な手間が一つ減って結構』とか言い出しそうで怖いんだが……。


 どちらにしても、勝敗は勝敗として合格基準にもなるし、勝敗とは別に能力的な物が高ければ、これまた合格判定の判断材料になる。


 つまり『場合によっては全員合格可能』なのだ。


 でも、この方法だと『場合によっては全員不合格』もない様な気がするんだけどなぁ……。

 いや……まぁ……うん。

 自分達にとってのメリットはそのままに、リスクだけ無くした様な試験でもあるんだけど、地味に穴だらけな気がするのは、私だけだろうか?


 そんな、私の素朴な疑問がそこかしこに思考を掠めて行く中……試験会場となるグラウンドへと足を向けた。


「か~たまー! ガンバだおぉ~っ!」


 試験会場となるグラウンドに向かう直前の所で、愛娘のエールが私の耳に転がって来た。

 余談だが、今回の試験はとってもオープンに行われる。


 一次試験の時は、関係者以外は根本的に立ち入り禁止状態だったのだが、今回の二次試験の場合は観戦目的のギャラリー席がちゃんと設けられていたりもする。


 ここらもあって、今回の試験はみんなが応援に駆け付けて来ていた。


 こう言うのは……何て言うか、嬉しくなるな。

 

「頑張れリダー! フラウも頑張れぇっ!」


 アリンの隣では、ルミが快活な笑みで私達に元気なエールを送っている。

 

「リダさん、フラウさん! あなた達なら普段の力を発揮すれば絶対に勝てます! リラックスです!」


 ルミの隣にいたルゥもまた、やっぱり元気な声で私達に元気をくれる応援の声を口から吐き出していた。


 ルミやルゥは、試験が主目的ではなくハイキングが目的でやって来ていたんだけど、こっちで試験をやっている事も分かってたしな。

 何より、こう言う励ましの声援が貰えると、一緒に来てくれてありがとうと、私の方が言いたくなる。

 

 何となく勇気を貰った気持ちになり、自然と顔をほころばせる私がいた所で、


「おい、メイ。そこにポールを立ててくれ」


 やたら大きな横断幕の様な物を持ったユニクスが、二本のポールを担ぐメイに指示を出していた。


「はい! ユニクス先輩!」


 ユニクスの指示に、メイはハキハキとした声で頷きを返す。

 ここは先輩後輩の関係だからだろう。

 メイちゃんは、何だかんだで体育会系と言うか……そんなノリを持つ子だから、自分でも無意識の内にそうなっちゃうのかな?

 

 まぁ、そこは別に良いさ。

 実際に先輩と後輩の関係だしな?

 けれど、ポイントはそこではなく……二人が何をしようとしているか? それが気になる所だ。


 二人はテキパキと手際良くポールを打ち込むと、私達を応援しているメンバーの両端にポールを打ち込み、更にポールの上部にユニクスが持っていた横断幕の様な物を取り付ける。


 最終的にはアーチ状になった。

 

 …………。


 こんな物まで用意するのか。

 かなり熱のこもった応援に、ちょっとばかりやり過ぎなんじゃ……と、苦笑する私がいたのだが、


「頑張れ胸無しコンビ?……って、アホかいっっっ!」


 私は顔を真っ赤にしてがなり声を上げた!


 なんて横断幕を書いてるんだ、お前らわぁっ!?


 もはや、私達を応援してるのか、ディスってるのか良く分からない文字をデカデカと掲げていた連中のアーチを爆破してやろうかと、右手をアーチに定めていた時、嘆息混じりになっていたフラウが、諦め半分の表情で私へと声を掛けて来た。


「落ち着いてリダ……ユニクスお姉が、わざわざ大きなアーチを作ったのは、単なる嫌がらせだとは思うんだけど、胸無しってコンビ名になっているのは私達の正式名になってるからなんだよ……」


 最後は地味に陰鬱な顔になっていたフラウの言葉に、私は唖然となる。

 確かに、あの卵マニアは最初にふざけたコンビ名を提示して来たんだけど……あれはちゃんと却下した筈だ。


 その後に『ブロンド&シルバー』に改名されて、そのコンビ名が正式な物になったんじゃなかったのかっ!?


「おい、マジでふざけんなよっ!? 何が胸無しコンビだよ! そもそもコンビじゃないだろ? 胸がないのはフラウだけだろっ!?」


「その言葉を、そっくりそのまま返して上げたい気持ちが私にものすごぉぉぉくあるけど、ともかく落ち着こうよリダ! これには私もタマコ試験官から頭を下げられた話でもあって、色々な運命のイタズラがあって……不運にも最初のコンビ名が適用されちゃったらしいんだよ……」


「……はぁ?」

 

 どんな運命のイタズラがあったと言うのか?


「話を聞くとね? タマコ試験官がうっかり訂正するのを忘れたんだって」


「卵マニアの単純ミスじゃないかよっっ!!」


 私は遮二無二がなり立てる!


 運命のイタズラだとっ!?

 お前が訂正するのを忘れただけじゃないかっっっ!


 運命、関係ないだろうがぁっっ!


 むしろイタズラしてない運命のせいにするんじゃないよ! 

 ふざけんな! 運命に謝れよ卵マニアがっっっ!

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