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上位魔導師になりたくて!・二次試験【2】 

「ところでフラウ? 二次試験の話とかは聞いてるか?」


 気分を変える形で、私は今後の話題をフラウへと尋ねてみる。

 一次を突破した時点で、試験官のタマコに色々と話掛けられていたので、ある程度の事は聞いているんじゃないのか?……ぐらいの感覚で聞いていたのだが、


「うーん……それが、私も良く分かってないんだよねぇ」


「そうなのか? その割りには、色々とタマコと話をしていたみたいだが?」


「う…………そこは、聞かないで」


 …………?


 何だか良く分からないが、フラウにとって聞かれたくない代物のようだ。

 まぁ……大方、鬼畜女と茶化されたりとかして、そこらについて必死になって弁明してたとか……まぁ、果てしなくどうでも良い事なんじゃないかなぁ……って、思ったりもしているんだが。


「二次試験は、一応ルーレットで決められる予定らしいんだけど……もしかしたら、ちょっと変わるかも知れないって話だね」


「変わる?」


 フラウの言葉に、私は少しだけキョトンとした顔になった。

 

 それと言うのも、魔導師組合ってのは何かと幸運に赴きを置く組合だったりしている為、色々な部分で幸運を試す様な試験を、あれこれ散りばめて来る。


 一次試験の箱だってそうだな。


 それぞれレベルと加点される得点こそ分かってはいた物の、その箱の選択は試験者が好きに選ぶ事が出来る。


 フラウはレベル順に進みはしたけど、ランダムで好きな箱を選ぶ事が可能だと言う事は、運が良ければ自分に都合の良い試験だけを受ける事が出来る……かも知れないと言う意味になる。


 逆に不幸であれば、ことごとく自分に不都合な試験が、試験者に出題されてしまうと言う事だ。


 この様に、なんて事のない部分にも、何かと幸運を示唆する様な試験内容が、そこはかとなく出されていたりもする。


 それだけに、今回の試験で最も運が試される物……試験その物を決めるルーレット抽選が無くなると言うのは、多少の違和感めいた物を感じてしまう。


「今回の一次試験なんだけどね? 実は私達とは違う場所で同様の試験を受けた受験者が二組居たらしいんだよね」


「……へぇ。そんなにやってたんだな」


 フラウの言葉に私は意外そうな顔をして返事をしていた。

 私とフラウの二人が試験を行っていた場所は、魔導師組合の正面にあるグラウンドの様な場所で行われていたのだが、結構なスペースがあったと言うのに、他の受験者を見る事はなかった。


 予想でしかないが、建物を挟んだ向こう側にでも、やっぱりグラウンドの様な場所があったのだろうか?


「その二組も全員合格しちゃったらしくてねぇ……魔導師組合では少し異例の三連続合格らしいんだよ、これが」


「なるほど、珍しい事もある物だな」


 更に続いたフラウの説明を受けて、やっぱり私は少しばかり意外そうな顔をしつつも、それ以上の考えを持つ事なく返事をしていた。


 一定の合格点を定めた試験なんだから、全員が合格点に到達する事だってあるだろう。

 まぁ……その逆もあるのだが。


「それで、ね? まだ正式には決まっていないっぽいんだけど、この三組で総当たり戦をやって貰って、その総当たり戦の結果で試験の合否を決める事になるかも知れないらしいんだよねぇ……」


「……はぁ?」


 私の眉が捩れた。


 だってそうだろう?

 それって……つまり、震いに掛けている様な物だ!


「合格点に到達すれば、誰だって文句なしで資格が貰える試験が……どうして、相手を不合格にする試験に変わるんだよ……」


 私は苦い顔になってしまった。


 合格点が存在する試験ってのは、言うなれば平等なのだ。

 上位数名が試験突破と言う条件とは違い、誰彼と争う必要がないからだ。

 そこに敵はなく……強いて言えば、難問が敵でしかない。


 だから、試験者が別にいたとしても争いにはならないし、変にライバル視する必要もない。

 むしろ、試験者同士で協力する事で、互いに合格が近付くルールでもある。


 このルールには、色々な人間の賛否両論があるとは思うが……ポイントはそこではない。


「……それじゃ、何か? 予定より合格者の数が多かったから、ここで組合側が確実に不合格者が出る仕組みに変えたって事か?」


「それはどうだろうねぇ?……負けても、戦闘の内容次第ではちゃんと加点されるし? 極端な話を言えば、今回の三組がハイレベルな戦いをして、全部の実力が拮抗していて、なおかつ試験官が高く評価すれば、二次試験も全員通過になる様な加点方式なんだよね?」


「……はい?」


 なんだよそれ?


 ハッキリ言って、フラウの言ってる事も……魔導師組合のやっている事も、何もかもが意味不明だった。 

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