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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、大人気なく学生相手に無双する・本戦【後編】
47/1397

【2】

 




 そこから数分程で、三回戦最後の試合になる、ルミと三学年第三代表の人の戦いが始まる。

 シードを破った超一年生として、周囲からの脚光を浴びまくるルミは、スタジアム内ではちょっとした時の人になっていた。


「ルミさぁーん! 頑張ってくれー!」


「今度も勝ってくれよー! 応援するぜっっ!」


「きゃぁ~ん! ルミ様! あたしと良いことしよう~っ!」


 ……一部変なのがいたが、人気は上々だと言う事が伺えた。


「なんか、違う意味で緊張するなぁ………」


 あんまり注目されるのが苦手なのか、少し緊張気味のお姫様。

 ちょっと心配にはなるが、多分大丈夫だろう。


「凄い人気だな……」


 そうと答えたのは、対戦相手の三年生。

 少し羨ましいのか? それとも、単純に人気者と戦うのに気が引けたのか?

 どちらにせよ、余り良い顔はしていなかった。


「えぇと、よろしくお願いします」


「よろしく」


 ペコリと頭を下げるルミを前に、その三年生も短く一言だけ声を返していた。

 やっぱりやりにくそうな顔をしてるな。

 特に悪い事をしてるわけじゃないけど、結果的に敵役を強いられる様になったから、どうしても無愛想な態度になってしまうのかも知れない。


「始め!」


 試合が開始される。


 相手の三年生は槍かな?

 やっぱり模擬刀と同じで殺傷力の低い物を使っている。


 槍は剣より圧倒的にリーチがある。

 その長さを活かしたスタンスで戦えば、相手が魔法使いでも決して負けはしないだろう。


 ……と、思った時が、私にもありました。


「うぉわぁぁぁぁっ!」


 開始十五秒。


 颯爽と槍を構えてルミへと槍を振るった瞬間。


 ゴォォォォッ!


 っと、出て来た炎壁魔法ファイアーウォールに相手が焼かれていた。

 今までの相手は剣士だったから、なんとか寸前で避けて逃げていたのだが、槍は少しウェイトがあったせいか、その分少し逃げ遅れた。


 時間にして精々数秒だったとは思う。


 だが、その数秒が大きく勝敗をわけてしまう事だってあるのだ。


 結果的に、炎の防御壁を張ると言う、ルミからすれば防御手段を取った最初のターンで決着がついてしまった。


「えぇと……あの、大丈夫ですか?」


 流石に驚いたルミ。

 目はテンになっていた。

 正直、少し申し訳ない顔にすらなっていた。


 余りにも呆気ない幕切れに、観客もつまらない顔をするかと思いきや、むしろ大賑わいだ。


「おおおおおっ! マジか! やっぱりルミちゃん強ぇっ!」


「可愛いのに、格好良いとか、最強すぎる!」


「あぁ~ん! ルミちゃんに抱かれたぁ~いっ!」


 やっぱり最後はおかしいのが混ざっていたけど、ともかく闘技場はルミを大絶賛だった。

 

 かくして、三回戦もこうして終わり、残りは準決勝と決勝の二つを残すのみとなって行くのだった。




 ●○◎○●




 準決勝は、実質一個しかない。

 前々にも述べたかも知れないが、十四人でトーナメントを作っている関係上、どうしてもその形がいびつになってしまうのだ。


 よって、ユニクスは既に決勝進出を決めており、次の試合の勝者……準決勝となる私とルミ姫様の結果待ちとなっていたのだった。


「手を抜くなよ、ルミ姫様」


 私は目をミミズにして言う。


 知ってるヤツもいるだろうが、前の学年予選でも準決勝で当たってるんだけど、その時のルミ姫様がな……。


 すると、ルミ姫様はフッ! と好戦的な笑みを色濃く作ってから叫んだ。


「そう言うリダは精一杯手を抜いて!」


「格好つけて、残念な台詞を叫ぶんじゃないよ!」


 ああ、もう、なんだかなぁ……。 

 

 最初から本気で負けに行く事を算段している様にしか見えない。


 つまり、こうだ。


「痛くない負け方がしたい!」


「って、口に出てるから!」


 なんで、こんな根性のない事を平然と言えるんだよルミ姫様……。

 

「始め!」


 ある意味、お互いに戦う気がない心境のまま、試合開始の声が審判からやって来た。


 正直、ちょっとした脱力感すら心の中に産まれた私がいる。

 てか、もう、帰っていいか?


「さぁ、リダ! 私をバシィ~ンとやっつけちゃって」


 いやいやいや!

 開幕からおかしな事を言ってたルミ。

 ここまで勝つ気がないと、むしろ清々しい。


「別に、いいけど………バシィ~ンだと、少し痛いかもしれないぞ?」


「……う」


 口ごもった。


「い、痛くない様なのでお願いします!」


 ペコッと頭下げて来た。

 もう、どんな戦いなんだよと本気で思って来た。

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