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上位魔導師になりたくて!・一次試験【18】 

「色々あったけど……まぁ、どうにかこうにか、ここまで来た感じだよな……」


 答えた私は、地味に疲れた顔になっていた。

 他方、隣にいたフラウも同じだ。


「そうだね……主にタマレイバーとか、パズルとか、試験精霊が同じ挨拶ばかり言って来るとか……色々あったね」


「そうな……特に試験精霊は、ちょっと私もイラッと来た……」


 フラウの言葉に、私も頷きを返した。

 力無く答えたフラウが言う通り、箱の前に立つと、決まって同じ事を言って来る試験精霊がいたからだ。


 毎回の事だったので、後半の方は説明を待つより先に『イエッサー!』と声を揃えて言うのが定番になっていた。

 きっと、レベル9でも同じ事になるだろう。

 もういい加減、はいかいいえで答えても良いと思うし……そもそも、最初の最終確認自体が要らないと思えるよ……まったく。


「……ま、これをクリアすれば、一次試験は突破する事になるし、最後のひと踏ん張りの感覚で頑張って行こうか」


「そうだね……じゃあ、行きましょうか」


 私の言葉に、フラウは口元を緩ませて答えた。

 色々と苦労はした物の……この9をクリアさえすれば、その苦労は報われる。


 レベル1から8までクリアして来た事で手にした得点は60。

 減点は途中で強引に却下したので、この得点が私達の獲得した得点と言う事になる。

 

 そして、レベル9と10は、それぞれ20点の加点になる為、このレベル9をクリアすれば合格点に到達すると言う訳だ。


 余談だが、100点を取っても次回の二次試験に何らかのアドバンテージが付与される訳でもなく……強いて言うのなら、満点で通過したと言う名誉が生まれるだけなので、レベル9をクリアした時点で終了しても、成績が合格点ギリギリか満点かの違いしかない。


 どの道、合格である事に代わりはないので、ここで試験を終了しても問題はなかった。

 フラウと話し合った結果、レベル9を問題なくクリアした場合は、その時点で終了しても構わないとの事。


 どんな試験であっても、しっかりと最後まで自分のベストを尽くしたがるフラウにしては珍しい、不真面目チックな台詞に感じてしまうかも知れないが……これは、次の試験を考慮しての事。


 試験はこれで終わりではない……と言う所がポイントだ。

 

 この試験は、まだ一次試験でしかない。

 続く二次試験・最終試験の二つが控えている関係も加味するのであれば、ここは成績に固執するのではなく、しっかりと体力を温存する方法を取った方が賢明……と判断しての事だ。


 どんな時でも、堅実かつ着実に……石橋を叩いて渡る性質でもあったフラウらしい判断でもある。

 

 ここらの関係もあり、順調にクリアさえすればここで終わりと言う事になる。


 後でタマコが『実はあの減点は有効でした』とか、アホな事をほざかない限りは大丈夫だろう。

 まぁ、そんな事を言った日には、私やルミ、ルゥ辺りが黙ってはいないだろうけどな?


 話を戻そうか。


 私とフラウの二人は、事実上の最終となるレベル9の試験が行われるだろう箱の前に立った。


 すると、御多分に漏れる事なく試験精霊が出現する。


『はい! 私の名前は人工精霊・タマコ九号……』


「「イエッサーッ!」」


『はわっ! まだ、自分の名前しか名乗ってないのに、いきなり最後のオチをっ!? しかも二人揃ってっ!?』 


 いい加減、飽きたんだよ! これで九回目なんだからなっ!


「自己紹介と最終確認はもう良い! 私達はもう、お前らのボケに何回も何回も付き合わされてるんだ! さっさと次に進めろ!」


 不本意極まる顔になっていた試験精霊タマコ九号を前に、私はこれでもかと言うばかりの睨みを見せてから口早に叫んだ。


『……なるほど。つまり、ここの試験にやって来る前までに、もう他の精霊達が私の編み出した最高のジョークをしっかりと披露しまくってくれたのですね? そうですねっ!? しかしながら、このジョークは私がオリジナルでして……って、ちょっ!? いきなり何ですか? その右手で何をするんですかっ!? 何か魔導式とか紡いでません? いやいや! 待って? ねぇ、待ちましょう! 今は冷静になるべき時だと思うんですっ!』


 得意気に語るタマコ九号に向けて私の右手が添えられて間もなく、アタフタと叫んで来る。

 さっきから言ってるが、これでテイク・9なんだよ……しかも、自分がオリジナルだと思ってるんだよ! お前らは何なの? 起源説を唱えたいヤツなの? 起源である事が偉いと思ってるヤツなのっ!? 自分がオリジナルじゃないと爆発しちゃう精霊なのっ!?


「ともかく、余計な茶番はカットだ! しっかりと実用性のある部分だけ、説明しとけ!」


 じゃないと、マジで爆破しちゃるからなっ!

 思った私は、右手に超炎熱爆破魔法フレインダムドを発動休止させた状態のまま、タマコ九号へと言い放っていた。

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