上位魔導師になりたくて!・一次試験【17】
今回は、直径三十メートル程度の比較的広い魔法陣で、リビングデッドと思われる、一定の魔力と思考を持ったアンデットを数体ばかり相手にすると言う試験だった。
魔法縛りは、聖なる魔法系統と光魔法は禁止。
炎系は上位魔法までとする。
アイテム禁止。
その他にも色々と細かいルールはあったが、主なネックはこの三つだった。
アンデットにとって聖なる魔法は、もう弱い魔法でも致命的なダメージを与えられる。
リビングデッドは、比較的上位のアンデットなので、聖なる魔法であっても初級レベルであればそこまでの痛手を負う事はないだろうが、上位魔法であれば効果はテキメンだ。
でも? 普通に考えて魔導師が、聖なる魔法なんか使わないのでは?
……と思うかも知れない。
しかし、この世界の場合は他の職に就いていたとしても、本人の努力次第で別の資格や魔法……技術を習得する事は可能だ。
前にも述べたかも知れないが、抽象的に述べると……商業系の仕事をしている人が、建築士の資格を受ける事だって出来るし、その逆に建築関連の仕事をしている人だって営業関連の資格を取る事も出来る。
これと同じ理屈で、魔導師をしているからと言って、聖なる魔法や技術を習得ないし勉強しては行けないと言うルールはないし、その逆もない。
……まぁ、聖職者の場合だと魔導の内容によっては禁止されている可能性はあるのだが。
なので、聖なる魔法禁止と言う縛りが発生する。
アンデット相手に、この手の魔法が使えないのは面倒極まる話だ。
同様の理由で炎系の魔法に制限縛り。
これも同じで、アンデットに超有効であったからだ。
こうなると、フラウの炎神の槍は使えない。
あれも炎系魔法扱いになるだろうし、格付けで言えば超魔法の類いになるので、縛りの中に入ってしまう。
結果的にフラウは、かなりの御荷物になってしまう事が確定してしまうのだが……試験自体はアッサリ終わってしまう。
え? ここまで地味に長く引っ張ったのに、アッサリ終わるの?……と言われそうな話だが、ここで縛りに爆破しては行けないと言う項目が存在していない部分に刮目だ。
超炎熱爆破魔法は、炎系との複合魔法からなる超魔法なので、縛りに抵触してしまい兼ねないので、今回は純粋な超爆発魔法を発動させる。
超炎熱爆破魔法は、みかんに教えて貰ってから私のお気に入り魔法として、今でも良く使っている魔法でもあるのだが……その前までは、私にとってのお気に入り魔法はこっちだ。
簡素に言うのなら、超爆発魔法も……私にとっては大得意魔法な訳だ。
……で、どうなったのかと言えば、賢明なるお方であるのなら、この場でわざわざ結果を口にせずとも見当を付ける事が出来るだろう。
リビングデッドは一発で吹き飛んだ。
いつぞやの鋼鉄魔導人形と同じレベルで吹き飛んでいた。
元来、この試験は、かなり面倒な試験内容であっただろう。
相手にとって特効でもある魔法を禁止または制限を受けた状態で、上位クラスのアンデットでもあるリビングデッドを複数体相手にしなければならないのだから。
だが、私にとって爆破魔法禁止とか言う縛りがなかった時点で、この試験は右手で耳穴をほじりながら戦っても余裕と言える。
アッサリ粉砕した所で、次の試験……レベル8に向かった。
予想からすると、次はタマレイバー・レベル4でも出現するのかと思っていたのだが……私の予想を裏切る形で、全く異なる試験が出題された。
パズルの様な物を手渡され、そのパズルを素早く正確に解いて……そのパズルの中に有った答えの魔法を使って、同時に出現していた的を破壊する事が出来たのならクリア。
魔導師ってのは、色々と空間的な理論を重んじる。
魔導力学なんて物が存在するこの世界に置いては、物理的な物とは別に魔法的な視点での力学が当たり前の様に存在しており、当然ながら空間力学的な物の魔法バージョンもあったりする。
今回のパズルは、この魔法視点からの空間力学を応用する形で解いて行く実地試験だった。
大抵の事は力任せで解決してしまう……脳筋派だった私には苦痛を伴う難関でもあったのだが、こんな時こそフラウの出番。
何だかんだで、互いの得意分野が違っていたのは幸いだった。
最終的にはフラウ大活躍の回とも言える。
ほぼ大多数のパズルをフラウが解き、答えを導き出す。
出た答えが、爆破系。
……いや、もう、これね?
わざとやってるんじゃないのか? って、思えたね。
私が超炎熱爆破魔法を的にぶつけた事で、レベル8が終了した。
地味に長くなってしまったが……これがレベル8までのハイライトだな。




