上位魔導師になりたくて!・一次試験【15】
……ま、何はともあれ、だ!
「お前には私が着いてる! 大船に乗ったつもりでいろ!」
「うん! 大船にゆっくり揺られて、リダにおんぶに抱っこで、盛大な御荷物を演じる事にするよ!」
「そこまで頼るんじゃないっ!」
私とフラウの試験は、ここからもう暫く続いた。
○◎●◎○
私とフラウは、以後もレベル3以降の試験を受けて行く。
地道大好きフラウの意思に忠実な形で進んで来た関係もあり、結局はレベルの数字順に進んで行く事になる。
少し、話の尺が長くなりそうなので、ここからレベル9まではダイジェストで述べて置こう。
まず、レベル3。
指定の魔法を発動させて、落ちて来るブロックを破壊する試験だった。
試験が開始されると、地面に魔法陣が浮き上がり……魔法陣の中でしか行動する事が出来なくなる。
この状態で、氷の矢魔法と言う中位の魔法を使って、上空から雨の様に降って来るブロックを撃ち抜いて行くと言う代物。
ブロックは、上から魔法陣へと注がれる勢いで落ちて来るのだが、魔法陣に落ちたらミス扱い。
ミスは五回まで許されており、6ミスをすると試験は失敗。
レベル3で加点5される得点が消滅してしまう。
要は、正確に氷の矢魔法を発動させて、ブロックを空中で破壊させる試験だ。
撃ち漏らしたり、威力が低くて破壊する事が出来なかった場合は魔法陣に落ちてしまうので、正確かつ高火力を保ちながら上空のブロックを次々と連続で打ち落として行く必要がある。
正直、あんまり魔法が得意ではない私にとっては、地味に面倒な試験でもあった。
単純に火力だけであれば問題なかったんだが、素早く正確に、撃ち漏らす事なく連続発動しないと行けない……と言うルールは、地味に苦手だった。
他方、こう言う器用さを重要視する試験に関してはフラウの方が圧倒的に得意で、次々と正確に駆逐して行き……しっかりと加点5を手にして行く。
この試験では、フラウの方が活躍してる感じだったな?
続いてレベル4。
ここでは、再び人工魔導兵・タマレイバーが登場する。
厳密に言うと、人工魔導兵・タマレイバー・レベル2。
レベル1を改良し、大容量の魔力容量を持ったタマレイバーが、私とフラウに立ちはだかる!
今回も高火力魔法をビシバシ撃って来るタマレイバーだったのだが……。
しかし、大容量の魔力タンクを積んだ事が反って裏目に出ていた。
大容量のタンクは、とてつもなく重いのだ。
……で、だ?
レベル1と同様に、魔法を撃つ事が出来るし、その魔力容量も格段パワーアップしたのだが……その分、動きが遅い……と言うか、動けない!
設計士はバカなんじゃないだろうか?
特に笑える……と言うか、笑えないのが、背後に回られた時だ。
背後に回ると、タマレイバーも私達の正面に向こうとするのだが、よっこいしょ……どっこいしょ……と、ボケをかましているんじゃないかってレベルで遅い!
当然、隙だらけな訳で。
結局、私とフラウで背後に回り捲り……最後に、フラウの炎神の槍で白旗を上げさせた。
やっぱりビミョーな空気が出来上がった所でレベル5。
ここでは、鋼鉄魔導人形が群れで出現した。
正確な数をかぞえた訳ではないから、なんとも言えないが……十体程度はいたろうか?
ここでの魔法縛りはなく、自由に使っても良いとの事。
よって……面倒だから、まとめて爆破した。
私に魔法を自由に使っても良いと言った時点で、この試験はクリアしたも同然だと思うぞ?
折角だったので、超龍の呼吸法レベル1を発動し、魔力を上昇させた所で超炎熱爆破魔法を使ってやった。
笑っちゃうぐらい、アッサリと鋼鉄魔導人形が消滅していた。
これまで、地味にフラストレーションが溜まっていたので、良い気分転換になる試験内容でもあった。
気分を良くした所で、レベル6。
タマレイバーが三度目の登場をして来た。
今度はレベル3だ。
さっきから偶数レベルでは、全てタマレイバーが出現しているんだが……これはわざとそう言う仕様にしているんだろうか?
妙な勘繰りをする私もそこそこに……タマレイバー・レベル3との戦いが始まる。
レベル1での魔力容量不足に、レベル2での積載超過と言う、この二点を大幅に改良して来たタマレイバー・レベル3。
小型軽量化された魔力タンクにより、タマレイバーは俊敏に動く事が可能になった。
これで、大容量の魔力容量を持ちつつ……動きも俊敏にする事が可能に。
更に、タンク以外の部分も大幅な軽量化をする事で、従来のタマレイバー(レベル1)よりも、二倍近い俊敏性を実現させた!
まさに、より高性能な魔導兵へと進化したタマレイバー・レベル3!
だが、軽量化し過ぎて防御力まで低下してしまい……既存のタマレイバー・レベル1よりも打たれ弱い弱点が存在し……結局、フラウの炎神の槍で沈んで行った。
何事もやり過ぎは良くないらしい。
……てか、マジで設計士はバカなんじゃないだろうか?




