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上位魔導師になりたくて!・一次試験【13】 

 バリバリバリィィィッッッ!


 巨大竜巻が、私の魔導壁に当たり……衝突音とも摩擦音とも取れる派手な音を撒き散らし始めた!


 ああ、もう! 本気でレベル1なのか、これはっっ!


「ともかく! 早く撃て! じゃないと、マジで防戦一方だ! これは二人でやる試験なんだろうっ!?」


 声高に叫ぶ私がいる中、


「わ、分かった……頑張って見る!」


 フラウが自分を奮い立たせようと両手の握り拳をギュッ! っと握りしめた。

 

 そこから、頭の中に魔導式を紡ぎ始める。

 同時にギュッ! っと握りしめた手を広げると、それを大空高く掲げて見せた。


 炎神アグニランス


 瞬間、巨大かつ強大な炎の槍が、タマレイバーの頭上に出現した。


 その数……五本。


 いつぞやは三本だったけど、更にその数を増やして来た模様だ。

 きっと、これがフラウなりに頑張って来た努力の成果なのだろう。


「行けぇっ!」

 

 巨大にして、強大。

 燃え盛る炎の槍は、上に掲げていた手をフラウが振り抜いた瞬間、五本全てがタマレイバーへと降り注がれる。


 ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ! ドォォオンッ!


 ……え? 何これ? 普通にスゴいんですけどっ!?


 どうやら、私の知らない所で、フラウはやっぱり地道な努力をコツコツと続けていた模様だ。

 単純に数が増えただけではなく、その威力も数段上がっていた。


 特に五本目の槍は、他の四本よりも段違いに威力が高く……更に、これはフラウなりのアレンジなんだろうか? 爆破魔法の様な物まで付加されていた。


 トドメの五本目がタマレイバーに突き刺さり、大爆発が起こると……辺りに盛大な砂煙が巻き起こり、爆破されたタマレイバーの部分が砂煙で見えなくなる。


 果たして。


「……え?」

 

 私はポカンとなってしまった。

 爆風と砂煙が消え去り、再び視界が良好になって来た所で……ボロボロになりながらも、しっかりと地に足を付けているタマレイバーの姿があったからだ。


 嘘だろ?

 こう言っては難だが……さっきの炎神の槍は、尋常ではない威力があったぞ?

 私的な見解で行くと……ドラゴンクラスのモンスターを、一瞬で葬り去るだけの威力があった様に見えた。


 補助魔法も補助スキルもやらない状態ではあるが、私の超炎熱爆破魔法フレインダムドにも匹敵する威力だ!


 炎神、アグニの力を借りた魔法である為、フラウ単体の力と言う訳ではないのかも知れないが……それを差し引いても、この一撃は凄まじい。


 だが、この一撃を受けても尚、普通に立っている事が可能だったタマレイバーの防御力にも目を見張る物がある。


 本気でレベル1と言うのは、冗談なんじゃないかと思えてならない。


「……やれやれ」


 嘆息混じりになって呟いた私。

 正直に言うと、少し騙されている様な気がして……気分が悪い。


 いや、これ……どう見ても、最強クラスに強いだろうが!


 レベル1とか言う数値に騙された感がして、仕方ない。

 全く以て腹立たしい気持ちがある私ではあったが……しかし、口元は笑っていた。


 この時の私は、場違いながらも高揚感を隠せない気持ちなんぞも存在していたのだ。


 面白い……面白いじゃないか! 人工魔導兵・タマレイバー!


 最初は、フラウの試験だと思って……敢えて、フラウに攻撃を譲ったが……気が変わった!


 次からは、私も本気でお前と相手してやろうじゃないかっ!


「あははははっっ! 良いね! 良いぞ! 面白過ぎる! こうなったら私もマジでやってやろうじゃないか!」


「へ? ちょっ……リダ? 目が座って来てるんだけど……大丈夫? 気は確か? 変な薬とかやってないよね?」


 やってるか! バカなんじゃないのっ!?

 高笑いして見せた私を見て、隣にいたフラウが本気で心配する眼差しを私に見せて来た。

 凄まじく不本意な視線だった。

 お前の為にやってるんだから、私を狂人でも見る様な目で見るのはやめろよっ! 悲しくなるだろっ!?


 ……と、ともかく!

 ここからは、リダさんも今までの様に防戦だけするとか……そんな甘い事はしないからなっ!


 思い、私は自分とフラウに補助魔法を発動させようとした……その時だった。


『エネルギーが切れました。これより活動を休止します』


 …………はい?


 いきなりタマレイバーが白旗を振った。

 比喩的な物ではなく、本当に白旗を振っていた。


 右手に握っていたタマレイバーのワンドから白い布が生える感じで現れて、ワンドが白旗代わりになっていたんだが……それをそのまま振っていた。


 へ、変な所が……妙に芸が細かい気がする。


『……ごらんの通り、タマレイバー・レベル1は魔力容量が極端に少ないんですよね。高火力な魔法をポンポン使うと、簡単に魔力切れを起こしてしまいます。それなのに、自分のスタミナと相談する事なくガンガン撃ちます……つまり、オツムも余りよろしくないのです』

 

 突然の負け発言に、思わず目を点にしている中、試験精霊が私達へと説明して行く。


『まぁ、レベル1なので。他のレベルで出て来るタマレイバーは、このレベル1を改良した物になるので、これをベースに判断して貰えたら嬉しいかと思います』


 つまり、基本性能はコイツだと言う事……で、当たっているのか?


 少し悩む所ではあるが……取り敢えず今の所は、このタマレイバーを元にした魔導兵が出現して来る試験もある……と言う解釈で良さそうだった。

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