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上位魔導師になりたくて!・一次試験【7】 

「……は、はい……かしこまりました……」


 へたり込んだ状態のまま、私に頷く卵マニアがいた。

 今の一撃は、魔導師をやってるヤツであるのなら、どの程度の実力を持っているのか良く分かる一撃であったに違いない。


 並の魔導師なら、発動させる為に必要な魔導式すら覚える事も出来ないレベルの超魔法でもある。

 仮に魔導式を覚えたとしても、それを頭の中に紡ぎ出し、更に発動まで持って行くなれば……それこそ上位魔導師クラスだって容易ではない。


 発動までこぎ着ける事が可能な魔導師がいたとしても、常識で物を語るのなら高レベル魔導師ですら優に一分は必要とする。


 それを、一瞬で発動させて見せたのだ。

 性根は腐っていても、魔導師組合の人間をしているんだから、これを見れば流石に私の実力を疑いはしないだろう。


「じゃあ、ルーレットで『不正に決まった試験』をやろうか? まぁ、ここまでは見逃してやろう? 私は寛大な会長様だからな? あははははっ!」


 皮肉を交えて、わざと高慢に笑う私がいた。


 近くにいたフラウが地味に引いている。

 いや……だってさ? 少しはやり返してやりたいじゃん?

 今の私がやっている事は、この卵マニアがやった事へのブーメランでもある訳で!


「……悪魔だね、リダ」


 いや、待って!?


「悪魔じゃないし! 悪魔はユニクスだし!」


「ユニクスお姉も悪魔だとは思うけど……ほら、お姉は自覚あるし」


 いやいやいやっ!

 私は悪魔とか言われる筋合いないから!


 確かに少し悪ノリした所があったし……こんな事をやられたら、私も悪魔だとは思うけど!


 …………。


「と、ともかく! ここから仕切り直しだ! 今度こそ試験を開始しようか!」


 地味にグダグダになった所で、一次試験が始まる。


 果たして、ルーレットが定めた試験内容は……えぇと、魔導技術試験かな?


「おい、卵? これは、どんな試験だ?」


「あのぅ……流石に卵はちょっと酷いので、せめて私の名前を……」


「……まぁ、そうな? じゃあ、名前を聞こうか?」


「タマコです」


「変わんないじゃないかっっ!」


 ああ、もうっ!

 卵好きのタマコさんとか! そのまんま過ぎて大草原だよ! マジで!


「……タマコです」


 もはやツッコミとも言える私の叫びを耳にし、タマコは瞳を潤ませて言う。

 本当は、大声で反論したいんだろうが、私の能力と権力を前に反論するのが出来ず……でも、悔しくて涙を滲ませていたりもするタマコ。

 

 ……はぁ。


「やめてくれ。これじゃ……私がお前をいじめている見たいじゃないか」


「みたいじゃなくて、普通に苛めてるじゃないの」


「違うしっ!」


 つまらない顔で答えた私に、すかさずフラウが横槍を入れて来た。

 

「OK……タマコだな? 分かった。それじゃあタマコさん? 魔導技術試験とやらはどんな代物なんだ?」


「グスッ……じゃあ説明します」


 完全に泣きべそになっていたタマコが、涙を手で拭ってから右手を前に広げる。


 直後、ルーレットが一瞬で消え去り……その代わりに十個の箱が出現した。


「これが、今回の一次試験です。十個の箱があると思うのですが、それぞれレベル順に並んでます。レベルは難易度を意味する物で、最初にあるレベル1が簡単。最後にあるレベル10が最難関と言う意味です。箱を開けると、魔導技術に関係するお題が出現して、お題をクリアすればレベルに合わせた得点が加算されます」


 ツラツラと説明して行くタマコは、間もなく私達へと一枚の紙を手渡して来た。

 

 手渡された紙の中身には、レベル別のクリア時に加算される得点の様な物が書かれていた。

 どうやら得点表の様だな。


 見る限りだと、レベル1クリアで5点の加算。


 レベル2・3・4までは、それぞれ加点は5点。


 レベル5~8になると、クリア時の加点が上がり、10点になる。


 最後のレベル9と10のみ20点の加点だ。


 試験突破に必要な得点は80点なので、順当に1から9までクリアした場合は、この時点で合格点には到達する模様だな。

 

 1~4で20点の加点、5~8で40点の加点……で合計60点。

 最後に9の20点を加点すれば80点になる。

 

「箱のレベルですが、どの順番で進めてくれても構いません。手堅くレベル1からお題を達成して行くも良し、いきなり高いレベルから初めて、効率良く合格点を獲得する作戦に出ても良し。そこは好きに選んで下さい」

 

「……なるほど」


 合計点が80点を越えれば、もう不合格にはならないから、まずは安心出来る訳か。

 

「制限時間は、本日の夕方五時まで。もちろん休憩等は認められますので、食事がしたい場合は、私に一声掛けて下さい。但し、魔導師組合の敷地から外へと出てしまった場合は失格となってしまうのでご注意下さい」


 夕方五時……か?

 やたら長い制限時間だな。


 けれど、そこまで必要な試験内容なのかも知れない。

 うむぅ……やっぱり上位魔導師の試験だけあって、一筋縄では行かないんだろうな。

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