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上位魔導師になりたくて!・一次試験【6】 

「……あのぅ……私も、今のはちょっと露骨過ぎると思うのですが……?」


 直後、フラウも苦笑いで卵マニアへと苦言を呈する。

 どう考えても不正操作としか言い様がないからな。


「う、うるさいわね! ここでは私がルールなのっ! 私が白だと言えば、絶対に白になるんだからね? これ以上減点されたくなかったら、素直に従いなさい!」


 うぁ……滅茶苦茶傲慢かましてくれるな。

 この調子だと、真面目に試験を受けてもコイツの気分次第で不合格にもなるのか……うーむぅ。


 流石にこれは不正過ぎる。

 つか、上位魔導師の試験官に、こんなバカを適用している魔導師組合の人事ってアホなのかっ!?


 ああ、もう駄目だ!


 色々と我慢して来たが……公正な判断すら出来ない無能試験官には業を煮やしたわっ!


「……おい、卵マニア? 貴様、名前を言え」


「はぁ? 何? いきなり? 卵マニアって私の事? ふざけた事抜かしてると、また減点するわよ?」


「安心しとけ、この試験を公平にやらん状態で理不尽な減点をすれば、貴様の首を飛ばすからな?」


「……はい?」


 凄味を利かせて言う私に、卵マニアはポカンとなってから盛大に笑ってみせた。


「あははははっ! ばっかじゃないのっ!? あんたに何の権利があってそんな……」


 事が言えるの?……と言うつもりだったのだろうが、間もなく見せた私の冒険者カードを見て、言葉が止まった。

 ついでに顔もフリーズしてしまう。


「………………え?」


 目を点にしたまま、思考までフリーズしてしまったろう卵マニアは、フルフルと身体を震わせた状態で私の冒険者カードへと視点を落としていた。


 ……冒険者協会・会長の証でもあるカードを見て、だ。


「一応、私もな? 公平な立場から、あくまでも受験生の立場でここに立っている。だからして試験に『公平な形で』落第点を取ったのであれば、素直に認めるが……今の露骨な不正操作と言い、受験者に対する傲慢な態度は憤懣ふんまんに値する。冒険者協会の会長として魔導師組合へと一定の指導を申請してやろう。特に人事は酷いな? 試験官関連には試験官として適正かどうかを再試験して貰う事にし、不適正であれば処断……つまり、クビにしてやろうかと思うが、どうだ?」


「それは、本気で言ってますか?」


 卵マニアは身体を震わせながら尋ねて来た。

 完全に震えた身体は、ブルブルからガクガクに近い状態になり、今にもへたり込んでしまいそうな勢いになっていた。


「冗談で言っていると思うか?……正直、私としても貴重な経験だったよ? 人の事をやれ胸無しだなんだと罵倒された挙げ句、自分の気分に合わせた不正まで堂々とやって来るのだからな? それなら、こっちも『気分で処断』しても構わないと言う事だ。お前風に言えば、そうだな? 今の時点で減点100をくれてやろうか?」


「……っっ!?」


 ニヤリと笑みを作って言う私の言葉を耳にした瞬間、卵マニアの顔が真っ青になり……とうとう立って居られなくなったのか? その場に座り込んでしまう。


「リダ、その辺にしときなよ……私はちゃんと試験が受けられれば、それで十分なんだから」

 

 直後、フラウがそれとなく私を制止する感じの声を出して来た。

 けれど、完全に止めるつもりはなかったらしい。

 あわよくば、この調子で会長の権限を使って、一次試験はおろか、実地試験その物を免除にして貰えないかなぁ……とか、そう言う自分に都合の良い事を考えていそうな顔をしていた。

 相変わらず、地味にしたたかなヤツ。


 流石にリダさんは、そこまで甘くないぞ?

 

 当然、しっかりと公平な立場から試験は受けるつもりだった私は、


「そうか? まぁ、フラウが言うのなら、仕方ない」


「……え? ほ、本当に不問にしちゃうのっ!?」


 残念そうな驚きを見せるんじゃないよ!

 ちゃっかり楽して合格したい気持ちをちらつかせるフラウを前に、私は胸中でのみ嘆息した。


「……と言う訳だ、卵マニア。今後はちゃんと公平に試験を見ろよ? それと、私がお前を吹き飛ばした事で減点された得点は無効だ。お前もお前で散々、私達をコケにした結果なんだからな?」


「…………わ、わかりましたよ」


 私の言葉に渋々ながらも頷く卵マニアがいた。

 ……あ、そう言えば、結局名前を聞いてなかったな。


 う~ん。 


 ……まぁ、良いか。

 どうせ、私……名前覚えるの苦手だし。

 ちゃんとした名前を聞いても、きっと卵マニアとしか覚えないだろうし。


「あ、それと? もう一つ」


「ま、まだあるんですか?」


 思い出した感じで言う私に、卵マニアは露骨に嫌そうな顔になって返事をして来る。

 どうやら、もう少しお灸を据えてやらないと分からないか?


 まぁ、良い。

 そこを含めて、私なりの意思をコイツに伝えておいてやろう。


「今後、私を侮辱した時は……」


 言うなり、私は右手を頭上に掲げて、


 超炎熱爆破魔法フレインダムド


 ドォォォォォォォォンッッッ!


 上空にでっかい超爆発を発生させた。


「…………」


 卵マニアは、コキーンッ! と固まる。


「こうなるからな? 覚えておけ?」


 私は真顔で言ってやった。

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