【8】
そこから先は、目を背けたくなった。
女の子にとって、顔はとても大事だ。
髪の毛より大事だ。
それを……よりにもよって、何回も何回もなぶる様に攻撃して行った。
最終的には審判のストップが掛かり、ユニクスの勝利が確定する。
瞬間、私はいても立ってもいられず、救護班に混ざってフラウの元へと急行した!
「フラウ! おい、フラウ! 大丈夫か!」
「あたし……負けたの?」
バカ! 今はそれ所じゃない!
一つ間違えれば死んでたぞ!
何発も重いパンチを受けた顔は血と涙とアザで一杯になっていた。
本当は整っていた筈の鼻が折れ、潰れていた。
頬も大きく腫れ上がり、見るも無惨な……痛々しい姿に。
……ゆ、ゆるせねぇっ!
ここまでする必要なんかなかった!
すぐに救護班の復活魔法が掛かる。
これにより、なんとか傷は消えた物の、精神的なショックは当然残った。
「負けちゃったか。しかも完敗。やっぱり私は、ユニクスお姉にはバカにされておしまいの人間なのかな」
うつ向き、力なく呟く。
そして、一滴の涙を落とした。
「やっぱり、無駄な努力なのかな……私」
「そんな事はない! お前は頑張った! すごく頑張った! ユニクスは笑ったかも知れないが、私は笑わない!」
そうだ!
絶対に笑わない!
フラウは頑張った。
本当に頑張った。
結果は残念だったと思うし、結果が全てだと言う人間からすれば、やはり無駄な努力と嘲笑うかも知れない。
だが! 彼女の努力をどうして笑えよう?
本気で頑張った人間を、精一杯努力したヤツに対して、そんな心無い言葉を言う事が出来るのか?
答えはノーだ!
ユニクス!
見ていろ、私は絶対の絶対にお前を泣かす!
私は涙を瞳一杯に溜め込んだフラウを優しく抱き止めつつ、ユニクスへの打倒を心に誓った。
フラウ、大丈夫。
お前の悔しさ……辛さは、この私が必ず晴らしてやるからな!
…………と言う所で、以下次回!




